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S&P 500 vs 全世界株式|新NISAで積立投資するならどっち?メリット・デメリットを徹底解説

「新NISAを始めたいけど、人気のS&P 500と全世界株式、結局どっちを選べばいいの?」

2024年から始まった新NISA制度を機に、資産形成への関心が高まっています。中でも、米国の代表的な株価指数である「米国株式(S&P 500)」と、世界中の株式に分散投資する「全世界株式(オール・カントリー)」に連動するインデックスファンドは、投資初心者から経験者まで幅広く注目される、まさに二大巨頭です。

しかし、「名前はよく聞くけど、具体的に何が違うの?」「将来のためにお金を増やしたいけど、自分にはどちらが合っているんだろう…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたのモヤモヤを解消するために、S&P 500と全世界株式のインデックスファンドについて、その中身から過去の実績、そして新NISAでの賢い活用法まで徹底的に比較し、分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、あなた自身の投資方針に合った、納得のいく選択ができるようになっているはずです。

NISAについて簡単に説明

NISAは投資で得られた利益が非課税になる少投資非課税制度です。2024年1月に制度変更があり、新しくなったので「新NISA」と呼ばれています。新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠があり、それぞれ年間の非課税投資枠と非課税期間が設定されています。最大1,800万円まで非課税で投資できるため、効率的な資産形成に大きく貢献してくれる制度です。

項目成長投資枠つみたて投資枠
年間投資上限240万円120万円
投資方法スポット購入・積立投資積立投資のみ
投資対象株式、投資信託、ETF、REITなど幅広い商品長期・積立・分散投資に適した投資信託
生涯投資枠1,200万円600万円

新NISAを活用することで、投資で得られた利益が非課税になるため、より多くの資産を形成することができます。まさに、長期的な資産形成を目指す上で強力な味方となるでしょう。

NISAについて詳しく知りたい人はこちら

それでは、本題のS&P 500と全世界株式の比較に入っていきましょう。

CONTENTS

なぜ今、S&P 500と全世界株式の「2択」で悩むのか?

ハナコ

新NISAで、なぜS&P 500と全世界株式が特に人気なのですか?

ケンタ

どちらも低コストなインデックスファンドとして、新NISAの非課税メリットを活かしつつ、手軽に広範囲へ分散投資ができ、長期的な資産成長が期待できるためです。S&P 500は「米国の成長力」を、全世界株式は「世界全体の成長」を享受できるという、それぞれに魅力的かつ分かりやすい投資ストーリーがあるため、多くの投資家にとって最初の選択肢となっています。

新NISAの開始は、多くの人にとって「貯蓄から投資へ」と踏み出す大きなきっかけとなりました。その中で、特に米国株式(S&P 500)や全世界株式(オール・カントリー)に連動するインデックスファンドが絶大な人気を集めているのには、明確な理由があります。

まず、これらが「インデックスファンド」であること。これは、日経平均株価やS&P 500といった特定の株価指数(インデックス)と同じような値動きを目指す投資信託のことです。市場全体の平均的な動きについていくイメージなので、個別の企業を分析する専門知識がなくても、比較的簡単に投資を始めることができます。

人気の理由は主に3つです。

1つ目は、低コストであること。運用にかかる手数料(信託報酬)が非常に低く抑えられており、長期投資においてコストの差は将来のリターンに大きく影響します。

2つ目は、1本で数十~数千の銘柄に投資するため、自然と分散投資が実現できること。

そして3つ目は、新NISAの非課税メリットを最大限に活かせることです。長期的な成長が期待される米国経済や世界経済全体に投資することで、将来得られるかもしれない大きな利益が非課税になる恩恵を受けやすいのです。

この「低コスト・分散・長期投資」という資産形成の王道を、新NISAというお得な制度で実践する上で、S&P 500と全世界株式は、それぞれ「最強の成長エンジンである米国に賭けるか」「世界の成長をまるごと享受するか」という、魅力的で分かりやすい二大選択肢として、多くの投資家の心を掴んでいるのです。

S&P 500徹底解剖:米国経済の力強い成長に乗る

ハナコ

S&P 500インデックスファンドの特徴は何ですか?

