【新NISA】S&P500 vs 全世界株式 徹底比較！あなたに最適なのはどっち？(2025年最新)

「新NISAを始めたいけど、人気のS&P500と全世界株式、結局どっちを選べばいいの？」
2024年から始まった新NISA制度を機に、資産形成への関心が高まっています。中でも、米国の代表的な株価指数である「S&P500」と、世界中の株式に分散投資する「全世界株式（オール・カントリー、通称オルカン(※)）」は、投資初心者から経験者まで幅広く注目されています。

しかし、「名前はよく聞くけど、具体的に何が違うの？」「将来のためにお金を増やしたいけど、自分にはどちらが合っているんだろう…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたのモヤモヤを解消するために、S&P500と全世界株式のインデックスファンドについて、その中身から過去の実績、そして新NISAでの賢い活用法まで、徹底的に比較し、分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、あなた自身の投資方針に合った、納得のいく選択ができるはずです。

※「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」の略称として商標登録されていますが、本記事では全世界株型インデックス投資信託の総称として使用しています。

なぜ今、S&P500と全世界株式のインデックスファンドが人気なのか？

新NISAの開始は、多くの人にとって「貯蓄から投資へ」と踏み出す大きなきっかけとなりました。その中で、特にS&P500や全世界株式に連動するインデックスファンドが絶大な人気を集めているのには、明確な理由があります。

まず、「インデックスファンド」とは何かを簡単におさらいしましょう。これは、日経平均株価やTOPIX（東証株価指数）、米国のS&P500といった特定の株価指数（インデックス）と同じような値動きを目指す投資信託のことです。市場全体の平均的な動きについていくイメージなので、個別の企業を分析する専門知識がなくても、比較的簡単に投資を始めることができます。

人気の理由は主に3つです。

1つ目は、低コストであること。インデックスファンドは、アクティブファンド（市場平均を上回る成績を目指すファンド）に比べて運用にかかる手数料（信託報酬）が非常に低く抑えられているものが多く、長期投資においてコストの差は将来のリターンに大きく影響します。

2つ目は、1本で数十～数千の銘柄に投資するため、自然と分散投資が実現できること。これにより、特定企業の株価暴落リスクなどを軽減できます。

そして3つ目は、新NISAの非課税メリットを最大限に活かせることです。長期的な成長が期待されるS&P500や世界経済全体に投資することで、将来得られるかもしれない大きな利益が非課税になる恩恵を受けやすいのです。

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S&P500インデックスファンド徹底解説：米国経済成長の恩恵を狙う

「S&P500」は、スタンダード・アンド・プアーズ社が算出している米国の代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している企業の中から、時価総額や流動性などを考慮して選ばれた約500社の銘柄で構成されています。これには、Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Alphabet（Googleの親会社）といった、世界をリードする巨大ハイテク企業が多く含まれています。

つまり、S&P500インデックスファンドに投資するということは、これらの米国のトップ企業群ひいては米国経済全体の成長に、まるごと投資するイメージです。

▼S&P500のセクター別構成比率

S&P500インデックスファンドのメリット

S&P500への投資には、特に過去の実績から見て大きな魅力があります。
まず、米国経済の力強い成長の恩恵を直接受けられる可能性が高い点です。米国は長年にわたり世界経済を牽引しており、イノベーションを生み出す企業が次々と登場しています。この成長に連動することで、比較的高いリターンが期待できるのが最大のメリットと言えるでしょう。実際に過去数十年のデータを見ても、S&P500は他の多くの市場指数を上回るパフォーマンスを上げてきました。
また、米国市場は世界で最も注目されている市場の一つであり、企業情報や市場分析などの情報が豊富に入手しやすいため、投資判断の材料に困ることが少なく、初心者でも比較的安心して投資しやすい環境と言えます。

