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「今月もつい飲み会に…」「セールで衝動買いしちゃった」「使ってないサブスク、解約しなきゃ…」
日常の中で、なんとなく消えていくお金、ありませんか? もし、その「なんとなく」使っているお金の中から、毎月たった1万円を将来のために投資に回したら、20年後、あなたの資産はどうなっているでしょうか?
「投資なんて難しそう」「まとまったお金がないと無理」と思っている方も、ぜひこの記事を読んでみてください。この記事では、毎月1万円を年利5%で運用した場合の具体的なシミュレーション結果をお見せするとともに、投資初心者の方が安心して少額から資産形成を始めるためのステップ、NISAの効果的な活用法、そして投資につきもののリスクとの向き合い方まで、分かりやすく解説します。
「将来のお金、漠然と不安だな…」「老後資金、どうしよう…」そんな悩みを抱えるあなたの、具体的な行動を起こすきっかけとなれば幸いです。小さな一歩が、20年後の大きな違いを生むかもしれません。
ハナコ毎月10,000円を利回り5%で20年積み立てると、いくらになりますか?



シミュレーション上では、元本2,400,000円が約4,110,000円になります。運用せずに貯金した場合は2,400,000円のままなので、運用によって約1,710,000円増える計算です。これは「複利」の効果によるものです。
では、早速シミュレーション結果を見てみましょう。もしあなたが毎月10,000円を、年間の平均利回り5%で運用しながら20年間コツコツと積み立て続けた場合、どうなるでしょうか。
積立投資の元本(実際にあなたが入金したお金)の合計は、「10,000円 × 12ヶ月 × 20年 = 2,400,000円」です。 そして、この2,400,000円が運用によって増え、20年後の資産総額は約4,110,000円(※)になる、という結果が出ました。
※税金や手数料は考慮しない計算
毎月1万円積立シミュレーション(利回り別)
運用利回りと積立期間によって、将来の資産額は大きく変わります。
| 積立期間/平均利回り | 0% | 3% | 5% | 7% |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 120,000円 | 121,664円 | 122,789円 | 123,926円 |
| 10年 | 1,200,000円 | 1,397,414円 | 1,552,823円 | 1,730,848円 |
| 20年 | 2,400,000円 | 3,283,020円 | 4,110,337円 | 5,209,267円 |
| 30年 | 3,600,000円 | 5,827,369円 | 8,322,586円 | 12,199,710円 |
特に注目したいのは、20年から30年に期間が延びた際の増加額です。利回り5%の場合、20年時点の約411万円から、30年時点では約832万円へと、10年間で4,000,000円以上も増えています。これは、後半になるほど複利の効果がより強力に働くためです。だからこそ、できるだけ早く、そして長く続けることが資産形成において非常に重要になるのです。
注意: 利回り5%や7%はあくまで仮定の数値です。投資にはリスクがあり、常にプラスのリターンが得られるとは限りません。例えば、全世界株式インデックスファンドの過去長期的な平均リターンなどが参考にされることがありますが、将来を保証するものではないことをご理解ください。
もし、この毎月10,000円を投資に回さず、ただ銀行口座に貯金していただけだとしたら、20年後の金額は当然、元本の2,400,000円のままです(現在の低金利では利息はほぼ期待できません)。
まり、運用した場合(約4,110,000円)としなかった場合(2,400,000円)とでは、20年間で約1,710,000円もの差が生まれるのです。この1,710,000円という金額は、例えば新しいスキルを学ぶための自己投資資金や、家族との大切な思い出を作るための旅行資金、あるいは老後資金の大きな足しになるかもしれません。これが、時間をかけて資産形成を行うことの重要性を示しています。
「でも、どうして元本の2,400,000円が4,110,000円にも増えるの?」と疑問に思うかもしれません。その秘密は「複利(ふくり)」の力にあります。
複利とは、投資で得た利益(利息や分配金など)を元本に加えて、その合計額に対してさらに次の利益が計算される仕組みのことです。雪だるま式にお金が増えていくイメージ、と言うと分かりやすいでしょうか。
例えば、1,000,000円を年利5%で運用する場合、最初の1年間の利益は50,000円です。次の年は、元本1,000,000円だけでなく、利益の50,000円を加えた1,050,000万円に対して5%の利益(52,500円)がつきます。その次の年はさらに増えた元本に対して利益が…というように、利益が利益を生む形で資産が増えていくのです。
これに対し、最初の元本に対してしか利益がつかない方法を「単利」と言います。単利の場合、利益は毎年一定額ですが、複利の場合は年々増える利益の額が大きくなっていきます。
▼単利と複利の資産増加イメージ
期間が長くなるほど、複利の効果は絶大になります。




