老後資金を増やす|NISAとiDeCoで始める賢い資産運用法

あなたは将来への不安を抱えていませんか?日々高騰する生活費、進む少子高齢化、そして「老後資金2,000万円問題」が話題になり、自分の老後がどうなるのか心配になるのは当然のこと。しかし、恐れる必要はありません。賢い資産運用によって、その不安を大きな希望に変えることができるのです。

この記事では、老後資金に不安を感じるあなたへ、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)といった国が推奨する資産運用方法を紹介します。これらの制度を利用することで、賢く、かつ効果的に資産を増やすことが可能です。しかし、多くの人が「何から始めればいいのか分からない」「専門的な知識がなくて不安」と感じています。そこで、この記事では資産運用の基礎から、NISAとiDeCoのメリット、そして実際に資産を増やしていくための具体的なステップまでをわかりやすく解説していきます。

※2024年から新しいNISA(新NISA)がスタートし、非課税投資枠が拡充されました。本記事ではNISA=新NISAとして進めていきます

資産運用は、一見複雑で難しいものに感じられるかもしれませんが、正しい知識と戦略を持つことで、誰もが自分の未来をより良いものにすることができます。この記事を通じて、資産運用の第一歩を踏み出し、希望に満ちた老後を実現させましょう。

CONTENTS

1. はじめに:資産運用の必要性

1-1. 老後資金に対する現代の不安

現代社会は、急速な少子高齢化と経済の不確実性に直面しています。このような背景のもと、「老後資金2,000万円問題」がクローズアップされ、多くの人々が自分の将来に不安を感じています。

国の年金だけでは生活が難しくなる可能性が指摘されており、私たち自身で何らかの対策を講じる必要があります。しかし、ここで大切なのは、不安を恐れて行動を起こさないことではなく、解決策を見つけて前向きに進むことです。

老後への不安
  • 長寿化: 平均寿命が延び、老後の期間が長くなっています。
  • 低金利: 銀行預金などの利息が非常に低く、貯蓄だけで老後資金を準備するのは困難です。
  • 物価上昇: 物価が上昇すると、同じ金額でも購入できるものが減ってしまいます。
  • 年金制度の不安: 将来の年金受給額が減る可能性があります。

1-2. 資産運用を通じて不安を解消する方法

老後の不安を解消するために有効な手段の一つが、資産運用です。

資産運用は、老後の不安を解消し、安心した未来を築くための有効な手段の一つです。賢い資産運用によって、限られた資源から最大限のリターンを得ることが可能になります。特に、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)のような税制優遇措置を活用することで、長期的な視点で資産を増やしていくことができます。

資産運用のメリット
  • 預貯金よりも高いリターンが期待できる
  • 老後資金など、長期的な目標達成に役立つ
  • 経済的な知識や経験がなくても始められる

資産運用の鍵は、適切な知識と戦略を身につけることにあります。投資はリスクを伴いますが、そのリスクを理解し、適切に管理することで、リターンを最大化することが可能です。また、NISAやiDeCoを利用することで、税金の負担を軽減し、効率的に資産を増やすことが可能になります。

資産運用のポイント
  • 長期的な視点で取り組む
  • リスクを理解し、分散する

この記事では、資産運用の必要性を認識し、不安を感じているあなたに対して、NISAとiDeCoを利用した資産運用の基礎から、実際に資産を増やしていくための具体的なステップまでをわかりやすく解説します。資産運用を通じて、老後資金に対する不安を解消し、希望に満ちた未来を手に入れましょう。

2. 資産運用の基礎知識

2-1. 資産運用とは?

資産運用とは、単にお金を銀行に預金するのではなく、そのお金を「働かせる」ことです。このプロセスを通じて、資産を時間の経過とともに増やしていくことが目的とされます。

具体的には、株式や投資信託、債券、不動産、またはそれらの組み合わせなど、様々な金融商品などへ投資をすることで、リターン(収益)を得ることです。しかし、高いリターンを目指す投資は、それに比例してリスクも高まる傾向にあります。そのため、資産運用においては、リスク管理が非常に重要になります。