S&P500インデックスファンドのデメリットと注意点

一方で、魅力的なリターンが期待できる反面、注意すべき点もあります。
最も大きな点は、投資対象が米国企業に集中しているため、米国経済の動向に運用成績が大きく左右されることです。もし米国経済が長期的に低迷するような事態になれば、当然ながらリターンも期待できなくなります。また、構成銘柄のセクター比率を見ると、情報技術（ハイテク）関連企業の割合が高くなる傾向があるため、これらの特定業種の動向によっても影響を受けやすいという業種集中リスクも考慮に入れる必要があります。
さらに、日本から投資する場合、為替変動リスクも無視できません。購入時よりも円高が進めば、たとえS&P500自体が上昇していても、円換算でのリターンが目減りしてしまう可能性があります。

S&P500はこんな人におすすめ！

これらの特徴を踏まえると、S&P500インデックスファンドは、以下のような方に特におすすめと言えます。

• 米国経済の将来的な成長に強く期待している方
• ある程度のリスクを許容してでも、比較的高いリターンを目指したい方
• 世界経済よりも、まずは分かりやすい米国市場に集中して投資したいと考える方
• 特に20代～40代など、長期的な視点で資産形成に取り組める方

全世界株式インデックスファンド徹底解説：世界まるごと分散投資

「全世界株式インデックスファンド（オール・カントリー、オルカンとも呼ばれます）」は、その名の通り、世界中の国・地域の株式市場に幅広く分散投資することを目指す投資信託です。1本購入するだけで、文字通り「世界まるごと」に投資できる手軽さが魅力です。

代表的な連動対象指数としては、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス（ACWI）やFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスなどがあります。これらの指数は、日本、米国、ヨーロッパなどの先進国だけでなく、中国、インド、ブラジルといった新興国も含む、数十カ国の数千銘柄で構成されています。

▼全世界株式（MSCI ACWI）の国別構成比率

全世界株式インデックスファンドのメリット

全世界株式への投資は、究極の分散投資とも言え、以下のようなメリットがあります。
最大のメリットは、1本で手軽に国際分散投資が実現できることです。特定の国や地域の経済状況が悪化しても、他の国や地域が好調であれば、その影響を緩和し、リスクを効果的に低減することが期待できます。これにより、S&P500のような一国集中投資に比べて、より安定的なリターンを目指しやすいと言えます。
また、世界経済は長期的には成長を続けていくと考えられており、その世界全体の成長の恩恵を享受できるという魅力もあります。投資の知識があまりない初心者の方でも、「これ1本買っておけば大丈夫」という安心感を得やすい商品と言えるでしょう。

全世界株式インデックスファンドのデメリットと注意点

一方で、全世界株式にも注意すべき点があります。
広範な分散投資を行うため、S&P500のように特定の国（特に米国市場）が突出して好調な局面では、S&P500のリターンに劣後する可能性があります。「全部入り」であるがゆえに、飛び抜けた成長をする国があっても、その恩恵が薄まってしまうのです。そのため、爆発的なリターンは期待しにくいと言えます。
また、ファンドによっては、政治・経済情勢が不安定な新興国への投資比率が一定程度含まれるため、その部分のリスクは考慮に入れる必要があります。そして、S&P500と同様に、日本から投資する場合は為替変動リスクが伴います。

全世界株式はこんな人におすすめ！

これらの特徴を踏まえると、全世界株式インデックスファンドは、以下のような方に特におすすめです。

【徹底比較】S&P500 vs 全世界株式 あなたに合うのはどっち？

ここまでS&P500と全世界株式、それぞれの特徴を見てきました。では、実際にどちらを選べば良いのでしょうか。ここでは、両者を様々な角度から比較し、あなたが選択するための判断軸を提示します。

