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2025年 年金制度改革でiDeCoはどう変わる?セカンドキャリア時代の老後資金準備術

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が国会で成立しました。この改革は、日本の急速な少子高齢化や働き方の多様化に対応し、国民一人ひとりがより安心して老後を過ごせるよう、年金制度の機能を強化することを目的としています。

今回の改正では、公的年金を補完する「自助努力」の柱として、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充が大きな注目を集めています。特に、「人生100年時代」の到来が現実のものとなる中で、働き方やライフスタイルが多様化する現代社会に合わせた年金制度の再設計が求められており、iDeCoはその重要なツールの一つと位置づけられています。

2025年 年金制度改革について詳しく知りたい方はこちら

iDeCo加入可能年齢の「70歳未満」への延長:セカンドキャリアを支える新たな選択肢

今回の年金制度改革で最も注目されるiDeCoの変更点の一つは、加入可能年齢の上限が「60歳未満」から「70歳未満」へと引き上げられることです。これは、法案公布から3年以内に政令で定められた日から施行される予定です。ただし、既に老齢給付金を受け取っている場合は対象外となります。

この年齢引き上げは、「人生100年時代」を見据え、定年延長や再雇用、あるいはフリーランスとして働き続ける高齢者が、より長く老後資金を形成できるよう後押しするものです。従来の制度では、60歳以降は原則としてiDeCoへの掛金拠出ができませんでしたが、この改正により、健康で働く意欲のある人が、70歳近くまで節税メリットを享受しながら資産を積み立てられるようになります。

この変更は、特に、退職金制度が十分に整っていない職場に勤める方や、個人事業主・フリーランスとして働く方にとって、「自分年金」を構築する上で極めて有効な手段となるでしょう。60代以降も現役で活躍する方々が、年間の所得税や住民税を軽減しつつ、着実に老後資金を準備できる道が開かれます。

掛金上限額の見直しと企業型DCの拡充:より強力な資産形成の加速

iDeCoの利便性向上は、加入可能年齢の延長だけにとどまりません。公的年金を補完する「私的年金制度」全体の拡充の一環として、iDeCoおよび企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金上限額の見直しが進められています。

2025年度税制改正大綱では、企業年金がない会社員のiDeCo掛金限度額を、現在の月額23,000円から月額62,000円へ大幅に引き上げる案が示されています。これはまだ「案」の段階ですが、実現すれば個人の資産形成を強力に後押しすることになるでしょう。

さらに、企業型DCにおいても、確定給付企業年金(DB)などがない場合の拠出限度額が月額55,000円から月額62,000円に引き上げられる予定です。また、従業員が事業主の掛金額を超えて拠出できないとされていたマッチング拠出の要件が撤廃されることで、より柔軟な積立が可能になります。中小企業が確定拠出年金制度を導入しやすくなるよう、簡易型DCが通常の企業型DCに統合・整理される動きも進んでいます。

これらの変更は、従業員のニーズに応じた魅力的な福利厚生パッケージを企業が設計する上で有効なツールとなり、優秀な人材の獲得や定着にも貢献すると期待されます。個人にとっては、より多くの資金を税制優遇を受けながら運用できる機会が広がり、資産形成のスピードを加速させることが可能になります。

iDeCo活用の「三重の節税メリット」と「戦略的活用術」

iDeCoが老後資金準備の強力なツールとされるのは、その「三重の節税メリット」にあります。

  1. 掛金が全額所得控除
    iDeCoに拠出した掛金は、その年の所得税と住民税の計算において所得から全額控除されるため、毎年の税負担を軽減できます。
  2. 運用益が非課税
    通常、投資の運用益には課税されますが、iDeCo口座内での運用益は非課税となります。これにより、利益が再投資されることで複利効果を最大限に享受できます。
  3. 受取時にも優遇措置
    積み立てた資産を受け取る際も、「退職所得控除」または「公的年金等控除」が適用され、税負担が軽減されます。

これらの税制優遇を活用することで、効率的な資産形成が期待できるのです。

また、iDeCoは、公的年金(老齢基礎年金)の「繰下げ受給」と組み合わせることで、より戦略的な老後資金計画が可能になります。老齢基礎年金の受給開始は原則65歳ですが、これを最大75歳まで繰り下げることで、年金受給額を増やすことができます。60代でiDeCoに引き続き加入し資金を積み立てることで、公的年金を繰り下げて受け取る期間の生活費をiDeCoで賄い、長期的に安定した老後資金を確保する選択肢が広がります。

ただし、iDeCoは運用商品を自ら選択する「投資型の年金制度」であるため、元本割れのリスクが存在する点には留意が必要です。自身の「リスク許容度」や資産状況に応じて、適切な運用商品を選び、継続的に見直していくことが、安心して老後を迎えるための鍵となります。

2025年年金制度改革が示す「自助努力」の重要性

今回の2025年年金制度改革は、国民に対して「自助努力」による資産形成の重要性を明確に促すメッセージでもあります。急速な人口構造の変化や多様化する社会経済状況の中で、公的年金は今後も老後生活の「土台」として不可欠な存在であり続けるものの、それだけで十分ではない可能性も示唆されています。

政府は、iDeCoや新NISAといった私的年金・貯蓄制度の拡充を通じて、国民一人ひとりが自身のライフプランに合わせて、積極的に老後資金の準備に取り組むことを推奨しています。今回のiDeCoの加入年齢延長や掛金上限の見直しは、この「自助」の機会を拡大する大きな一歩と言えるでしょう。

老後資金の不安を解消し、豊かなセカンドキャリアを築くためには、年金制度の変更点を理解し、iDeCoのような税制優遇のある制度を賢く活用する「金融リテラシー」がますます重要になってきます。

まとめ

2025年の年金制度改革では、iDeCoの加入可能年齢が「70歳未満」に延長され、掛金上限額の引き上げ(案)や企業型DCの拡充も進められます。これらの変更は、長寿化と多様な働き方が進む現代において、個人がより長く、より効率的に老後資金を形成できる機会を広げるものです。

iDeCoの「三重の節税メリット」を最大限に活用し、公的年金の繰下げ受給と組み合わせるなど、自身のライフプランに合わせた戦略的な資産形成を検討することが、これからの時代に求められる老後準備術となるでしょう。

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※本記事の内容は、執筆時2025年6月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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