ケンタ

米国の主要企業約500社に分散投資し、米国経済全体の成長を捉えることを目指します。過去の高いリターン実績が魅力ですが、米国市場に集中するため、その動向に大きく左右される特徴があります。

「S&P 500」は、米国の代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している企業の中から、時価総額や流動性などを考慮して選ばれた約500社の優良企業で構成されています。これには、Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet(Googleの親会社)といった、世界をリードする巨大ハイテク企業が数多く含まれています。

つまり、S&P 500インデックスファンドに投資するということは、これらの米国のトップ企業群ひいては米国経済全体の成長に、まるごと投資するということを意味します。

S&P 500のセクター別構成比率(2025年4月時点)

情報技術セクターの割合が高いのが特徴です。

S&P 500のセクター別構成比率
出典: S&P Globalのデータを基にMoney Cycle編集部が作成

S&P 500のメリット:過去の実績が示す圧倒的な成長力

S&P 500への投資の最大の魅力は、その圧倒的な成長力にあります。米国は長年にわたり世界経済を牽引しており、イノベーションを生み出す企業が次々と登場しています。この力強い成長に連動することで、比較的高いリターンが期待できるのです。実際に過去数十年のデータを見ても、S&P 500は他の多くの市場指数を上回る素晴らしいパフォーマンスを上げてきました。また、米国市場は世界で最も注目されているため、企業情報や市場分析などの情報が豊富に入手しやすい点も、投資家にとって大きな安心材料となります。

S&P 500のデメリット:米国一本足打法のリスク

一方で、魅力的なリターンが期待できる反面、その強みはそのまま弱みにもなり得ます。最も大きな点は、投資対象が米国企業に集中しているため、米国経済の動向に良くも悪くも運用成績が大きく左右されることです。もし米国経済が長期的に低迷するような事態になれば、当然ながらリターンも期待できなくなります。また、構成銘柄のセクター比率を見ると、情報技術(ハイテク)関連企業の割合が高くなる傾向があるため、これらの特定業種の動向によっても影響を受けやすいという業種集中リスクも考慮に入れる必要があります。さらに、日本から投資する場合、為替変動リスク(円高になるとリターンが目減りするリスク)も無視できません。

具体的な商品例:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

S&P500に連動する投資信託は数多くありますが、代表的なものとして「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が挙げられます。三菱UFJアセットマネジメントが運用するこの商品は、低コストであることが最大の特徴です。運用管理費用(信託報酬含む)はわずか0.09372%(税込)と、他の類似商品と比べても非常に低コストで運用できます。

S&P500投資信託は、高い成長性を期待できる一方で、集中投資によるリスクも存在します。投資する際は、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自身の投資方針やリスク許容度に合わせて判断することが重要です。

全世界株式インデックスファンド徹底解剖:世界経済にまるごと分散投資

ハナコ

全世界株式インデックスファンドの特徴は何ですか?

ケンタ

日本を含む先進国から新興国まで、世界中の数千社の株式に幅広く分散投資します。1本で国際分散投資が完結し、リスクを抑えながら世界経済全体の成長を目指せるのが特徴です。ただし、構成比の約6割は米国株です。

「全世界株式インデックスファンド」は、その名の通り、世界中の国・地域の株式市場に幅広く分散投資することを目指す投資信託です。1本購入するだけで、文字通り「世界まるごと」に投資できる手軽さが魅力です。代表的な連動対象指数には、MSCI ACWIやFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスなどがあります。

これらの指数は、日本、米国、ヨーロッパなどの先進国だけでなく、中国、インド、ブラジルといった新興国も含む、数十ヵ国の数千銘柄で構成されています。 中でも、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、その愛称「オルカン」(※)で広く知られ、絶大な人気を誇る代表的な全世界株式インデックスファンドです。