毎月1万円の積立投資でも、この複利の力を借りることで、20年、30年という長い時間をかければ、当初の想像を超える資産を築ける可能性があるのです。
単利と複利の違いを理解するために、具体的な例を用いて説明しましょう。ここでは、初期投資額が1,000,000円、年利率が5%、投資期間が3年の場合を考えます。
単利では、利息が元本にのみ発生し、期間に関わらず一定です。つまり、1年目の利息は元本の5%に相当しますが、2年目以降も同じ金額の利息が発生します。
| 1年目の利息 | 1,000,000円 × 5% = 50,000円 |
| 2年目の利息 | 1,000,000円 × 5% = 50,000円 |
| 3年目の利息 | 1,000,000円 × 5% = 50,000円 |
3年間の総利息は、50,000円 × 3年 = 150,000円となり、投資期間終了時の総額は、元本1,000,000円 + 利息150,000円 = 1,150,000円です。
複利では、利息が元本に加えられ、新たな元本として次期の利息が計算されます。これにより、投資期間が長ければ長いほど「利息の利息」が発生し、資産の増加速度が加速します。
| 1年目の利息 | 1,000,000円 × 5% = 50,000円(新しい元本:1,050,000円) |
| 2年目の利息 | 1,050,000円 × 5% = 52,500円(新しい元本:1,102,500円) |
| 3年目の利息 | 1,102,500円 × 5% = 55,125円57,881.25 |
3年間で得られる総利息は、50,000円 + 52,500円 + 55,125円 = 157,625円で、投資期間終了時の総額は、元本1,000,000円 + 157,625円 = 1,157,625円です。
| | 単利 | 複利 |
|---|---|---|
| 利息の計算方法 | 元本に対してのみ | 元本と利息に対して |
| 時間経過による利息の変化 | 一定 | 増加 |
| 10年後の利息(上記と同条件の場合) | 500,000円 | 628,895円 |
| 長期的な資産形成 | 効果が低い | 効果が高い |



投資で「年利5%」って、本当に目指せる数字なんですか?



はい、非現実的な数字ではありません。もちろん保証はありませんが、例えば全世界株式や米国株式(S&P500)のインデックスファンドに長期的に分散投資した場合、過去の実績では年平均5%~7%程度のリターンを上げてきました。これを一つの目安として、長期的な計画を立てます。
「でも、本当に年利5%なんてうまくいくの?」という疑問は、当然です。この数字は、資産形成を考える上で重要な「期待リターン」の目安となります。
この「年利5%」という数字は、決して夢物語ではありません。例えば、全世界株式や米国株式(S&P500)といった、世界経済や米国経済全体の成長に連動するインデックスファンドに長期間(15年以上など)投資した場合、過去の歴史的な平均リターンは年率5%~7%程度であったことが知られています。
もちろん、これはあくまで過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。 年によってはマイナスになることもあります。しかし、世界経済が長期的に成長していくと信じるならば、この「5%」という数字は、長期的な資産形成の計画を立てる上での一つの現実的なベンチマークとして広く使われているのです。
投資初心者の方が「毎月10,000円投資」でこのリターンを目指すのであれば、特定の企業の株を買うのではなく、まずは全世界株式やS&P500などに連動する、低コストな投資信託(インデックスファンド)をNISA口座で積み立てていくのが、最も王道かつ再現性の高い方法と言えるでしょう。



投資初心者だけど、毎月10,000円で本当に始められますか?



はい、十分可能です。現在は少額から始められる投資信託などが豊富にあり、新NISAなどの制度も活用できます。①証券会社のNISA口座を開設し、②低コストのインデックスファンドを選び、③自動積立設定をする、という3ステップで誰でも簡単に始められます。
「シミュレーション結果は分かったけど、やっぱり投資って専門知識が必要で難しそう…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、心配はいりません。現代の資産運用は、かつてないほど少額から、そして初心者でも始めやすい環境が整っています。「毎月10,000円投資」を具体的に始めるための、簡単な3つのステップをご紹介します。
「毎月10,000円投資」を具体的に始めるための、簡単な3つのステップをご紹介します。
投資を始めるには、まず証券会社に口座を開設する必要があります。現在はネット証券(SBI証券、楽天証券など)を中心に、スマートフォンだけで簡単に、しかも無料で口座開設手続きができます。その際、後述する税制優遇制度である「NISA」の口座も同時に開設するのがおすすめです。


