CAMPAIGN
RANKING
CATEGORY
NEW
POPULAR

「分散投資をしていれば安心!」…本当にそうでしょうか?
リスクを抑え、安定的なリターンを目指すための基本戦略として知られる分散投資。しかし、そのやり方を間違えると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。特に、「日本株と米国株に投資しているから大丈夫」と安心している方は要注意かもしれません。
近年、グローバル経済の連動性が高まり、かつて有効とされた分散効果が薄れてきているケースも見受けられます。あなたは「分散投資しているつもり」でも、実は特定の市場リスクに大きく晒されている可能性があるのです。
この記事では、分散投資におけるよくある誤解、特に日本株と米国株の組み合わせに潜むリスクを深掘りし、真の分散効果を得るための考え方を解説します。さらに、依然として魅力的な利回り水準(※)にある「米国債」に焦点を当て、そのメリットと注意すべきリスク、そしてポートフォリオへの賢い組み入れ方まで、徹底的に解剖していきます。
この記事を読めば、あなたの資産を守り、着実に増やしていくための、より洗練された投資戦略のヒントが見つかるはずです。
※2025年6月5日時点の米国10年債利回りは約4.357%
ハナコ日本株と米国株に投資していれば、十分に分散できていますか?



残念ながら、必ずしもそうとは言えません。近年、両市場の相関性が高まっており、世界的な経済ショック時には同時に下落する傾向が見られます。これは、グローバル経済の深化や投資家の行動パターンが影響しています。真の分散には、より多様な資産クラスや地域への目配りが必要です。
「日本株と米国株、両方に投資しているから地域分散はバッチリ!」そう考えている方も多いのではないでしょうか。確かに、異なる国の株式市場に投資することは分散投資の基本的な考え方の一つです。しかし、近年の市場動向を見ると、この組み合わせだけでは期待したほどの分散効果が得られないケースが増えています。
その主な理由は、日米株式市場の相関性が高まっていることにあります。グローバル化が進み、世界経済の相互依存度が増す中で、一方の市場が大きく変動すると、もう一方の市場も同様の動きを見せやすくなっているのです。特に、世界経済全体に影響を与えるような大きなショック(金融危機、パンデミック、地政学的リスクの高まりなど)が発生した場合、投資家が一斉にリスク回避行動を取るため、先進国の株式市場は国境を越えて連鎖的に下落する傾向が見られます。
例えば、2008年のリーマンショックの際には、米国の金融危機が瞬く間に世界中に波及し、日本株も米国株も大幅な下落を記録しました。また、記憶に新しい2020年のコロナショックや、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻とそれに伴う世界的なインフレ・金利上昇局面においても、両市場は同様に大きな影響を受けました。直近の2024年から2025年初頭にかけての市場を見ても、米国の金融政策の動向が日本市場にも強く影響を与える場面が散見されます。
日米主要株価指数の相関関係
グローバルな経済ショック時には相関が高まり、分散効果が薄れる傾向にあります。


もちろん、日米の経済サイクルや金融政策には違いがあり、常に完全に同じ動きをするわけではありません。しかし、「日本株と米国株に投資していれば、片方がダメでももう片方でカバーできる」という単純な期待は、特に大きな市場変動時には裏切られる可能性があることを理解しておく必要があります。
つまり、日本株と米国株という「先進国の株式」という同じ資産クラス内での地域分散だけでは、ポートフォリオ全体のリスクを十分に低減できない可能性があるのです。



本当に効果のある分散投資って、どうすればいいですか?



「資産クラス(株式、債券、不動産など)の分散」「地域(国内、先進国、新興国)の分散」「時間(積立投資など)の分散」という3つの軸で考えることが基本です。特にインフレ時代には、現金の価値を守るために、インフレに強いとされる資産への分散も重要になります。
では、日本株と米国株の組み合わせだけでは不十分だとしたら、どのような考え方で分散投資を行えば良いのでしょうか。そして、現在のインフレが続く経済環境の中で、私たちの資産を「守る」ためには何が重要なのでしょうか。
効果的な分散投資を実現するためには、主に3つの「分散」を意識する必要があります。
仮に、ある投資家が100万円を投資する場合、資産分散をせずに全額を国内株式に投資したとします。この場合、国内株式市場が下落すれば、ポートフォリオ全体の価値も大きく下落します。
一方で、資産分散を行い、以下のように資金を分けて投資したとします。
| 国内株式:40万円 海外株式:30万円 債券:20万円 不動産投資信託(REIT):10万円 |
この場合、もし国内株式市場が下落しても、海外株式や債券、REITのパフォーマンスによってリスクが分散され、ポートフォリオ全体の損失を抑えることができます。
効果的な分散投資を実現する3つの柱。これらをバランス良く組み合わせることが重要です。


