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退職金ありでもiDeCoはやるべき?メリット・デメリットとNISAとの賢い使い分け

「うちの会社、退職金制度があるから、iDeCo(イデコ)までやる必要ないかな?」
「退職金とiDeCoを一緒にもらうと、税金が高くなるって聞いたけど…」

会社員の方で、特に退職金制度が整っている企業にお勤めの場合、iDeCoへの加入をためらったり、メリットに疑問を感じたりする方も少なくないでしょう。確かに、iDeCoの最大の魅力の一つである「受取時の税制優遇(退職所得控除)」は、会社の退職金額によってその効果が薄れるケースもあります。

しかし、結論から言えば、多くの場合、退職金があってもiDeCoをやるメリットは十分に存在します なぜなら、iDeCoには「受取時」だけでなく、「掛金拠出時」と「運用期間中」にも強力な税制メリットがあるからです。

この記事では、退職金制度がある会社員の方がiDeCoを検討する際に知っておくべき、メリット・デメリット、そして最も気になる「退職所得控除」との関係性を、具体的なシミュレーションを交えて徹底解説します。さらに、iDeCoと新NISA、どちらを優先すべきか、どう使い分けるべきかについても、あなたの状況に合わせた判断基準を提示します。

この記事を読めば、あなたがiDeCoをやるべきかどうかの納得のいく答えが見つかるはずです。

CONTENTS

退職金があってもiDeCoは魅力的?3つの「節税メリット」を再確認

ハナコ

退職金があっても、iDeCoの節税メリットは受けられますか?

ケンタ

はい、受けられます。特に「掛金の全額所得控除」と「運用益の非課税」は、退職金の有無に関わらず大きなメリットです。「受取時の控除」は退職金額に影響されますが、それでもトータルで得になるケースは多いです。

新NISAの登場で「iDeCoはもう不要?」という声も聞かれますが、それは早計です。iDeCoには、新NISAにはない独自の税制メリットがあり、特に現役時代の所得税・住民税を軽減したいと考える会社員にとっては、依然として非常に魅力的な制度です。退職金制度の有無に関わらず、まずはiDeCoが持つ3つの強力な節税エンジンを理解しましょう。

メリット①:掛金が全額「所得控除」→毎年の税金が安くなる!
これがiDeCo最大の武器の一つです。毎月(または毎年)iDeCoに拠出する掛金は、その全額があなたの所得から差し引かれます(所得控除)。つまり、課税対象となる所得が減るため、その年の所得税と翌年の住民税が軽減されるのです。この効果は、所得税率が高い方ほど大きくなります。例えば、年収5,000,000円(所得税・住民税率合計20%と仮定)の方が毎月20,000円(年間240,000円)をiDeCoに拠出すれば、年間約48,000円の節税になります。この「毎年の節税」は、退職金の有無とは関係なく享受できる大きなメリットです。

メリット②:運用で増えた利益が「非課税」→効率的に資産が育つ!
通常、投資信託の売買で得た利益や分配金、定期預金の利息などには約20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCo口座内での運用であれば、これらの運用益がすべて非課税になります。非課税で得た利益を再投資することで、複利効果がより高まり、効率的に資産を育てることができます。これも、退職金の有無とは関係なく受けられるメリットです。

メリット③:受け取る時も「控除」がある→ただし退職金との兼ね合いが重要!
iDeCoで積み立てた資産を60歳以降に受け取る際にも、税制優遇があります。一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用され、税負担が軽減されます。
ここで重要になるのが、会社の退職金との関係性です 特に一時金で受け取る場合、会社の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を分け合う(あるいは有利な方で計算する)ことになるため、退職金が多い場合はiDeCoの受取時控除のメリットが薄れることがあります。この点については後ほど詳しく解説しますが、たとえ受取時に多少税金がかかったとしても、拠出時の所得控除と運用益非課税のメリットがそれを上回れば、iDeCoをやる価値は十分にあると言えます。

「iDeCoの仕組みが複雑で難しそう…」と感じる方もいるかもしれませんが、これらの税制メリットは非常に大きいため、理解して活用しないのはもったいないかもしれません。まずは基本的な仕組みを知り、ご自身の状況に当てはめて考えてみることが大切です。

NISAとiDeCoについて詳しく知りたい人はこちら

【最重要】退職所得控除の仕組みとiDeCo・退職金の受け取り方【税制改正動向も】

Image: Canva
ハナコ

iDeCoと退職金を一時金でもらう場合、税金はどうなりますか?