※「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの登録商標です

全世界株式(MSCI ACWI)の国・地域別構成比率(2024年10月時点)

米国が高い比率を占めますが、世界中に分散されています。

全世界株式(MSCI ACWI)の国・地域別構成比率
出典: S&P Globalのデータを基にMoney Cycle編集部が作成

全世界株式のメリット:究極の分散投資と手間いらずの安心感

全世界株式への投資は、究極の分散投資とも言え、1本で手軽に国際分散投資が実現できることが最大のメリットです。特定の国や地域の経済状況が悪化しても、他の国や地域が好調であれば、その影響を緩和し、リスクを効果的に低減することが期待できます。これにより、S&P 500のような一国集中投資に比べて、より安定的なリターンを目指しやすいと言えるでしょう。 また、世界経済は長期的には成長を続けていくと考えられており、その世界全体の成長の恩恵を享受できるという魅力もあります。投資の知識があまりない初心者の方でも、「これ1本買っておけば大丈夫」という安心感を得やすい商品です。

全世界株式のデメリット:「マイルドな米国株」という側面と新興国リスク

一方で、全世界株式にも注意すべき点があります。広範な分散投資を行うため、S&P 500のように特定の国(特に米国市場)が突出して好調な局面では、S&P 500のリターンを下回る可能性があります。「全部入り」であるがゆえに、飛び抜けた成長をする国があっても、その恩恵が薄まってしまうのです。 そして、最も重要な注意点が、図表Bが示す通り、構成比率の多く(約6割)は、結局のところ米国株式であるという事実です。「全世界」と名がつきますが、米国経済の影響を大きく受ける構造であることは、S&P 500と変わりありません。 また、ファンドによっては、政治・経済情勢が不安定な新興国への投資比率が一定程度含まれるため、その部分のリスクは考慮に入れる必要があります。もちろん、日本から投資する場合は為替変動リスクも伴います。

具体的な商品例:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 通称:オルカン

全世界株式に連動する投資信託の代表例として、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 通称:オルカン」が挙げられます。三菱UFJアセットマネジメントが運用するこの商品は、低コストで運用できることが魅力です。信託報酬はわずか0.05775%(税込)と、他の類似商品と比べても非常に低コストで運用できます。

オルカンは、分散投資によるリスク低減効果が期待できる一方で、米国株式への集中や新興国市場のリスクも存在します。投資する際は、メリット・デメリットを理解し、自身の投資スタイルやリスク許容度に合わせて慎重に判断することが重要です。

【徹底比較】S&P 500 vs 全世界株式 あなたに合うのはどっち?目的別おすすめ投資信託

ハナコ

S&P 500と全世界株式、結局どっちを選べばいいですか?

ケンタ

一概にどちらが良いとは言えません。ご自身の投資目標、リスク許容度、米国経済への期待度などを考慮し、より安心して長期保有できる方を選ぶのが基本です。過去の実績比較やコストも参考にしましょう。

ここまで両者の特徴を見てきました。では、実際にどちらを選べば良いのでしょうか。ここでは、両者を様々な角度から比較し、あなたが選択するための判断軸を提示します。

⚖S&P500と全世界株式の主な特徴比較(2025年5月時点)