投資の目的は資産を「増やす」ことだけではありません。特に、現在の日本のように物価上昇(インフレーション)が継続している状況では、資産の価値を「守る」という視点が非常に重要になります。なぜなら、インフレが進むと、現金の価値は実質的に目減りしてしまうからです。例えば、年2%のインフレが続けば、10年後には現在の100万円の価値は約82万円に、20年後には約67万円になってしまいます。銀行預金の金利がほぼゼロに近い現状では、預貯金だけではインフレに太刀打ちできません。
インフレによる現金の価値目減りイメージ。何もしなければ、お金の価値は下がっていきます。


このようなインフレリスクから資産を守るためには、インフレに強いとされる資産をポートフォリオに組み入れることが有効です。一般的に、インフレ時には実物資産である不動産や、企業の収益増加が期待できる「株式」、そして「金」などのコモディティは、価格が上昇しやすい傾向があると言われています。
そして、もう一つ注目したいのが、インフレ抑制のために金利が引き上げられる局面で、相対的に魅力が増す「債券」、特に信用力の高い国の国債です。





なぜ今、米国債に注目が集まっているのですか?リスクはないですか?



現在も、米国の政策金利が高水準にあるため、米国債の利回りが相対的に魅力的だからです。安全性も高いとされますが、金利変動リスク(金利が上がると債券価格は下がる)、為替リスク、インフレリスクは存在します。長期保有と分散投資がリスク管理の鍵です。
インフレ時代の資産防衛と分散投資の観点から、近年特に注目度が高まっているのが「米国債」です。ここでは、その基本的な仕組みから、現在の市場環境における魅力、そして投資する上での注意点やリスクについて、詳しく解説します。
米国債とは、その名の通り、アメリカ合衆国政府が発行する債券です。投資家は米国債を購入することで、アメリカ政府にお金を貸し、満期(償還日)になると元本(額面金額)が返ってくるとともに、保有期間中は定期的に利子(クーポン)を受け取ることができます(利付債の場合)。
アメリカは世界最大の経済大国であり、その政府が発行する米国債は、国際的に最も信用力が高く、流動性も非常に高いことから「安全資産」の代表格とされ、世界中の投資家や中央銀行に広く保有されています。
現在、米国債が特に魅力的な投資対象として注目されている主な理由は、相対的に高い利回り水準にあります。2022年以降、米国では歴史的なインフレを抑制するために大幅な利上げが行われ、その結果、政策金利が高水準で推移しています。これに伴い、新しく発行される米国債の利回りも上昇しました。
例えば、2025年7月10日時点での米国10年物国債の利回りは約4.334%と、日本の国債利回り(同期間で約1.510%)と比較しても、また数年前の米国債利回りと比較しても、依然として魅力的な水準にあります。
この高い利回りは、インフレに負けない実質的なリターンを期待できる可能性を示唆しており、また、株式市場が不安定な時期には、相対的に安定した収益源としてポートフォリオの安定化に貢献することが期待されます。
米国10年債利回りの推移グラフ
米国10年債利回りの推移(2025年7月10日時点)。高水準の利回りが続いています。


現在の高利回りに加え、米国債投資には以下のような普遍的なメリットがあります。
魅力的な米国債投資ですが、もちろんリスクも存在します。主な注意点を理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。


米ドル/円為替レートの推移(2025年6月5日時点)
為替変動は米国債投資のリターンに大きな影響を与えます。


これらのリスクを管理するためには、満期まで保有することを基本とし(金利変動リスクの影響を軽減)、為替リスクを許容できる範囲で投資する、あるいは他の資産と組み合わせることでポートフォリオ全体のリスクを分散することが重要です。



結局、どんなポートフォリオを組めばいいんですか?