ケンタ

同じ年に受け取ると、退職金とiDeCoの合計額に対して、勤続年数とiDeCo加入期間の長い方で計算した「退職所得控除」が適用されます。控除額を超えた部分の1/2が課税対象です。ただし、退職所得控除制度自体が見直し議論中である点に注意が必要です。

iDeCoの出口戦略を考える上で、特に会社から退職金が支給される方が最も理解しておくべきなのが退職所得控除の仕組みと、それがiDeCoの一時金受け取りにどう影響するかです。ここを理解することが、賢い節税術の第一歩となります。

退職所得控除とは?計算方法と「勤続年数/iDeCo加入期間」の考え方

退職所得控除は、長年の勤務に対する功労に報いるなどの目的で設けられている、非常に手厚い所得控除です。iDeCoを一時金で受け取る場合も、この退職所得控除が適用されます。

控除額は、「勤続年数」または「iDeCoの加入期間(掛金を拠出した期間)」に基づいて、以下の計算式で算出されます。

勤続年数またはiDeCo加入年数※退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数またはiDeCo加入年数※
(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数またはiDeCo加入年数※-20年)
Money Cycle編集部作成(2025年5月29日時点)

ただし、この控除制度は将来変更される可能性について議論されています。

重要なのは、会社からの退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取る場合です。この場合、両方の金額を合算したものが「退職所得」となり、控除額の計算に使われる年数は、会社の勤続年数とiDeCoの加入期間(※)のうち、どちらか長い方の年数が適用されます。

※iDeCoの加入期間は、実際に掛金を拠出した期間で計算されます。運用指図のみの期間は通常含まれませんが、詳細は加入しているiDeCoの運営管理機関にご確認ください。

例えば、Aさんが会社に38年間勤務し(勤続38年)、そのうち35歳から60歳までの25年間iDeCoに加入していたとします。この場合、退職所得控除の計算に使われる年数は、長い方の38年となります。計算式に当てはめると、800万円 + 70万円 × (38年 - 20年) = 2,060万円が退職所得控除額となります。

課税される退職所得は、以下の計算式で算出されます。この金額に対して、他の所得とは分離して所得税・住民税が課税されます。

退職所得(退職 + iDeCo一時金) – 退職所得控除 – 1/2 = 課税退職所得

【要注意】退職所得控除制度の見直し議論とその影響(2025年5月時点)

ここで非常に重要な注意点があります。現在、政府・与党内では、この退職所得控除のあり方について、見直しが検討されています 特に、勤続年数が20年を超えると1年あたりの控除額が大きくなる現行の仕組み(いわゆる「20年超優遇」)が、働き方の多様化に合わないのではないか、といった議論が出ています。

具体的な改正内容や時期はまだ未定ですが、将来的には控除額の計算方法が変更されたり、控除額自体が縮小されたりする可能性があります。これが実現すると、iDeCoを一時金で受け取る際の税負担が、現行制度よりも重くなるケースが出てくるかもしれません。
このため、出口戦略を考える際には、現行制度を理解しつつも、将来的な制度変更のリスクも念頭に置き、最新の税制改正情報を常に確認していく姿勢が不可欠です。

ケース別シミュレーション:あなたの退職金とiDeCo、税金はどうなる?

ハナコ

退職金が多いとiDeCoのメリットはないのでしょうか?