特徴S&P500全世界株式
投資対象米国の代表的な大型株式全世界の株式
(先進国・新興国。大型株、中型株、ベンチマークにより小型株も含む)
投資対象国米国(100%)約45~50カ国
(MSCI ACWI:先進国23、新興国24 、FTSE:約47カ国 )
構成銘柄数
(概算)
約500~505銘柄 MSCI ACWI:約2,500~3,000銘柄
FTSE Global All Cap:約8,000~10,000銘柄以上
主な構成国
(上位3~5カ国、%)
米国(100%)1. 米国(約60~65%)
2. 日本(約5~7%)
3. 英国(約3~4%)
(その他:中国、カナダ、フランス、ドイツなどが続く)
主な構成業種
(上位3~5業種、%)
1. 情報技術(約30~32%)
2. 金融(約13~15%)
3. ヘルスケア(約10~11%)
4. 一般消費財(約10~11%)
1. 情報技術(約23~26%)
2. 金融(約15~18%)
3. 一般消費財(約10~14%)
4. 資本財・サービス/鉱工業(約9~14%)
5. ヘルスケア(約10~12%)
信託報酬の目安
(年率)
0.02%~0.10%0.05%~0.25%
(例:eMAXIS Slim 全世界株式 0.05775% 、VT 0.06% 、iShares MSCI ACWI 0.20%~0.32% 、楽天VT 約0.132% )
過去10年平均リターン
(年率、税引前NAVベース、例)
約10.0%~12.5% 約8.0%~10.0%
(MSCI ACWIベース 、VT/FTSEベース )
リスク
(標準偏差、3年年率)
約16%~18%約12%~17%
(例:MSCI ACWI 、FTSE/VT )
リターン高リターンが期待できる安定したリターンが期待できる
シャープレシオ
(3年)
約0.5~0.9 約0.5~1.0
(例:MSCI ACWI 、FTSE/VT )
おすすめの人米国経済の成長に期待したい人
高リターンを狙いたい人
リスクを抑えたい人
世界経済全体を応援したい人

※過去のリターンは将来を保証するものではありません。

パフォーマンスとリスク:過去は米国優位。未来は?

過去のパフォーマンスを見ると、特に直近10年~15年程度は、米国市場が世界経済を力強く牽引してきたため、S&P 500が全世界株式のリターンを上回るケースが多く見られました。しかし、これはあくまで過去の実績であり、未来も同様の傾向が続くとは限りません。1980年代は日本株が世界を席巻し、2000年代は新興国株が好調だった時期もあったように、時代の主役は変わり得ます。

S&P 500と全世界株式の過去パフォーマンス比較(期間:2001年1月~2021年8月)

長期的にはどちらも成長していますが、時期によって優劣は変化します。

出典: マネックス証券
期間: 2001年1月末を100として指数化
※過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません

リスクという観点では、一般的に全世界株式の方が分散が効いている分、S&P 500よりも価格変動リスク(ボラティリティ)はやや低くなる傾向があります。今後の見通しについては、専門家の間でも「米国経済の優位性は今後も揺るがない」という意見と、「世界の成長センターはアジアなどの新興国に移っていく」という意見に分かれます。どちらの未来をより信じるかが、選択の一つのポイントになります。

あなたの投資哲学に合うのは?後悔しないための判断軸

最終的にどちらを選ぶかは、テクニカルな比較よりも、ご自身の投資スタイルや価値観と照らし合わせて判断するのが良いでしょう。

  • リスク許容度とリターンへの期待:
    • より高いリターンを求めて、米国集中リスクを受け入れられるなら → S&P 500も有力な選択肢
    • 大きなリスクは避け、市場全体の平均的な成長を安定的に得たいなら → 全世界株式が適している可能性
  • 経済観・将来予測:
    • 今後も米国がイノベーションを主導し、世界経済をリードし続けると強く信じるなら → S&P 500
    • 世界は多極化し、米国以外の国々が相対的に成長していく、あるいはどの国が成長するか分からないから全てに投資したいと考えるなら → 全世界株式
  • シンプルさと精神的な安定感:
    • 「とにかく1本で、何も考えずに国際分散投資を完結させたい」というシンプルさを求めるなら → 全世界株式

「もし米国経済が失速したら…」という不安を常に抱えそうなら、全世界株式の方が精神的に安定して長期保有しやすいかもしれません。逆に、「世界中に投資しても、結局は米国の影響が大きいなら、いっそS&P 500でいいのでは?」と感じるなら、S&P 500の方が納得感があるでしょう。

専門家の声

S&P 500と全世界株式、どちらも長期投資の対象として非常に優れたインデックスです。重要なのは、どちらかを選んだら、コロコロ変えずに長期で積み立てを続けることです。

迷うなら、例えば『S&P 500を7割、全世界株式(除く米国)を3割』のように自分で組み合わせるという上級者向けの方法もありますが、初心者はまずどちらか1本に絞って始めるのがシンプルで良いでしょう。最終的には、ご自身が信じて、安心して持ち続けられる方を選ぶのが一番の正解です。

ファイナンシャルプランナー
田中 大二氏

両方保有する、という選択肢はアリ?