「これ一つで完璧」というポートフォリオはありません。ご自身の年齢、リスク許容度、投資目標に合わせて、株式(国内・先進国・新興国)、債券(国内・先進国・米国債)、不動産(REIT)、コモディティ(金など)をバランス良く組み合わせることが基本です。NISAやiDeCoといった制度の活用も鍵となります。
日本株と米国株の組み合わせだけでは不十分であり、米国債も魅力的な選択肢の一つであると理解した上で、では具体的にどのように分散投資ポートフォリオを構築していけば良いのでしょうか。
ポートフォリオ構築の一つの考え方として「コア・サテライト戦略」があります。これは、ポートフォリオの中心となる「コア(核)」部分には、長期的に安定した成長が見込める低コストのインデックスファンド(例:全世界株式やS&P500、あるいはこれらを組み合わせたバランスファンド)を据え、その周りの「サテライト(衛星)」部分で、より積極的なリターンを狙う資産(例:特定のテーマ型ファンド、個別株、新興国株など)や、コア資産とは異なる値動きをする資産(例:金、不動産REIT、そして今回のテーマである米国債など)を、リスク許容度に応じて組み入れる戦略です。
コア部分で全体の安定性を確保しつつ、サテライト部分でプラスアルファのリターンやさらなる分散効果を狙います。


日本で資産運用を行う上で、新NISAとiDeCoという税制優遇制度を活用しない手はありません。
これらの非課税枠を優先的に活用し、その中で効果的な分散投資を行うことが、効率的な資産形成の鍵となります。
NISAとiDeCoについて詳しく知りたい人はこちら
具体的なポートフォリオは、個人の年齢、リスク許容度、投資目標、投資期間などによって大きく異なります。以下はあくまで一般的な考え方に基づく一例です。
これらの比率はあくまで一例です。ご自身の状況に合わせて調整し、必要であればファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
リスク許容度別ポートフォリオ例
ご自身の状況に合わせて最適なバランスを見つけましょう。


ポートフォリオは一度作ったら終わりではありません。市場の変動によって、当初決めた資産配分のバランスは時間とともに崩れていきます。例えば、株式市場が好調で株価が大きく上昇すると、ポートフォリオに占める株式の割合が高くなり、意図せずリスクを取りすぎている状態になることがあります。
そこで重要になるのが、年に1回など定期的にポートフォリオの状況を確認し、崩れた資産配分を元の計画した比率に戻す「リバランス(資産配分の再調整)」という作業です。具体的には、値上がりして比率が高くなった資産を一部売却し、値下がりして比率が低くなった資産を買い増します。これにより、ポートフォリオのリスク水準を適切にコントロールし、長期的に安定した運用を目指すことができます。



米国債の魅力はよく分かりました!でも、いざ買おうと思っても、具体的にどうすればいいか分かりません…



良い質問ですね。米国債に投資するには、主に3つの方法があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
米国債への投資は、主に「個別債券」「投資信託」「ETF(上場投資信託)」の3つの方法で行います。特に新NISAの成長投資枠を活用すれば、税金のメリットを受けながら手軽に始めることが可能です。
米国債への3つの投資方法:個別債券・投資信託・ETF
米国債に投資するには、主に3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ご自身の投資スタイルや目的に合わせて選ぶことが重要です。
| 項目 | 個別債券 | 投資信託 | ETF (上場投資信託) |
|---|---|---|---|
| 購入の難易度 | △ やや難しい (証券会社の対面や一部ネット証券で取り扱い) | ◎ かんたん (主要なネット証券で多数取り扱い) | ○ やさしい (株式と同様に証券口座で売買可能) |
| 最低投資金額 | △ 比較的高額 (100ドルや1,000ドル単位から) | ◎ 少額から (100円や1,000円から積立可能) | ○ 少額から (1口数千円~数万円程度から) |
| 分散効果 | × なし (特定の銘柄に集中投資) | ◎ 自動で分散 (様々な満期の債券などを複数組入れ) | ◎ 自動で分散 (ファンドが複数の債券に投資) |
| コスト (信託報酬など) | ○ なし (購入時の手数料や為替スプレッドのみ) | △ あり (保有期間中、年率で信託報酬がかかる) | ○ あり (信託報酬は投資信託より低い傾向) |
| 満期と償還 | ○ あり (満期になれば額面金額が戻ってくる) | × なし (個別の満期はなく、いつでも解約可能) | × なし (個別の満期はなく、いつでも売却可能) |
| 価格の透明性 | △ 分かりにくい (相対取引のため、価格が業者により異なる) | ○ 分かりやすい (1日1回算出される基準価額で取引) | ◎ 非常に高い (市場でリアルタイムに価格が変動) |
| 新NISAの利用 | × 対象外 | ○ 対象 (つみたて投資枠・成長投資枠) | ○ 対象 (成長投資枠) |
| こんな人におすすめ | 満期まで保有し、確実に額面金額を受け取りたい人 まとまった資金がある人 | 少額からコツコツ積立したい初心者 手間をかけずに分散投資したい人 | リアルタイムで価格を見ながら機動的に売買したい人 コストを抑えつつ分散投資したい人 |
※投資信託とETFは、どちらも手軽に分散投資が始められる点が大きなメリットです。コストをより重視するならETF、積立設定などの手軽さを重視するなら投資信託が選択肢になります。
※個別債券は、満期まで保有すれば購入時に約束された利回りが得られる安心感が魅力ですが、購入のハードルがやや高いです。
初心者の方や少額から始めたい方は、多くの債券に自動で分散してくれる投資信託やETFがおすすめです。特に新NISAの成長投資枠を使って、米国債関連のETFや投資信託を購入するのが、現在の主流な始め方と言えるでしょう。