ケンタ

退職金が多いと、iDeCo一時金受取時の「退職所得控除」の恩恵は小さくなる可能性があります。しかし、iDeCoの最大のメリットである「掛金の全額所得控除」は退職金の有無に関わらず受けられます。受取時の税負担を考慮しても、拠出時の節税効果が上回れば、iDeCoをやる価値は十分にあります。

では、実際に退職金の額によって、iDeCoの一時金受け取り時の税金や、iDeCo全体のメリットがどう変わるのか、具体的なケースで見ていきましょう。ここでの「退職金が少ない/多い」の判断基準は、主に退職所得控除の枠を使い切るかどうかです。

ケース1:退職金が比較的少なく、iDeCoと合わせても控除枠に収まる場合

例えば、勤続38年(退職所得控除2,060万円)の方が、会社の退職金800万円、iDeCoの一時金700万円を同じ年に受け取ったとします。
この場合、退職所得の合計は1,500万円となり、退職所得控除額2,060万円の範囲内に収まります。したがって、課税退職所得は0円となり、iDeCo一時金受け取り時に所得税・住民税はかかりません

このケースでは、iDeCoの3つの税制メリット、つまり①掛金の全額所得控除、②運用益の非課税、③受取時の非課税(控除枠内)の全てを最大限に享受できることになります。
例えば、年収500万円の方が35歳から月10,000円をiDeCoで30年間積み立てた場合、拠出時の所得控除による節税額の累計は約720,000円にもなります(※)。受取時にも税金がかからないのであれば、この約720,000円がまるまる手元に残るメリットとなるわけです。

※iDeCo公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」で試算

ケース2:退職金が比較的多く、iDeCoと合わせると控除枠を超える場合

次に、退職金が多いケースを考えてみましょう。勤続30年(退職所得控除1,500万円)の方が、会社の退職金1,800万円、iDeCoの一時金700万円を同じ年に受け取ったとします。
退職所得の合計は2,500万円。退職所得控除額は1,500万円なので、控除を超えた1,000万円の1/2である500万円が課税退職所得となります。
この500万円に対する所得税・住民税は、既存記事の計算例を参考にすると、おおよそ1,080,000円程度となります(※)。

※復興特別所得税含む。税率は2025年5月時点のものを適用し、最新の税額表で要確認

もし、この方がiDeCoを利用せず、会社の退職金1,800万円のみを受け取った場合の税金はいくらになるでしょうか。退職所得控除1,500万円を差し引くと、課税退職所得は(1,800万円 – 1,500万円)× 1/2 = 150万円。これに対する税金はおおよそ225,000円程度です。
つまり、このケースでは、iDeCoの一時金700万円を受け取ることによって、追加で約855,000円(1,080,000円 – 225,000円)の税金が発生した計算になります。

「それならiDeCoはやらない方が良かったの?」と思うかもしれませんが、ここで重要なのがiDeCo拠出時の所得控除メリットとの比較です。
仮にこの方が、平均年収600万円で、35歳から月20,000円を30年間iDeCoに積み立てていたとしましょう。iDeCo公式サイトのシミュレーターなどで試算すると、拠出時の所得控除による節税額の累計は約1,440,000円にもなります。
この場合、受取時に約855,000円の税負担が発生したとしても、拠出時の節税メリット約1,440,000円から差し引くと、トータルでは約585,000円のメリットが残る計算になります。

このように、退職金が多くてiDeCo受取時に税金がかかる場合でも、拠出期間中の所得控除のメリットがそれを上回れば、iDeCoをやる価値は十分にあるのです。ただし、この損益分岐点は、年収(所得税率)、掛金額、加入期間、そして将来の退職所得控除制度の内容によって大きく変わるため、個別のシミュレーションが不可欠です。

iDeCoの出口戦略詳しく知りたい人はこちら

iDeCoかNISAか?退職金がある会社員のための賢い制度使い分け

ハナコ

退職金がある会社員は、iDeCoとNISA、どっちを優先すべきですか?