⚖S&P500と全世界株式の主な特徴比較（2025年5月時点）

特徴	S&P500	全世界株式
投資対象	米国の代表的な大型株式	全世界の株式 （先進国・新興国。大型株、中型株、ベンチマークにより小型株も含む）
投資対象国	米国（100%）	約45～50カ国 （MSCI ACWI：先進国23、新興国24 、FTSE：約47カ国 ）
構成銘柄数 （概算）	約500～505銘柄	MSCI ACWI：約2,500～3,000銘柄 FTSE Global All Cap：約8,000～10,000銘柄以上
主な構成国 （上位3～5カ国、%）	米国（100%）	1. 米国（約60～65%） 2. 日本（約5～7%） 3. 英国（約3～4%） （その他：中国、カナダ、フランス、ドイツなどが続く）
主な構成業種 （上位3～5業種、%）	1. 情報技術（約30～32%） 2. 金融（約13～15%） 3. ヘルスケア（約10～11%） 4. 一般消費財（約10～11%）	1. 情報技術（約23～26%） 2. 金融（約15～18%） 3. 一般消費財（約10～14%） 4. 資本財・サービス/鉱工業（約9～14%） 5. ヘルスケア（約10～12%）
信託報酬の目安 （年率）	0.02%～0.10%	0.05%～0.25% （例：eMAXIS Slim 全世界株式 0.05775% 、VT 0.06% 、iShares MSCI ACWI 0.20%～0.32% 、楽天VT 約0.132% ）
過去10年平均リターン （年率、税引前NAVベース、例）	約10.0%～12.5%	約8.0%～10.0% （MSCI ACWIベース 、VT/FTSEベース ）
リスク （標準偏差、3年年率）	約16%～18%	約12%～17% （例：MSCI ACWI 、FTSE/VT ）
リターン	高リターンが期待できる	安定したリターンが期待できる
シャープレシオ （3年）	約0.5～0.9	約0.5～1.0 （例：MSCI ACWI 、FTSE/VT ）
おすすめの人	米国経済の成長に期待したい人 高リターンを狙いたい人	リスクを抑えたい人 世界経済全体を応援したい人

※過去のリターンは将来を保証するものではありません。

パフォーマンスとリスク：過去の実績と今後の見通し

過去のパフォーマンスを見ると、特に直近10年～15年程度は、米国市場が非常に好調だったため、S&P500が全世界株式のリターンを上回るケースが多く見られました。しかし、これはあくまで過去の実績であり、将来も同様の傾向が続くとは限りません。例えば、1980年代は日本株が世界を席巻し、2000年代は新興国株が好調だった時期もあります。

▼S&P500と全世界株式の過去パフォーマンス比較

リスクという観点では、一般的に全世界株式の方が分散が効いている分、S&P500よりも価格変動リスク（ボラティリティ）はやや低くなる傾向があります。投資効率を示すシャープレシオ（リスク1単位あたりのリターン）は、長期的には大きな差がないという分析もありますが、評価期間によって結果は変動します。

今後の見通しについては、専門家の間でも意見が分かれます。「米国経済の優位性は今後も揺るがない」と考える人もいれば、「世界の成長センターはアジアなどの新興国に移っていく」と考える人もいます。どちらに重きを置くかが、選択の一つのポイントになります。

コスト（信託報酬）：長期投資では無視できない差

インデックスファンドを選ぶ上で非常に重要なのが、運用管理費用（信託報酬）です。これは、ファンドを保有している間、毎日かかり続けるコストで、長期的に見るとリターンに大きな影響を与えます。

幸い、S&P500に連動する投資信託も、全世界株式に連動する投資信託も、近年は競争激化により非常に低コストな商品が増えています。例えば、eMAXIS Slimシリーズなどでは、どちらの指数に連動するファンドも年率0.1%を下回るような低い信託報酬で提供されています（2025年５月時点）。購入時には、必ず複数のファンドの信託報酬を比較し、できるだけ低いものを選ぶようにしましょう。

あなたの投資スタイルと価値観に合うのは？

最終的にどちらを選ぶかは、以下の点を考慮し、ご自身の投資スタイルや価値観と照らし合わせて判断するのが良いでしょう。

両方保有する、という選択肢はアリ？

「迷うなら両方買ってしまえばいいのでは？」と考える方もいるかもしれません。確かに、S&P500と全世界株式の両方のインデックスファンドを保有することは可能です。

しかし、注意点があります。前述の通り、全世界株式インデックスファンドの構成比率の多く（約6割程度※2025年5月時点のMSCI ACWI）は、すでに米国株式で占められています。そのため、S&P500と全世界株式を両方保有すると、結果的に米国株式への投資比率がさらに高まることになり、期待したほど分散効果が得られない可能性があります。