MEMO

投資: 株式や投資信託など、将来の値上がり益や配当金などを期待して購入する

投機: 短期間の価格変動を利用して利益を得ようとする

※一般的に、資産運用というと投資のことを指すことが多いです

2-2. 老後資金を増やすための資産運用の原則

老後資金を増やすための資産運用には、いくつかの重要な原則があります。

① 長期的な視点を持つ

資産運用の成果は、短期間で成果が出るものではありません。市場の変動に左右されず、長期的な視点で取り組むことで、複利効果を最大限に活用し、資産を増やすことができます。

複利とは、「利息に利息がつく」ことで、資産が雪だるま式に増えていくことです。長期的な視点で投資することで、複利の影響が大きくなります。

単利と複利

単利と複利の違いを理解するために、具体的な例を用いて説明しましょう。ここでは、初期投資額が1,000,000円、年利率が5%、投資期間が3年の場合を考えます。

単利の場合

単利では、利息が元本にのみ発生し、期間に関わらず一定です。つまり、1年目の利息は元本の5%に相当しますが、2年目以降も同じ金額の利息が発生します。

1年目の利息1,000,000円 × 5% = 50,000円
2年目の利息1,000,000円 × 5% = 50,000円
3年目の利息1,000,000円 × 5% = 50,000円

3年間の総利息は、50,000円 × 3年 = 150,000円となり、投資期間終了時の総額は、元本1,000,000円 + 利息150,000円 = 1,150,000円です。

複利の場合

複利では、利息が元本に加えられ、新たな元本として次期の利息が計算されます。これにより、投資期間が長ければ長いほど「利息の利息」が発生し、資産の増加速度が加速します。

1年目の利息1,000,000円 × 5% = 50,000円(新しい元本:1,050,000円)
2年目の利息1,050,000円 × 5% = 52,500円(新しい元本:1,102,500円)
3年目の利息1,102,500円 × 5% = 55,125円57,881.25

3年間で得られる総利息は、50,000円 + 52,500円 + 55,125円 = 157,625円で、投資期間終了時の総額は、元本1,000,000円 + 157,625円 = 1,157,625円です。

単利複利
利息の計算方法元本に対してのみ元本と利息に対して
時間経過による利息の変化一定増加
10年後の利息(上記と同条件の場合)500,000円628,895円
長期的な資産形成効果が低い効果が高い

② 分散投資を行う

全ての資金を一つの投資先に集中するのではなく、リスクを分散するために複数の異なる種類の資産に投資することが賢明です。

分散投資とは、リスクを抑えるために、投資対象を複数に分散させる投資方法です。資産分散と時間分散の2つの方法があります。

資産分散

資産分散は、投資する資産、地域や業種、タイミングなど、異なる種類の商品に資金を分けて投資することです。これにより、例えば一つの業種や地域が不調の時でも、他の業種や地域の好調がその損失を相殺し、リスクを軽減することが期待できます。

EX.

仮に、ある投資家が100万円を投資する場合、資産分散をせずに全額を国内株式に投資したとします。この場合、国内株式市場が下落すれば、ポートフォリオ全体の価値も大きく下落します。

一方で、資産分散を行い、以下のように資金を分けて投資したとします。

国内株式:40万円
海外株式:30万円
債券:20万円
不動産投資信託(REITs):10万円

この場合、もし国内株式市場が下落しても、海外株式や債券、REITsのパフォーマンスによってリスクが分散され、ポートフォリオ全体の損失を抑えることができます。

時間分散

時間分散は、異なる時期に投資を行い、市場の変動によるリスクを分散することです。長期間にわたって定期的に投資を行うことで、高値での購入リスクと低値での購入機会を均等にすることができます(ドルコスト平均法)。

EX.

ある投資家が、一括投資ではなく、積立投資を選択したとします。100万円を一度に投資する代わりに、毎月1万円ずつ10年間にわたって株式市場に投資します。市場価格が上昇している時は少ない株数を、価格が下落している時は多くの株数を購入できるため、長期的に見た時の平均購入単価を下げることができます。