ケンタ

一概には言えません。毎年の所得控除を重視し、60歳まで使わない老後資金ならiDeCo。運用益非課税で、いつでも引き出せる自由度を重視するならNISA。退職金額やご自身の税率、資金の使途によって最適なバランスは異なります。両方のメリットを理解し、併用するのが理想的です。

「退職金があるなら、無理にiDeCoじゃなくて、新NISAを優先した方がいいのでは?」という疑問も当然出てくるでしょう。iDeCoと新NISAは、どちらも優れた税制優遇制度ですが、その特徴は異なります。退職金制度がある会社員の方が、どちらを、あるいは両方をどのように活用すべきか、判断のポイントを解説します。

まず、iDeCoの最大の強みは「掛金の全額所得控除」です。これは、現役時代の所得税・住民税を直接的に軽減してくれるため、特に所得が高い方や、節税意識の高い方にとっては非常に大きなメリットです。運用益非課税も魅力ですが、受取時の税金(退職所得控除との兼ね合い)が不確定要素となり得ます。また、原則60歳まで引き出せないという資金拘束があります。

一方、新NISAの最大の強みは「運用益の完全非課税」と「引き出しの自由度の高さ」です。いつ、いくら引き出しても税金はかかりませんし、売却すれば非課税枠も翌年以降に復活します。老後資金だけでなく、住宅資金や教育資金など、様々なライフイベントのための資金準備にも柔軟に対応できます。ただし、iDeCoのような掛金の所得控除はありません。

退職金がある会社員の判断ポイント

  1. 現在の所得税・住民税率と、iDeCoによる節税効果:
    所得税率が高い方ほど、iDeCoの所得控除メリットは大きくなります。ご自身の税率を確認し、iDeCoに拠出した場合の具体的な年間節税額を試算してみましょう。これがNISAにはない直接的なメリットです。
  2. 退職金の見込額と、iDeCo受取時の退職所得控除の余力:
    退職金が非常に多く、iDeCo一時金と合算すると退職所得控除枠を大幅に超えてしまう場合は、iDeCoの受取時メリットは小さくなります。しかし、前述の通り、それでも拠出時の節税メリットが上回る可能性はあります。
  3. 資金の使途と必要な時期:
    60歳まで確実に使わない「純粋な老後資金」であればiDeCoのデメリットは問題になりにくいですが、それより前に使う可能性のある資金(教育費など)であれば、いつでも引き出せるNISAの方が適しています。
  4. 2025年度iDeCo制度改正の影響:
    掛金上限額がアップすれば、iDeCoの所得控除メリットをより大きく享受できるようになります。また、加入可能年齢が70歳未満に引き上げられれば、退職後も拠出を続けることで出口戦略の柔軟性が増します。

結論としては、多くの場合、退職金があってもiDeCoの所得控除メリットは魅力的であり、新NISAと「併用」するのが最も賢い選択と言えるでしょう。iDeCoで確実に節税しながら老後資金のコアを作り、新NISAでより柔軟性の高い資産形成を目指す、という使い分けです。ただし、ご自身の具体的な状況(年収、退職金、ライフプランなど)を詳細にシミュレーションし、必要であれば専門家のアドバイスも受けることが重要です。

NISAiDeCo
つみたて投資枠成長投資枠
概要投資から得られる利益(配当や売却益など)が非課税になる制度です。一般NISAでは年間120万円まで、つみたてNISAでは年間40万円までの投資が可能です。非課税の恩恵を受けられる期間に制限があります。自身で掛金を選択し、老後の資金を自分で運用する個人型の確定拠出年金制度です。掛金は所得控除の対象となり、運用益についても非課税です。60歳まで引き出しはできませんが、長期的な資産形成に最適です。
加入対象日本在住の18歳以上65歳未満の国民年金加入者
税制メリット積立・拠出時なし積立時の掛金が全額所得控除の対象
運用中運用益が非課税
受取時なし受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
最低積立金額100~10,000円(金融機関により異なる)5,000円
年間投資上限額120万円240万円14.4~81.6万円(職業などにより異なる)
併用した場合360万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税保有期間無期限最長75歳まで
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託一定の国内外の上場株式・ETF・投資信託など投資信託・定期預金・保険商品
購入方法積立のみスポット・積立積立のみ
引き出しいつでも可原則60歳以降
Money Cycle編集部作成(2025年4月27日時点)

NISAとiDeCoについて詳しく知りたい人はこちら

2025年度iDeCo制度改正のポイントと、退職金があるあなたの戦略への影響

ハナコ

2025年度のiDeCo制度改正は、退職金がある私のiDeCo戦略にどう影響しますか?