口座が開設できたら、次に何に投資するかを選びます。前述の通り、投資初心者の方が毎月10,000円で始める場合、投資信託(特に低コストのインデックスファンド)が最も適していると言えるでしょう。1つの投資信託で世界中の株式などに少しずつ分散投資できるため、リスクを抑えやすいのが特徴です。


投資する商品が決まったら、最後に「毎月10,000円、給料日後の〇日に自動で購入する」といった自動積立設定を行います。クレジットカード積立を利用すれば、ポイントも貯まりさらにお得です。一度設定してしまえば、あとは自動でコツコツと投資が続けられるので、忙しい方や忘れっぽい方でも安心です。


この3ステップだけで、あなたも「投資家」の仲間入りです。まずはこの流れで、無理のない金額から始めてみませんか?少額から始めることで、リスクを抑えながら投資の経験を積み、徐々に知識を深めていくことができます。
ステップ2の商品選びについて、もう少し補足します。投資商品を選ぶ上で重要なのが、リスクとリターンのバランスを考えることです。
一般的に、高いリターンが期待できる商品は、価格変動などのリスクも高くなる傾向があります。逆に、リスクが低い商品は、期待できるリターンも低めになります。
大切なのは、自分のリスク許容度(どの程度のリスクなら精神的に耐えられるか)を把握し、それに見合った商品を選ぶことです。最初はリスクを抑えた投資信託から始め、経験を積む中で徐々にリスクを取る割合を増やしていく、という方法も考えられます。また、一つの商品に集中せず、複数の商品に分散投資することもリスク管理の基本です。



投資するならNISAを使った方がいいですか?



はい、特に長期的な資産形成を目指すなら、新NISA(少額投資非課税制度)の活用は必須と言えます。投資で得た利益(値上がり益や分配金)が非課税になるため、通常かかる約20%の税金が引かれず、効率的に資産を増やすことができます。
せっかく投資を始めるなら、ぜひ活用したいのがNISA(ニーサ)という国の制度です。これを使わない手はありません。
NISAを一言でいうと、「投資で得た利益に税金がかからなくなる制度」です。通常、株や投資信託で利益が出ると、その利益に対して約20%(所得税15.315%+住民税5%)もの税金が課せられます。例えば、10万円の利益が出ても、手元に残るのは約8万円になってしまうのです。
しかし、NISA口座内で投資を行えば、この約20%の税金が一切かかりません。10万円の利益が出たら、まるまる10万円が自分のものになります。これは、長期的に資産を増やしていく上で、非常に大きなメリットと言えます。
2024年から始まった新しいNISAには、以下の2つの投資枠があり、併用することも可能です。
両方の枠を合わせると、年間最大360万円まで非課税で投資でき、生涯で利用できる非課税保有限度額は合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)と、非常に大きな枠が用意されています。しかも、非課税で保有できる期間に制限はありません。
▼新NISA「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の概要
| NISA(ニーサ) | ||
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
| 加入対象 | 日本在住の18歳以上 | |
| 税制上のメリット | 運用益が非課税 | |
| 枠の併用 | 併用可 | |
| 年間投資上限額 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 一定の国内外の上場株式・ETF・投資信託など |
| 購入方法 | 積立のみ | スポット・積立 |
「毎月1万円」の積立投資であれば、まずは「つみたて投資枠」を活用するのが最もシンプルで効果的です。
つみたて投資枠では、長期的な資産形成に適した投資信託が対象商品として選ばれているため、投資初心者の方でも比較的商品を選びやすいというメリットがあります。先ほど紹介したような、全世界株式や全米株式などに連動する低コストのインデックスファンドを選び、毎月1万円の自動積立を設定すれば、あとは手間なく非課税の恩恵を受けながら、長期的に資産を育てていくことができます。
もし将来的に投資額を増やせるようになったら、つみたて投資枠の上限(月10万円)まで増額したり、成長投資枠も活用したりすることを検討すれば良いでしょう。まずは「つみたて投資枠」で、無理なく、長く続けることを目標にスタートしましょう。
NISAとiDeCoについて詳しく知りたい人はこちら



投資はリスクが怖いのですが、どうすればいいですか?