このように、時間分散により市場の短期的な変動に左右されず、長期的な資産増加を目指すことができます。

③ 自身のリスク許容度を理解する

資産運用には必ずリスクが伴います。自分がどれだけのリスクを取れるかを理解し、それに基づいて投資の選択を行うことが大切です。

投資におけるリスクとは、「不確実性」つまり、「期待通りのリターンが得られない可能性」を指します。リスクには次のような種類があります。

投資における主なリスクの種類

価格変動リスク: 市場全体の変動によって投資価値が影響を受けるリスクです。経済情勢、政治的な変化、災害など、コントロールできない外部要因によって市場が動くため、全ての投資家が同様に影響を受けます。例えば、株式市場が大きく下落した場合、多くの株式がその影響を受ける可能性があります。

信用リスク(デフォルトリスク): 投資先が金融上の義務を果たせなくなるリスクです。例えば、企業が倒産した場合や国が債務不履行(デフォルト)になった場合、投資した債券や株式の価値は大きく下落します。特に、格付けが低い債券(ハイイールド債)は、高い利回りを提供しますが、それに伴うデフォルトリスクも高まります。

流動性リスク: 投資した資産を想定していた価格で、速やかに売却できないリスクです。市場の流動性が低い(取引が活発でない)投資商品では、売りたい時に適切な買い手が見つからず、不利な価格で取引を余儀なくされることがあります。

このようなリスクをしっかりと理解し、分散するなど対策をすることで損失を抑えることができます。

④ 定期的にポートフォリオを見直す

投資目標に応じて適切な資産配分を行い、時間の経過とともに市場環境が変化したり、自身のライフステージが変わったりすることによって、当初の計画と現在のポートフォリオの状態が乖離する可能性があります。このため、定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じてリバランスを行うことが、リスクの管理と投資目標の達成に不可欠です。

ポートフォリオとは

保有しているさまざまな資産(株式、債券、不動産、現金など)の組み合わせのことです。資産運用の効果を最大化し、リスクを管理するために、これらの資産をバランス良く組み合わせることが重要です。ポートフォリオの構築と管理は、資産運用における基本的な原則の一つです。

EX.

ある投資家が「退職後の生活資金の確保」を目的として、以下のようなポートフォリオを組んでいるとします。

  • 株式:50%
  • 債券:40%
  • 現金および現金同等物:10%

株式市場が好調で株式の価値が上昇し、ポートフォリオ内での株式の割合が60%に増加したとします。この状態では、投資家のリスク許容度や目標としていた資産配分と乖離しているため、ポートフォリオの見直しが必要になります。具体的には、株式の一部を売却して現金を保有または債券を購入し、当初の配分(株式50%、債券40%、現金10%)に戻すことを検討します。これにより、市場の変動によって高まったリスクを軽減し、投資目標に沿った安定したポートフォリオを維持することができます。

⑤ 感情に流されない

市場の動向に一喜一憂せず、冷静な判断で投資を続けることが重要です。市場の動向は、短期的には大きく変動することがあります。しかし、長期的な視点でみると、市場は上昇していく傾向があります。そのため、市場の動向に一喜一憂せず、冷静な判断で投資を続けることが重要です。

⑥ 税制優遇措置を活用する

NISAやiDeCoのような税制優遇制度を利用することで、税負担を軽減し、効率的に資産を増やすことができます。

資産運用には確かにリスクが伴いますが、これらの原則を遵守することで、リスクを管理しながら効果的に老後資金を増やしていくことが可能になります。

また、NISAやiDeCoを活用することで、特に税負担の面で有利な条件のもとで資産を増やしていくことができるため、これらの制度について理解し、賢く活用していくことが重要です。

3. NISA(ニーサ)について

3-1. NISA(ニーサ)の概要とメリット・デメリット

新NISA/NISA(ニーサ)
Image:Canva

老後資金の確保は、多くの人にとって大きな懸念事項です。しかし、幸いなことに、NISA[ニーサ](少額投資非課税制度)をはじめとする税制優遇措置を活用することで、賢く資産を増やすことが可能です。

NISA(新NISA)の概要

NISAは、投資で得られた利益(株式や投資信託などの値上がりで得られた売却益、配当金や分配金)に対して、税金がかからない(非課税となる)制度です。

通常は、投資で得られた利益には、約20%の税金がかかりますが、NISAは一定の金額の範囲内で購入した、株式や投資信託から得られた利益が非課税となります。

この制度の目的は、長期的な資産形成を促し、より多くの人に投資を身近なものとして感じてもらうことにあります。

NISA(ニーサ)
つみたて投資枠成長投資枠
加入対象日本在住の18歳以上
税制上のメリット運用益が非課税
枠の併用併用可
年間投資上限額120万円240万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税保有期間無期限
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託一定の国内外の上場株式・ETF・投資信託など
購入方法積立のみスポット・積立
Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