「迷うなら両方買ってしまえばいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。もちろん可能ですが、注意が必要です。前述の通り、全世界株式の約6割はすでに米国株式です。そのため、S&P 500と全世界株式を両方保有すると、結果的に米国株式への投資比率がさらに高まることになり、期待したほどの分散効果が得られない可能性があります。もし米国比率を高めたいという明確な意図があるなら有効ですが、そうでなければ、どちらか一方に絞る方がポートフォリオはシンプルになります。

新NISAを活用した投資戦略:積立投資と長期投資のススメ

新NISAで投資信託を購入する際は、「積立投資」と「長期投資」を意識することで、より効果的な資産運用を行うことができます。この章では、新NISAにおける積立投資と長期投資のメリットを解説し、具体的な投資戦略を提案します。

新NISA×積立投資:ドルコスト平均法でリスク軽減

積立投資とは、毎月一定額を投資していく方法です。新NISAの積立投資枠を活用することで、ドルコスト平均法のメリットを最大限に享受できます。ドルコスト平均法とは、価格が高いときは少なく、価格が安いときは多く購入することで、平均購入単価を抑える投資手法です。これにより、市場の価格変動リスクを軽減し、安定的なリターンを目指せます。

新NISA×長期投資:複利効果で資産を大きく育てる

長期投資とは、長期間にわたって投資を継続することです。新NISAでは、非課税期間が無期限となったため、複利効果を最大限に活用できます。複利効果とは、投資によって得られた利益を再投資することで、雪だるま式に資産が増えていく効果のことです。

例えば、年利5%で100万円を運用した場合、10年後には約163万円、20年後には約265万円になります。このように、長期投資によって複利効果が働くことで、資産を大きく育てることが可能になります。

投資シミュレーション:長期投資の効果を視覚的に確認

下記の表は、年利5%で毎月3万円を10年間、20年間積立投資した場合のシミュレーション結果です。

期間投資元本運用収益資産総額
10年後360万円約106万円約466万円
20年後720万円約513万円約1,233万円
楽天証券の積立かんたんシミュレーションを使用しMoney Cycle編集部が作成

見ての通り、長期にわたって積立投資を続けることで、複利の効果によって大きな資産を築くことができます。新NISAの非課税メリットと組み合わせることで、さらに効率的な資産形成が可能になります。

積立投資と長期投資を組み合わせた戦略

新NISAで積立投資と長期投資を組み合わせることで、リスクを抑えつつ、効率的に資産を増やすことが可能になります。具体的には、以下のような戦略が考えられます。

  1. 新NISAのつみたて投資枠で毎月一定額を全世界株式に投資する: ドルコスト平均法と分散投資効果により、リスクを抑えつつ安定的なリターンを目指せます。
  2. 新NISAの成長投資枠で、成長性の高い個別株やテーマ型ETFに投資する: より高いリターンを狙うことができます。
  3. 余裕資金で成長投資枠またはNISA口座以外でも積立投資を行う: つみたて投資枠の上限を超えた投資を行うことで、さらに資産形成を加速できます。

新NISAでの賢い活用戦略と証券会社選び

ハナコ

新NISAでS&P 500や全世界株式の積立を始めるにはどうしたらいいですか?

