CAMPAIGN
RANKING
CATEGORY
NEW
POPULAR

2024年1月にスタートした新NISA。テレビやネットで毎日のように話題になっていますが、「自分にはまだ関係ないかな」「周りは本当にやっているの?」と、どこか遠い世界の話だと感じて一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
「お得な制度らしいけど、よくわからない」「投資はまとまったお金がないと始められないのでは?」そんな疑問や不安を抱えているかもしれません。
しかし、金融庁が公表した最新データ(2025年3月末時点)を見ると、NISA口座数は約2,647万口座、買付総額は約59兆2,000億円に達するなど、その規模は非常に大きくなっています。その一方で、民間企業の調査では新NISAの利用経験者は約28%と、まだ3割に満たないのが現状です。これは、多くの人が着実に資産形成を始めていると同時に、まだ一歩を踏み出せていない人も多いという実態を浮き彫りにしています。
この記事では、金融庁などの公的機関と民間企業の最新データを基に、新NISA利用者のリアルな姿を徹底的に解剖します。年代別・年収別の利用状況から、みんなが実際にいくら、何に投資しているのかまで、気になる情報を分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、新NISAがもはや一部の投資家だけのものではなく、ごく普通の人々が将来のために活用する「当たり前のツール」になっていることがわかります。あなたと同世代のリアルな投資事情を知り、賢い資産形成の第一歩を踏み出しましょう。
まず、なぜこれほど新NISAが注目されているのか、その魅力を簡単におさらいしましょう。NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度のことで、通常、投資で得た利益(値上がり益や配当金など)にかかる約20%の税金が非課税になる、非常にお得な仕組みです。
2024年から始まった新NISAは、旧制度から大幅にパワーアップしました。最大のポイントは、コツコツ積立投資をしたい方向けの「つみたて投資枠」(年間120万円)と、個別株などにも挑戦できる「成長投資枠」(年間240万円)の2つの枠が同時に使えるようになったことです 。
さらに、非課税で商品を保有できる期間が無期限になり、制度自体も恒久化されたため、いつでも好きなタイミングで始められるようになりました。一度商品を売却しても、その非課税枠が翌年以降に復活する柔軟性も備え、まさに「人生100年時代」の資産形成に寄り添う制度へと生まれ変わりました。
| 旧NISA | 新NISA | |||
|---|---|---|---|---|
| つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
| 枠の併用 | 不可 | 可 | ||
| 年間投資上限額 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 最長5年 | 最長20年 | 無期限 | |
| 投資枠の再利用 | 不可 | 売却後、翌年に再利用可 | ||
| 口座開設期間 | 2023年まで | 無期限 | ||
NISAについて詳しく知りたい人はこちら
それでは、金融庁などの公的機関と民間企業が公表した最新データに基づき、新NISAの利用実態を詳しく見ていきましょう。「みんな」のリアルな姿を知ることで、ご自身の状況と比べながら読み進めてみてください。
新NISAが始まった2024年1月から、NISA口座の開設は驚異的なペースで進んでいます。
2023年12月末時点のNISA口座数は、つみたてNISAと一般NISAを合わせて約2,125万口座でした。新NISAが始まった2024年3月末時点では、約2,323万口座に増加しており、3ヵ月間で約200万口座増えています。これは、前年同期比の約2.6倍という驚異的な伸びです。
また、前述のとおり、最新のデータ(2025年3月末時点)では2,647万口座と、さらに1年間で300万口座超の増加しました。

総務省が公表している日本の人口データによると、2024年10月時点での18歳以上の人口は、約1億267万人であるため、4人に1人以上がNISA口座を開設している計算になります。これは、投資への意識の高まりが顕著にあらわれている結果ではないでしょうか。
とはいえ、利用経験者はまだ約28%という調査結果もあり 、多くの人にとって、これから始めるチャンスが十分にあると言えるでしょう。