買った後のことも気になります。もしアメリカの金利が下がってきたら、どう考えればいいですか?



それは重要な視点ですね。金利が下がる局面は、債券投資家にとって大きなチャンスにもなり得ます。出口戦略として2つの選択肢を知っておきましょう。
市場金利が下がると、すでにより高い金利で発行されている債券の価値は相対的に上がります。この特性を活かした出口戦略は主に2つ考えられます。
ご自身の投資目標に合わせて、どちらの戦略を取るか、あるいは組み合わせるかを検討しましょう。
初心者の方には、定期的にキャッシュフローが生まれることで投資効果を実感しやすい「利付債」がおすすめです。ゼロクーポン債は利子がない分、金利変動による価格の変動が大きくなる傾向があります。
確かに米国の財政赤字は巨額ですが、基軸通貨ドルを発行できること、世界最大の経済・軍事大国であることから、現時点で米国債のデフォルト(債務不履行)リスクは極めて低いと考えられています。世界中の政府や機関投資家が保有していることが、その信頼性の証左です。
米国債ETFは競争が激しく、経費率は非常に低い傾向にあります。具体的な銘柄にもよりますが、年率0.1%前後かそれ以下のものが多く、この水準が一つの目安になるでしょう。
分散投資は、リスクを抑えながら安定的なリターンを目指すための、資産運用の基本中の基本です。しかし、単に「日本株と米国株に投資しているから大丈夫」といった「つもり分散」では、グローバル経済が複雑に絡み合う現代において、思わぬリスクに直面する可能性があります。
この記事では、日米株集中投資の落とし穴から、真の分散投資を実現するための「資産クラス・地域・時間」という3つの軸、そしてインフレ時代における資産防衛の重要性について解説しました。特に、2025年6月現在も魅力的な利回り水準にある米国債は、ポートフォリオの安定性を高める上で有効な選択肢の一つとなり得ますが、金利変動リスクや為替リスクといった注意点も十分に理解しておく必要があります。
最終的にどのようなポートフォリオを組むかは、ご自身の年齢、リスク許容度、そして何よりも「何のために資産形成をするのか」という明確な目標によって異なります。新NISAやiDeCoといった有利な制度を最大限に活用し、株式、債券、不動産、コモディティといった多様な資産クラスに目を向け、そして定期的な見直しを怠らないこと。これが、変化の激しい時代において、あなたの資産を守り、着実に育てていくための王道と言えるでしょう。
【最初の一歩として】
この記事が、あなたの投資戦略を見直し、より賢明な資産形成への一歩を踏み出すためのお役に立てれば幸いです。焦らず、じっくりと、しかし着実に、未来のための資産を築いていきましょう。
※本記事の内容は、執筆時2025年7月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
※投資は自己責任です。この記事は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
この記事のリンクを経由して商品の購入やサービス申し込みをすると、売上の一部が当サイトに還元されることがあります。
当サイトに掲載する情報は、金融に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。最終的な決定は、ご自身の判断で行うようお願いします。
当サイトに掲載する情報は、各金融機関等の提供している情報に基づいていますが、実際のサービス内容や取引手数料、銘柄などに関する最新情報は公式サイトにてご確認ください。
また、当サイトに掲載する情報について、万全を期していますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。当サイトおよびリンク先サイトの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。