ケンタ

まずNISA口座を開設できる証券会社(SBI証券、楽天証券などが人気)を選びます。次に、毎月の積立金額と、どちらかの指数に連動する低コストな投資信託を決め、主に「つみたて投資枠」で積立設定を行います。「成長投資枠」も併用可能です。

S&P 500や全世界株式のインデックスファンドに投資するなら、新NISA制度を最大限に活用しない手はありません。

まず、NISA口座を開設する金融機関を選びましょう。SBI証券楽天証券といったネット証券は、取扱商品が豊富で手数料(信託報酬)も低い傾向があるため人気です。ご自身の使いやすさや、貯めているポイント(Vポイント、楽天ポイントなど)との連携も考慮して選びましょう。

次に、毎月の積立金額を、家計に無理のない範囲で決めます。そして、この記事で比較した内容を参考に、投資するファンド(S&P 500か全世界株式か)を決めます。選ぶ際には、信託報酬ができるだけ低いファンドを選ぶことが、長期的なリターンを高める上で非常に重要です。代表的なファンドシリーズには「eMAXIS Slim」や「楽天・インデックス・ファンド」などがあります。

新NISAには、主に積立に適した**「つみたて投資枠」と、より幅広い商品に投資できる「成長投資枠」があります。S&P 500や全世界株式のインデックスファンドは、どちらの枠でも購入可能な場合が多いですが、基本的には「つみたて投資枠」でコアとなる積立を行うのが良いでしょう。もし、つみたて投資枠(年間120万円)を使い切ってもまだ投資余力がある場合は、「成長投資枠」の活用も検討します。

最も大切なのは、短期的な市場の動きに一喜一憂せず、決めた計画をコツコツと続けることです。

主要ネット証券会社比較:手数料・取扱商品・サービス内容をチェック!

新NISA口座開設におすすめのネット証券会社として、SBI証券、楽天証券、マネックス証券に加え、松井証券、三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)の5社をピックアップして比較してみましょう。それぞれ特徴があり、あなたに合った証券会社を選ぶことが重要です。

項目SBI証券楽天証券マネックス証券松井証券三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)
NISA口座株式売買手数料無料無料無料無料無料
取扱投資信託数つみたて投資枠250本241本234本244本239本
成長投資枠1,290本1,300本1,194本1,145本1,132本
ポイントサービスVポイント(※)楽天ポイントdポイント松井証券ポイントPontaポイント
クレカ積立対応券種三井住友カード楽天カードdカードJCBカードauPAYカード
還元率0~3%0.5~
0.2~1.1%0~1%0.5~1%
その他特徴幅広い投資商品楽天経済圏との連携米国株取引に強い100万円まで取引手数料無料情報提供サービスが充実
MoneyCycle調べ(2024年12月17日時点)

※:Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイントの選択も可能

SBI証券

SBI証券は、豊富な商品ラインナップと業界屈指の低コストで投資を始めたい方に最適な証券会社です。新NISAでは、成長投資枠で国内株式、米国株を含む9か国の外国株式、そして多様な投資信託に投資可能。つみたて投資枠でも、豊富な投資信託の中から手数料無料で積み立てができます。さらに、取引手数料無料(一部条件あり)の投資信託・国内株式(ETF含む)・米国株(ETF含む)に加え、単元未満株(S株)やIPOにも対応。投資スタイルに合わせて、毎月・毎週・毎日積立を選べる上、100円からの少額投資も可能です。また、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイル、PayPayポイントといったポイント投資やクレカ積立にも対応し、投資をよりお得に楽しめます。NISA・投信土日専用デスクによる週末サポートも魅力です。

楽天証券

楽天証券は、楽天経済圏ユーザーに特におすすめの証券会社です。新NISAでは、日本株、米国株、海外ETFの売買手数料が無料!つみたて投資枠では、豊富なノーロード(購入時手数料無料)の投資信託を100円から積み立てでき、毎月積立だけでなく毎日積立も選べます。楽天ポイントを最大限に活用できるのも魅力で、楽天カードでのクレカ積立でポイント還元を受けたり、楽天ポイントで投資信託を購入することも可能です。さらに、投資信託の保有額に応じてポイントが貯まるプログラムも提供しています。成長投資枠では、米国株、中国株、アセアン株に投資可能。また、単元未満株「かぶミニ」で2,070銘柄に少額から投資できる点も魅力です。初めて投資に挑戦する方にも嬉しい、投資相談窓口「withアドバイザー」やロボアドバイザー「かんたん積立診断」も利用できます。