ケンタ

掛金上限アップは拠出時の節税メリットを増大させ、加入年齢70歳未満への延長は出口戦略の柔軟性を高めます。特に「退職後のiDeCo継続」がより有効になる可能性があります。一方で、受取時の「10年ルール」導入は、退職金との受け取りタイミングをより慎重に計画する必要性を生みます。

2025年度に予定されているiDeCo制度の改正は、退職金制度がある会社員の方にとっても、iDeCoの活用戦略や出口戦略を見直す良い機会となります。主な改正点とその影響を整理しましょう。

  • 掛金上限額の大幅アップ:
    企業年金のない会社員は月額62,000円まで、自営業者は月額75,000円までなど、多くの方で拠出できる金額が増えます。これは、iDeCoの最大のメリットである「掛金の全額所得控除」をより大きく享受できることを意味します。退職金の見込み額がある程度多く、iDeCoの受取時控除のメリットが薄れそうな方でも、この拠出時の節税効果が大きければ、iDeCoをやる価値はさらに高まります。
  • 加入・拠出可能年齢の70歳未満への引き上げ:
    これまで原則65歳未満だったiDeCoへの掛金拠出が、70歳未満まで可能になります。これにより、例えば60歳で定年退職し退職金を受け取った後も、再雇用や個人事業などで働き続ける場合、70歳近くまでiDeCoに拠出し続けることで、所得控除を受けつつ、iDeCoの加入者等期間を延ばし、将来の受取時の退職所得控除をより有利にするという戦略が取りやすくなります。これは、「10年ルール」を意識した出口戦略とも相性が良いと言えるでしょう。
  • 受取時の「10年ルール」導入(2026年1月~):
    前述の通り、iDeCo一時金を先に受け取り、その10年未満に会社の退職金を受け取ると、後者の控除額が調整される可能性があります。これにより、退職金とiDeCo一時金の受け取りタイミングの計画が、これまで以上に重要になります。安易な同時受け取りは避け、10年以上空ける、iDeCoを年金で受け取る、あるいはiDeCoの受取開始を遅らせるなどの対策を、ご自身の状況に合わせて検討する必要があります。

これらの改正は、iDeCoをより長く、より多く活用できるチャンスを広げる一方で、出口戦略の複雑性を増す側面もあります。ご自身の退職時期や退職金額、そして60歳以降の働き方などを踏まえ、最新の制度内容を理解した上で、最適な活用法を見つけていくことが大切です。

iDeCoの出口戦略詳しく知りたい人はこちら

よくある質問(FAQ)【退職金とiDeCoに関するQ&A】

iDeCo(イデコ)とは、改めてどんな制度ですか?

iDeCo(イデコ)は、個人型の確定拠出年金制度です。自分で掛金を拠出し、自分で運用商品を選び、その運用成果を原則60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。最大の魅力は、①掛金が全額所得控除、②運用益が非課税、③受け取り時にも控除があるという3段階の強力な税制優遇です。2025年度からは、拠出上限額の引き上げや加入可能年齢の70歳未満への延長など、さらに使いやすくなる見込みです。

iDeCoのメリットとデメリットを教えてください。

メリットは、やはり強力な節税効果です。「掛金の全額所得控除」は所得税・住民税を軽減し、「運用益非課税」で効率的に資産を増やせます。「受取時の控除」も魅力ですが、会社の退職金が多い場合は、一時金受取時の税メリットが薄れる可能性があります。
デメリットは、「原則60歳まで引き出せない」こと、「運用リスクがある」こと、そして「受取時の税金計算や手続きが複雑」なことです。特に退職金との兼ね合いで、最適な受け取り方の検討が必要になります。

退職金が多い場合、iDeCoの「受取時」の税制メリットは本当になくなりますか?

