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2024年から始まった新NISA。多くの人が「つみたて投資枠」での資産形成をスタートさせていますが、一方でこんな声も聞こえてきます。
「つみたて投資枠は始めたけれど、年間2,400,000円の成長投資枠をどう使えばいいか分からない」 「自由度が高い分、逆に何を選べば良いか迷ってしまう」
もしあなたがこのように感じているなら、それは当然のことです。成長投資枠は、つみたて投資枠にはない大きな可能性を秘めていますが、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、少しだけ戦略が必要になります。
この記事では、新NISAの「成長投資枠」に特化して解説します。つみたて投資枠との決定的な違いから、あなたの資産形成を加速させるための具体的な活用戦略まで、専門的かつ分かりやすく紐解いていきます。この記事を読み終える頃には、成長投資枠に対する漠然とした不安は消え、確信を持って次の一歩を踏み出せるようになっているはずです。
まず、二つの投資枠の基本的な違いを明確にしておきましょう。この違いを理解することが、効果的な資産運用の第一歩となります。
最大の違いは、何と言っても投資対象となる商品の「自由度」です。
「つみたて投資枠」で購入できるのは、金融庁が定めた厳しい基準をクリアした、長期の積立・分散投資に適した投資信託やETF(上場投資信託)に限られています。これは、国が「まずはここから始めてみては?」と、初心者にも分かりやすいよう厳選してくれたラインナップと考えることができます。
一方で「成長投資枠」は、その名の通り、より大きな資産の成長を狙うための枠です。整理・監理銘柄や信託期間が20年未満の商品など一部の除外商品はありますが、基本的には日本の個別株や米国のハイテク株、より積極的なリターンを目指すアクティブファンド、不動産に投資するREIT(リート)など、非常に幅広い金融商品が投資対象となります。
もちろん、投資できる金額も異なります。つみたて投資枠が年間1,200,000円までなのに対し、成長投資枠はその倍となる年間2,400,000円まで投資が可能です。生涯にわたる非課税保有限度額は合計で18,000,000円ですが、そのうち成長投資枠だけで使える上限は12,000,000円と定められています。一度売却すれば、その分の非課税枠が翌年に復活する点も、柔軟な資産運用を後押ししてくれる重要なポイントです。
つみたて投資枠と成長投資枠の比較表
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資上限額 | 1,200,000円 | 2,400,000円 |
| 生涯非課税限度額 | 合計で18,000,000円 (成長投資枠は12,000,000円が上限) | |
| 投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF | 上場株式・投資信託等 (一部除外あり) |
| 主な役割 | コツコツ長期的な資産形成の土台 (コア) | より積極的なリターンを狙う (サテライト) |
NISAを詳しく知りたい人はこちら
では、自由度の高い成長投資枠をどのように考えれば良いのでしょうか。最も王道と言えるのが、「コア・サテライト戦略」です。これは、資産全体を「コア(核)」となる守りの部分と、「サテライト(衛星)」となる攻めの部分に分けて運用する手法です。
まず、資産の大部分を占める「コア」の部分では、つみたて投資枠を活用し、全世界株式や米国株式(S&P500)といった、広く分散されたインデックスファンドをコツコツと積み立てます。これにより、世界経済の成長に合わせて安定的に資産の土台を築いていくのです。
その上で、資産の一部である「サテライト」の部分で、成長投資枠の出番です。コア資産で安定を確保しつつ、成長投資枠を使ってより積極的なリターン、つまりプラスアルファを狙いにいきます。守りの「つみたて投資枠」、攻めの「成長投資枠」と役割分担することで、リスクを管理しながら、より大きな資産成長を目指す、バランスの取れた資産運用が可能になります。
コア・サテライト戦略のイメージ図

「コア・サテライト戦略」を基本に、攻めの役割を担うサテライト部分で検討したい具体的な商品の選択肢を見ていきましょう。
インデックスファンドが市場全体の平均点を目指すのに対し、「アクティブファンド」は運用の専門家であるファンドマネージャーが独自の調査や分析に基づいて銘柄を選び、市場平均を上回るリターンの獲得を目指す投資信託です。
「特定のテクノロジー分野に将来性を感じる」「日本の隠れた優良企業に投資したい」といった明確な投資テーマがあるものの、自分で個別企業を分析するのは難しいと感じる人にとって、非常に魅力的な選択肢となります。
定期的に現金収入を得たいと考えているなら、高配当株投資は成長投資枠と非常に相性の良い戦略です。
NISA口座内で得た配当金や分配金はすべて非課税になるため、本来約20%かかる税金が引かれず、効率的に手取りを増やすことができます。例えば、年間で100,000円の配当金を受け取った場合、課税口座なら手取りは約80,000円ですが、NISA口座なら100,000円がまるまる手元に残ります。
どの個別株を選べば良いか分からない場合は、複数の高配当銘柄にまとめて投資できる「高配当株ETF」を選ぶと良いでしょう。
あなたが普段利用しているサービスや製品を提供している企業、あるいは株主優待が魅力的な企業の株を直接購入するのも一つの手です。
企業の成長とともに株価が大きく上昇すれば、大きな利益(キャピタルゲイン)が期待できます。もちろん、株価が下落するリスクも伴うため、企業分析が重要になりますが、応援したい企業に直接投資する楽しみは格別です。
「J-REIT」とも呼ばれるこの商品は、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションといった複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。
少額から間接的に不動産オーナーになれる感覚で、一般的に株式とは異なる値動きをするため、資産の分散先としても有効です。
魅力的な選択肢が多い成長投資枠ですが、始める前に二つの点を確認しておきましょう。
第一に、ご自身の「リスク許容度」を把握することです。成長投資枠で選べる商品は、つみたて投資枠の対象商品よりも価格の変動幅が大きくなる傾向があります。期待できるリターンが大きい分、損失を被る可能性も高まることを忘れてはいけません。自分がどれくらいの価格変動までなら冷静でいられるのかを考え、生活に影響のない余剰資金で、無理のない範囲で投資を始めることが鉄則です。
第二に、「除外商品」を理解しておくことです。自由度が高い成長投資枠ですが、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託、信託期間が20年未満のファンドなど、長期的な資産形成に馴染まないとされる一部の商品は対象外となっています。投資したい商品がNISAの対象かどうか、購入前に必ず確認する習慣をつけましょう。
ここまで見てきたように、新NISAの「成長投資枠」は、つみたて投資枠による安定的な資産形成の土台を補完し、より積極的なリターンや配当収入を狙うための強力なツールです。
まずは「コア・サテライト戦略」を基本に、ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて、アクティブファンドでプロの力に期待するのか、高配当株で着実なインカムを狙うのか、あるいは未来の成長企業に夢を託すのか、あなただけの投資戦略を描いてみてください。
「では、実際に多くの人は成長投資枠でどのような商品を選んでいるのだろう?」 「人気のインデックスファンドや、具体的なアクティブファンド、高配当株ETFを知りたい」
そう感じた方も多いのではないでしょうか。実は、成長投資枠でも、全世界株式やS&P500といった定番のインデックスファンドが依然として高い人気を誇っています。
この記事をきっかけに、ぜひご自身の投資目標に合った金融商品のリサーチを始めてみてください。各証券会社のウェブサイトでは、NISAで人気の商品のランキングや詳細な情報が公開されています。それらを参考に、あなただけの「これだ!」という一本を見つける旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は、執筆時2025年7月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
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