マネックス証券

マネックス証券は、特に米国株や中国株への投資を考えている方におすすめです。新NISAでは、日本株、米国株、中国株の売買手数料が実質無料(※米国株、中国株、単元未満株はキャッシュバック)です。米国株は4,800銘柄以上、中国株は約2,650銘柄と、豊富な銘柄から選ぶことができます。つみたて投資枠では、多様な投資信託を100円から購入可能で、販売手数料は無料。さらに、投資信託の保有でマネックスポイントやdポイントが貯まり、マネックスカードやdカードでの積立でポイント還元も受けられます。単元未満株「ワン株」も買付手数料無料で、NISAなら売却手数料も実質無料です。また、好成績を収めているロボアドバイザー「ON COMPASS」も利用可能です。

松井証券

松井証券は、投資信託のポイント還元を重視する方におすすめです。新NISAでは、日本株、米国株、投資信託の売買手数料が無料。特に投資信託は、保有残高に応じて最大年率1%の松井証券ポイントが還元される業界最高水準のポイントサービスが魅力です。このサービスは、低コストのインデックスファンドからアクティブファンドまで、全ての投資信託が対象です。さらに、100円から投資信託を購入でき、毎月・毎週・毎日の積立も可能です。初心者の方には、個別銘柄の相談ができる「株の取引相談窓口」や「NISAサポートダイヤル」といった充実のサポート体制も心強いでしょう。NISA口座開設と同時に証券口座も開設できるので、スムーズに投資を始められます。

三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)

三菱UFJ eスマート証券は、au経済圏ユーザーや投資初心者におすすめの証券会社です。新NISAでは、日本株、米国株、投資信託の売買手数料が無料。投資信託は100円から購入可能で、au PAYカードで積立するとPontaポイントが貯まります。また、投資信託の保有額に応じてPontaポイントが貯まるのもauユーザーには嬉しい特典です。500円から個別株を購入できる「プチ株」や、少額から積立投資ができる「プレミアム積立」も便利です。NISA口座開設で現物株式取引手数料が最大5%割引になる「NISA割」も利用できます。さらに、「auマネ活プラン」への加入とau PAYゴールドカードの保有で、ポイント還元率が最大3.0%になるお得なサービスも提供しています(期間限定)。豊富な取引ツールや自動売買、情報通知サービスなど、投資経験者にも嬉しい機能が充実しています。

クレカ積立について詳しく知りたい人はこちら

あなたにぴったりの証券会社を選ぼう

上記以外にも、様々な証券会社がNISA口座サービスを提供しています。それぞれの証券会社の特徴を比較し、ご自身の投資スタイルやニーズに合った証券会社を選びましょう。以下の点を考慮すると、自分に合った証券会社を見つけやすくなります。

  • 手数料: 新NISA口座の手数料は無料になっている証券会社がほとんどですが、売買手数料やその他のサービスの手数料は各社で異なります。
  • 取扱商品: 投資したい商品がその証券会社で取扱われているか確認しましょう。
  • ポイントサービス: ポイント還元率や利用方法なども比較検討してみましょう。
  • アプリの使いやすさ: 取引アプリの使いやすさも重要なポイントです。実際にアプリをダウンロードして操作性を確認してみるのも良いでしょう。
  • サポート体制: 投資に不安がある方は、サポート体制が充実している証券会社を選ぶと安心です。

口座開設方法

ネット証券会社の口座開設は、基本的にオンラインで完結します。以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 証券会社のウェブサイトで口座開設手続きを開始する。
  2. 必要事項を入力し、本人確認書類をアップロードする。
  3. 審査が完了したら、口座開設完了の通知が届く。
  4. 入金して取引を開始する。

詳しい手順は各証券会社のウェブサイトで確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

S&P 500と全世界株式、投資初心者にはどちらがよりおすすめですか?