必ずしも「なくなる」わけではありませんが、「薄れる」可能性はあります。iDeCoを一時金で受け取る際の「退職所得控除」は、同じ年に受け取る会社の退職金と合算して計算され、控除枠も勤続年数とiDeCo加入期間の長い方で一本化されます。そのため、会社の退職金だけで退職所得控除枠をほぼ使い切ってしまう場合は、iDeCo部分にかかる税金が増えることがあります。ただし、それでもiDeCoの「拠出時の所得控除」と「運用益非課税」のメリットが、受取時の税負担を上回れば、トータルではiDeCoをやる価値があると言えます。

2025年度からのiDeCo制度改正で、退職金がある会社員のメリットは増えますか?

はい、増える可能性が高いです。まず、掛金上限額がアップすれば、それだけ毎年の所得控除額が増え、節税効果が高まります。これは退職金の有無に関わらず大きなメリットです。また、加入・拠出可能年齢が70歳未満へ引き上げられることで、例えば60歳で退職金を受け取った後もiDeCoへの拠出を継続し、iDeCoの「加入者等期間」を延ばして将来の受取時の控除枠を有利にする、といった戦略が取りやすくなります。

退職所得控除が将来「改悪」されるかもしれないと聞きましたが、それでもiDeCoをやるべきですか?

現在、退職所得控除の見直しが議論されているのは事実です。もし将来的に控除額が縮小されれば、iDeCo一時金受け取りの税メリットは現在より小さくなる可能性があります。しかし、iDeCoには「掛金の全額所得控除」と「運用益非課税」という、受取時の税制とは独立した大きなメリットがあります。これらのメリットだけでも、多くの方にとってiDeCoをやる価値は十分にあると考えられます。大切なのは、最新の税制情報を確認しつつ、ご自身の状況に合わせて総合的に判断することです。

まとめ:退職金があってもiDeCoは有力!NISAとの合わせ技で賢く未来設計

会社に退職金制度があるからといって、iDeCoのメリットが完全になくなるわけではありません。特に、毎年の掛金が全額所得控除になるという強力な節税効果は、現役時代の所得税・住民税負担を直接的に軽減してくれます。また、運用期間中の利益が非課税になる点も、長期的な資産形成において大きなアドバンテージです。

確かに、会社の退職金額が大きい場合、iDeCoを一時金で受け取る際の「退職所得控除」の恩恵は相対的に小さくなる可能性があります。しかし、それでも拠出時の節税メリットや運用益非課税のメリットが、受取時の税負担を上回るケースは少なくありません。

2025年度からのiDeCo制度改正(掛金上限アップ、加入年齢70歳未満へなど)は、iDeCoの魅力をさらに高め、より多くの人が、より柔軟に活用できる道を開きます。一方で、受け取り時の「10年ルール」導入や、議論されている退職所得控除自体の見直しといった動きは、出口戦略をより慎重に考える必要性を示唆しています。

最終的には、ご自身の年収、退職金の見込額、iDeCoの加入期間、そして将来のライフプランを総合的に考慮し、iDeCoと新NISA、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適なバランスで活用していくことが、賢明な資産形成プランと言えるでしょう。

【最初の一歩として】

  1. まずはiDeCo公式サイトのシミュレーションツールなどを使い、ご自身のケースで拠出時の節税額がどの程度になるか試算してみましょう。
  2. 会社の退職金規程を確認し、おおよその退職金額を把握しましょう。
  3. その上で、iDeCoの出口戦略(特に退職所得控除との関係)について、この記事を参考にしつつ、必要であればファイナンシャルプランナーや税理士といった専門家に相談することをおすすめします。

この記事が、あなたがiDeCoをより深く理解し、賢い選択をするための一助となれば幸いです。

iDeCoの出口戦略詳しく知りたい人はこちら

※本記事の内容は、執筆時2025年5月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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