もし、全世界株式の米国比率に満足できない、もっと米国への集中度を高めたいという明確な意図があるなら、例えば「全世界株式（除く米国）のインデックスファンド」と「S&P500のインデックスファンド」を自分で組み合わせて、米国とそれ以外の地域への配分を調整するという、より能動的な投資戦略も考えられます。ただし、これはやや手間がかかり、管理も複雑になるため、初心者にはあまりおすすめできません。

基本的には、どちらか一方をコア（中心）として選び、長期で積み立てていくのがシンプルで分かりやすい戦略と言えるでしょう。

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新NISAで賢く活用！積立投資を始める際のポイント

S&P500や全世界株式のインデックスファンドに投資するなら、新NISA制度を最大限に活用しない手はありません。非課税の恩恵を受けながら、効率的に資産形成を進めるためのポイントを解説します。

まず、NISA口座を開設する金融機関（証券会社や銀行）を選びましょう。取扱商品（投資信託のラインナップ）、手数料（特にインデックスファンドの信託報酬）、使いやすさ、サポート体制などを比較検討します。特にネット証券（SBI証券、楽天証券など）は、取扱商品が豊富で手数料も低い傾向があるため人気です。

次に、毎月の積立金額を決めます。これは、家計に無理のない範囲で、かつ長期的に継続できる金額に設定することが重要です。新NISAの「つみたて投資枠」は年間120万円（月額10万円）まで利用できますが、最初から上限を目指す必要はありません。まずは月数千円～数万円から始めて、収入状況や生活の変化に合わせて見直していくと良いでしょう。

そして、積立を行う投資信託を選びます。S&P500に連動するものか、全世界株式に連動するものか、あるいは他の指数か。この記事で解説した特徴を参考に、ご自身の投資方針に合ったものを選びましょう。選ぶ際には、信託報酬ができるだけ低いファンドを選ぶことが、長期的なリターンを高める上で非常に重要です。

新NISAには、主に積立に適した「つみたて投資枠」（年間120万円）と、個別株などにも投資できる「成長投資枠」（年間240万円）があります。S&P500や全世界株式のインデックスファンドは、どちらの枠でも購入可能な場合が多いですが、基本的には「つみたて投資枠」でコアとなる積立を行うのが良いでしょう。もし、つみたて投資枠を使い切ってもまだ投資余力がある場合や、他の商品も組み合わせたい場合には、「成長投資枠」の活用も検討します。

最後に、定期的な見直し（リバランス）も検討しましょう。ただし、インデックスファンドの積立投資の場合、厳密なリバランスは不要という考え方もあります。市場の大きな変動があった際や、ライフステージの変化があった際に、資産配分を見直す程度で良いかもしれません。最も大切なのは、短期的な市場の動きに一喜一憂せず、コツコツと積立を続けることです。

 NISAについて詳しく知りたい人はこちら

よくあるご質問（FAQ）

まとめ：あなたに最適な選択で、新NISAを始めよう！

新NISAの登場により、S&P500や全世界株式といった質の高いインデックスファンドへの投資が、ますます身近で有利なものになりました。どちらを選ぶかは、一長一短があり、「絶対にこちらが良い」という唯一の正解はありません。

S&P500は、米国経済の力強い成長に期待し、比較的高いリターンを目指したい方にとって魅力的な選択肢です。一方、全世界株式は、1本で世界中に分散投資ができ、リスクを抑えながら安定的な成長を目指したい方に向いています。

重要なのは、それぞれの特徴を理解し、ご自身の投資目標、リスク許容度、そして将来に対する考え方と照らし合わせて、「自分が納得して長期間持ち続けられるか」という視点で選ぶことです。

この記事で比較したポイントや、専門家の意見、そしてご自身の心の声にも耳を傾け、あなたにとって最適なインデックスファンドを見つけてください。そして、新NISAという素晴らしい制度を活用して、将来のための資産形成への第一歩を踏み出しましょう！

※本記事の内容は、執筆時2025年5月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。