一概には言えませんが、一般的に投資初心者の方には「全世界株式」インデックスファンドがおすすめされることが多いです。理由は、1本で世界中に分散投資ができるため、特定の国や地域のリスクを気にする必要が少なく、考えることがシンプルだからです。「何を選べばいいか分からない」という方でも、これを選んでおけば大きな失敗はしにくいと言われています。ただし、過去のリターンではS&P 500が優位だった時期も長いため、ご自身のリスク許容度や米国経済への期待度によってはS&P 500も十分魅力的な選択肢です。

S&P 500と全世界株式、両方買うのは意味がありますか?

分散投資の観点からは、両方を均等に買うことのメリットは大きくありません。なぜなら、全世界株式インデックスファンドの約6割は米国株式で構成されており、その中身はS&P 500と重複する部分が多いからです。両方買うと、意図せず米国への集中度を高めてしまう可能性があります。ただし、「全世界株式をメインにしつつ、もう少し米国株の比率を高めたいのでS&P 500も少し加える」といった明確な意図があるなら、それは一つの戦略です。

インデックスファンドを選ぶ際に、信託報酬以外に注意すべき点はありますか?

信託報酬の低さは非常に重要ですが、その他には以下の点も確認すると良いでしょう。

  • 純資産総額: あまりに純資産総額が小さいファンドは、将来的に繰上償還(ファンドが運用を終えてしまうこと)のリスクがないとは言えません。ある程度の規模がある方が安心です。
  • 連動対象指数: 同じ「全世界株式」や「S&P500」に連動するインデックスファンドでも、どの具体的な指数(例:MSCI ACWIかFTSE Global All Capか、S&P500でも配当込みか否かなど)に連動するかで、中身や過去のパフォーマンスが微妙に異なります。
  • 分配金の方針: 分配金を頻繁に出す方針か、出さずに効率的に再投資する方針か。長期的な資産形成には、分配金を出さずに再投資するファンドの方が複利効果を得やすいとされています。

新NISAでインデックスファンドの積立を始めるには、具体的に何をすればいいですか?

簡単なステップは以下の通りです。

  1. 証券会社のNISA口座を開設する: ネット証券がおすすめです。
  2. 投資するファンドを選ぶ: S&P 500か全世界株式か、あるいは他の指数か。信託報酬の低いものを選びましょう。
  3. 毎月の積立金額と積立日を設定する: 無理のない範囲で設定します。
  4. 特定口座かNISA口座(つみたて投資枠/成長投資枠)かを選択して買い注文(積立設定)をする。 多くの証券会社で、分かりやすいガイドやサポートが用意されています。

まとめ:あなたに最適な選択で、新NISAを始めよう!

新NISAの登場により、米国株式(S&P 500)や全世界株式(オール・カントリー)といった質の高いインデックスファンドへの投資が、ますます身近で有利なものになりました。どちらを選ぶべきか、その問いに「絶対にこちらが良い」という唯一の正解はありません

S&P 500は、米国経済の力強い成長に期待し、比較的高いリターンを目指したい方にとって魅力的な選択肢です。一方、全世界株式は、1本で世界中に分散投資ができ、リスクを抑えながら安定的な成長を目指したい方に向いています。

重要なのは、それぞれの特徴を理解し、ご自身の投資目標、リスク許容度、そして将来に対する考え方と照らし合わせて、「自分が納得して、安心して長期間持ち続けられるか」という視点で選ぶことです。

この記事で比較したポイントや、専門家の意見、そしてご自身の心の声にも耳を傾け、あなたにとって最適なインデックスファンドを見つけてください。そして、新NISAという素晴らしい制度を活用して、将来のための資産形成への第一歩を踏み出しましょう!

※本記事の内容は、執筆時2025年6月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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