※制度の詳細は金融庁のホームページなどで確認してください

NISAのメリット

① 投資で得られた利益が非課税

投資から得られた利益が非課税になるため、税金の負担が軽減され効率的に資産を増やすことができます。

② 手軽に投資を始められる

各金融機関では、最低毎月100〜10,000円程度から投資信託が購入できるようになっています。まとまった資金を用意しなくても、お試し感覚で手軽に投資をはじめることができます。

③ 投資する商品が選びやすい

「つみたて投資枠」で投資できる商品は、金融庁の基準を満たした長期積立・分散投資に適した低コストの投資信託だけです。最初から厳選されているので初心者でも選びやすくなっています。

④ 手間がかからず続けやすい

投資信託の積立投資をする場合、積み立てる銘柄を選び、毎月・毎週などの積立頻度と積立金額を設定すれば、以降は自動的に積み立ててくれます。積立タイミングを思案することなく、コツコツと投資ができる仕組みになっています。

積立投資では、積み立てる銘柄の価格が高いときには少ししか購入できませんが、価格が安いときには多く購入することができ、平均すると購入単価を下げる効果(ドル・コスト平均法)も期待できます。平均購入単価が下がれば、多少の値上がりでも利益が出やすくなります。

⑤ いつでも引き出せる

マイホーム購入費や子どもの教育費、老後資金など、さまざまな用途に合わせて、必要なタイミングで投資した商品を売却していつでも資産を引き出すことができます。万が一、急な出費が発生してた場合にも安心です。

しかし、安易に引き出すことはおすすめできません。引き出すタイミングで利益が出ているとは限りませんし、複利効果が得られなくなるというデメリットもあります。

引き出すタイミングは計画的に考えておきましょう。

NISAのデメリット

① 元本確保型の商品がない

NISAで購入できる商品は、株式や投資信託などです。iDeCoのように、元本保証型の定期預金などを購入することができないため、NISAを利用する場合は元本割れのリスクがあることを認識しておく必要があります。

② 損益通算ができない

一般的には、複数の口座で投資信託などの商品を運用している場合、それぞれの利益と損失を差し引くことで、課税対象となる所得を減らすことができます。これを損益通算と言います。

しかし、NISA口座で運用している運用分においては損益通算ができません。得られた利益は非課税となりますが、一方で損失が発生した場合、その損失を他の口座の利益と相殺することができません。また、NISA口座の損失を、他の口座の利益と相殺することもできません。

損益通算とは

ある年にA口座で株式を購入し、10万円の利益を得たとします。同じ年に、B口座で5万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、利益と損失を差し引きした5万円に対して課税されます。

しかし、NISA口座では損益通算ができないため、仮にA口座をNISA口座とした場合、A口座の10万円の利益全額が非課税となりますが、B口座の5万円の損失を差し引きできず、損失を税務上のメリットとして利用することができません。反対に仮にB口座をNISA口座だとした場合、A口座の10万円の利益全額が課税対象となります。

③ 購入できる商品が限定される

NISA口座では、全ての投資商品を購入できるわけではありません。特に、つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁の基準を満たした長期積立・分散投資に適した低コストの投資信託だけです。

また、成長投資枠で購入できる商品にも基準が設けられています。購入できるのは上場株式・投資信託などですが、信託期間が20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などは除外されています。

このように、NISAは投資経験が少ない人でも安心して投資できるように、リスクの高い商品を制限していると考えられています。

④ 投資金額に上限がある

NISAの投資上限の総額は1,800万円(成長投資枠の総額は1,200万円)までですが、年間に投資できる金額の上限も決まっています。最大で、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円、合わせて年間360万円までが非課税で投資ができる金額の上限となります。

⑤ 1人1口座

多くのメリットのあるNISA口座ですが、開設できるのは一人につき一つの口座まで。一つの金融機関でしかNISA口座の開設ができないため、どの金融機関で開設をするか慎重に選択をする必要があります。