では、実際にどのような人たちが新NISAを利用しているのでしょうか。
年代別に見ると、口座を開設しているのは将来を見据える20代以下の若年層の伸びが最も大きく、2024年以降に口座を開設した人のうち、18歳から29歳の女性が35.8%にものぼるというデータもあります。これは、若いうちからコツコツ資産形成を始めることの重要性が、広く浸透してきた証拠です。
一方で、実際に投資している金額を見ると、30代、40代といった現役世代が中心となっており、資産形成のまさに中核を担っています。この世代は所得が安定し、本格的に老後資金の準備を進める時期にあたるため、大きな投資枠を積極的に活用していると考えられます。
さらに、資産形成のラストスパートをかける50代、60代も退職後の生活を見据えて、これまでの貯蓄をより有利な非課税口座へ移すなど、それぞれのライフステージに応じた目的で新NISAを活用している様子がうかがえます。同時に、50代や60代で新たにNISAを始める人も増えており 、老後資金への備えとして活用する動きが活発化しています。資産形成は、もはや特定の世代だけのものではありません。
NISA口座数(2024年3月末時点)
| NISA口座数 | 年代別比率 | |
|---|---|---|
| 総数 | 約2,323万口座 | |
| 20代 | 約257万口座 | 11.1% |
| 30代 | 約407万口座 | 17.5% |
| 40代 | 約448万口座 | 19.3% |
| 50代 | 約438万口座 | 18.9% |
| 60代 | 約343万口座 | 14.7% |
| 70代 | 約273万口座 | 11.8% |
| 80代以上 | 約142万口座 | 6.1% |
口座開設数で見ると、特に20代が増加しています。前年同期比の口座数増加率は、全体が5.3ポイントに対し、20代は8.9ポイント上昇しており、若年層の投資意識が高まっていることがわかります。
一方で、60代以上の高齢世代の増加率は減少傾向にあり、若年層の台頭が目立ちます。これは、現役世代がNISAを積極的に活用していることを示唆しており、投資への関心の高まりが伺えます。
NISA口座数増加率
| 2022年12月末から 2023年3月末の増加率 | 2023年12月末から 2024年3月末の増加率 | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|
| 総数 | 4.0% | 9.3% | +5.3ポイント |
| 20代 | 5.3% | 14.2% | +8.9ポイント |
| 30代 | 4.7% | 9.9% | +5.2ポイント |
| 40代 | 4.2% | 10.9% | +6.6ポイント |
| 50代 | 4.3% | 11.0% | +6.7ポイント |
| 60代 | 2.4% | 7.4% | +5.0ポイント |
| 70代 | 1.3% | 4.0% | +2.7ポイント |
| 80代以上 | 3.3% | 3.2% | ▲0.1ポイント |
そして、最も注目すべきは年収別のデータです。新NISA利用者のうち、年収「500万円未満」の層が約7割(67.4%)を占めているのです。この事実は、「投資はお金持ちがやること」という長年のイメージを覆すものです。新NISAは、年収にかかわらず、将来のためにコツコツ資産を築きたいと考える、あらゆる人々のための制度として浸透し始めています。

気になるのは「みんなが実際にいくら投資しているのか」という点でしょう。2024年の1年間だけで、新NISAを通じて約17兆4,000億円もの資金が投資されました。内訳を見ると、成長投資枠が約12兆4,000億円、つみたて投資枠が約5兆円となっています。
一見、成長投資枠が圧倒的に人気に見えますが、これは制度開始時にまとまった資金を投資した人が多かった影響も考えられます。つみたて投資枠も前年から約2.9倍と大きく伸びており、毎月コツコツと積立投資を行うスタイルが着実に広がっていることがわかります。
投資対象として最も人気なのは、やはり投資信託です。特に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」といった、低コストで全世界や米国の株式にまとめて分散投資できるインデックスファンドが多くの人に選ばれています。
さらに興味深いのは、投資家の行動です。2024年にNISAで投資した人のうち、約8割(79.5%)が一度も商品を売却していませんでした。また、継続保有率も86.1%と非常に高く、多くの人が短期的な市場の変動に一喜一憂することなく、「長期・積立・分散」という資産形成の王道を冷静に実践していることがデータから読み取れます。