投資にリスクは付き物ですが、「分散投資」と「長期投資」でリスクを軽減することは可能です。価格変動リスクなどを理解し、自分の許容範囲内で、時間をかけてコツコツ続けることが大切です。
「投資にはリスクがある」ということは、始める前に必ず理解しておくべき重要な点です。リスクを正しく理解し、適切に管理する方法を知ることで、過度な不安を感じずに資産運用を続けることができます。
投資には様々なリスクがありますが、代表的なものを理解しておきましょう。
これらのリスクをゼロにすることはできません。しかし、リスクを管理し、軽減することは可能です。
投資リスクを管理するための最も基本的で有効な方法は、「分散投資」と「長期投資」です。
分散投資は、投資先を一つに集中させず、複数の異なる対象に分けて投資することです。具体的には、
これにより、特定の資産や地域が不調でも、他の資産や地域でカバーできる可能性が高まり、全体的なリスクを抑えることができます。投資信託、特に全世界株式インデックスファンドなどは、1本で資産や地域の分散が実現できるため、初心者にとって有効なツールとなります。
▼分散投資のイメージ
「資産」「地域」「時間」を分散することで、リスクを抑える効果が期待できます。


長期投資は、文字通り、短期間の値動きに一喜一憂せず、長い目で見て資産を育てていく考え方です。市場は短期的には上下動を繰り返しますが、歴史的に見ると世界経済は成長を続けており、長期的に見れば株価なども上昇傾向にあります。長く投資を続けることで、一時的な下落から回復する時間を確保でき、複利効果も最大限に活かすことができます。毎月1万円の積立投資は、まさにこの長期投資を実践するのに適した方法と言えるでしょう。



毎月1万円の投資で、将来は本当に変わりますか?



はい、変わる可能性は十分にあります。シミュレーションの約411万円は、老後資金の大きな足しになりますし、何より「将来のために行動している」という事実が、精神的な安心感と未来への希望を与えてくれます。
この記事のシミュレーションでは、毎月1万円の積立投資が20年後に約411万円になる可能性を示しました。この金額は、あなたの20年後の生活にどのような変化をもたらすでしょうか?
約411万円という金額は、決して老後の生活費全てを賄える額ではないかもしれません。しかし、それは未来のあなたにとって、間違いなく大きな「ゆとり」や「選択肢」を与えてくれます。
例えば、それは老後の趣味や旅行を楽しむための資金になるかもしれません。あるいは、少しリッチな食事を楽しんだり、孫にお小遣いをあげたりする余裕に繋がるかもしれません。また、もう少しで目標の老後資金に届く、という時の大きな助けになる可能性もあります。あるいは、病気や介護など、予期せぬ出費への備えとして、精神的な安心感を与えてくれるかもしれません。
重要なのは、何もしなければゼロだったはずの「プラスアルファ」を、毎月1万円という無理のない範囲の努力で作り出せる可能性がある、ということです。
資産形成を成功させる秘訣の一つは、具体的な目標を持つことです。ただ漠然とお金を貯めるのではなく、「20年後にこの資金で〇〇をするぞ!」というワクワクする目標を設定してみましょう。
「夫婦で豪華客船クルーズに行く」「最新の機材を揃えて趣味の写真に没頭する」「小さなアトリエを借りて創作活動をする」…どんな目標でも構いません。具体的な目標は、毎月の積立を続けるための強いモチベーションになります。「この1万円が、未来のあの楽しみにつながっているんだ」と思えれば、日々の小さな節約も苦にならなくなるかもしれません。


ぜひ、あなたの20年後の理想の姿を思い描き、そこから逆算して、今日からできること、つまり「未来の自分への仕送り」を始めてみてください。
この記事の監修者


ファイナンシャルプランナー 田中 大二
<プロフィール>
2007年より大手生命保険会社に勤務。主に住宅購入を検討されている方に向けたライフプランおよびファイナンシャルプランコンサルティングに従事。
その後、大手ネット証券会社を経て、金融機関向けマーケティング会社を設立し、クライアントである金融機関を通じてお金に関する商品やサービス、情報を生活者へ提供している。
マネーリテラシーの向上を目標とし、過去の経験を活かして生活者へ直接お金に関する知識や情報を提供したいという想いから、FPオフィスを立ち上げる。
<保有資格>
AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
住宅ローンアドバイザー
※本記事の内容は、執筆時2025年6月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
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