年代別に買付金額をみると、30代が約1兆円、40代、50代でそれぞれ1.2兆円以上買付されており、現役世代で投資枠が広く利用されていることがわかります。
口座数から平均買付額を計算すると、1口座あたり約26.6万円となります。ただし、これはあくまで平均値であり、口座を開設しただけでまだ投資をしていない人も含まれているため、実際にはもう少し多い可能性があります。
次に年代別の平均買付額を見てみましょう。以下の表にあるように、年代が上がるにつれて買付額も増加する傾向があります。
年代別買付額と平均買付額(2024年3月末時点)
| NISA買付額 | 1口座あたりの 平均買付額 | |
|---|---|---|
| 総数 | 約6兆1,791億円 | 約26.6万円 |
| 20代 | 約3,573億円 | 約13.9万円 |
| 30代 | 約9,893億円 | 約24.3万円 |
| 40代 | 約1兆2,353億円 | 約27.5万円 |
| 50代 | 約1兆2,688億円 | 約29.0万円 |
| 60代 | 約1兆1,675億円 | 約34.1万円 |
| 70代 | 約8,561億円 | 約31.3万円 |
| 80代以上 | 約2,908億円 | 約20.5万円 |
新NISAがスタートしてから、投資額は増加傾向にあります。2023年のNISA買付額は約5.2兆円でしたが、 新NISA開始からわずか3ヵ月で6.2兆円になりました。NISA全体の保有金額は30%も増加しており、新NISAの効果が表れていると言えるでしょう。
つみたて投資枠と成長投資枠の買付額を比較すると、成長投資枠で約5兆円、つみたて投資枠で約1兆円と、成長投資枠の方が多くなっています。
その理由は、成長投資枠は株式やETFなど、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資でき、かつ成長投資枠では年間240万円の非課税枠があること、一括投資が可能であることなどから、多様な投資戦略に対応できる点があげられます。一方、つみたて投資枠は、主にインデックスファンドへの積立投資に限定されます。
参考までに商品別に買付額の内訳を見ると、上場株式が40.2%、投資信託が56.7%、ETFが2.4%、REITが0.6%を占めています。
今回の調査データから見えてきたのは、新NISAが特定の層だけのものではなく、年代や年収にかかわらず、多くの普通の人々が将来への備えとして活用を始めているという紛れもない事実です。
利用者はまだ3割弱ですが、その勢いは加速しており、まさに「貯蓄から投資へ」という大きな流れが生まれています。利用しない理由として挙げられる「投資資金がない」「仕組みがわからない」といった不安も、年収500万円未満の層が7割を占める実態や、少額から始められる制度設計が、そのハードルを大きく下げてくれています。
周りの人がどれくらい投資しているのかを知り、「自分も始めてみようかな」と感じた方も多いのではないでしょうか。もちろん、今回紹介した平均額や投資スタイルが唯一の正解ではありません。大切なのは、無理のない範囲で、ご自身のペースで資産形成をスタートし、継続していくことです。
この記事が、あなたの賢い投資ライフの第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
※本記事の内容は、執筆時2025年7月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
この記事のリンクを経由して商品の購入やサービス申し込みをすると、売上の一部が当サイトに還元されることがあります。
当サイトに掲載する情報は、金融に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。最終的な決定は、ご自身の判断で行うようお願いします。
当サイトに掲載する情報は、各金融機関等の提供している情報に基づいていますが、実際のサービス内容や取引手数料、銘柄などに関する最新情報は公式サイトにてご確認ください。
また、当サイトに掲載する情報について、万全を期していますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。当サイトおよびリンク先サイトの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。