※開設後に他の金融機関へ移管することは可能

⑥ 既に保有している投資信託などは対象外

NISAのメリットである「非課税」の対象となるのは、NISA口座で新たに購入した金融商品のみです。NISAを利用する前から、特定口座や一般口座で既に保有していた株式や投資信託などは、NISA口座に移すことはできません。つまり、非課税の対象外となります。

3-2. NISAの始め方

NISAで資産運用を始めるために必要なステップについて説明します。

STEP
金融機関を選ぶ

NISA口座を開設する金融機関を選びます。NISA口座は一人一口座しか開設ができません。次のポイントなどを考慮して金融機関を選びましょう。

POINT
  • NISA口座で購入できる商品ラインナップ(ニーズや投資スタイルに合った商品があるか)
  • 最低積立金額(毎月いくらから始められるか)
  • クレジットカード決済が可能か、ポイントが貯まるか
  • 取引手数料(商品の購入時や売却時に手数料がかかるか)
  • 利便性やサービスの充実度、サポート体制

初心者は商品選択がしやすい金融機関がおすすめです。

STEP
口座を開設する

インターネットでの申し込みの場合は、各金融機関のホームページの口座開設申し込みフォームに必要な情報を入力し、必要書類をアップロードまたは郵送します。店頭での申し込みの場合は、必要書類を持参して店頭にて手続きを行います。審査などを経てNISA口座が開設されます。インターネット経由で申し込むと手軽に手続きできます。

一般的なNISA口座の開設手順
  1. 金融機関のウェブサイトまたは店頭で申し込みをする
  2. 本人確認書類を提出する
  3. 口座開設手続き完了
一般的にNISA口座開設で必要な書類
  • マイナンバーカード
  • 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類

※NISA口座の開設方法は金融機関によって異なりますので、各金融機関のホームページをご確認ください

STEP
投資金額を決める

つみたて投資枠は、年間120万円が非課税投資枠の上限です。1ヵ月あたり10万円が目安ですが、各金融機関では最低月々100~10,000円と少額から投資ができますので、無理のない範囲で設定しましょう。途中で金額の変更も可能です。

STEP
投資商品を選ぶ

自分の目標やリスク許容度に合った商品を選びましょう。

NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があり、それぞれ購入できる商品が異なります。初心者や少額から始めたい人は、つみたて投資枠から始めることをおすすめします。つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が指定した長期積立・分散投資に適した投資信託に厳選されているので、商品が選びやすくなっています。

STEP
見直しを行う

商品を購入したら、定期的に投資状況を確認し、必要があれば投資金額や投資商品を変更しましょう。

自分に合った方法で、無理なく資産運用を続けていきましょう。

4. iDeCo(イデコ)について

4-1. iDeCo(イデコ)の概要とメリット・デメリット

Image:Canva

老後資金の不安を解消するための賢い資産運用方法として、iDeCo[イデコ](個人型確定拠出年金)は非常に有効な選択肢です。iDeCoは、将来のために自分で資産を形成していくための制度であり、税制面での優遇も受けられます。ここでは、iDeCoの基本的な仕組みと、そのメリット・デメリット、そして賢く運用する方法について詳しく解説します。

iDeCoの概要

iDeCoは、加入者が自ら選んだ投資商品に毎月一定額を積立投資し、60歳以降に受け取ることができる個人向けの確定拠出年金制度です。掛金は所得控除の対象となり、運用益は非課税、受け取り時の税制も有利になっています。

つまり、税制優遇を受けながら老後の資金準備を進めることができるのです。

iDeCo(イデコ)
加入対象65歳未満の国民年金加入者
税制上のメリット積立時の掛金が全額所得控除の対象
運用益が非課税
受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
年間掛金上限額14.4~81.6万円(職業などにより異なる)
運用期間最長75歳まで
投資対象商品投資信託・定期預金・保険商品
購入方法積立のみ
Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

※制度の詳細は金融庁のホームページなどで確認してください

iDeCoのメリット

① 3つの税制メリット

iDeCoには、掛金の拠出時、運用時、給付時のそれぞれのタイミングで税制メリットがあります。

1) 所得控除:積立期間中の税金が安くなる

iDeCoの毎月の掛金は全額所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担が減ります。

2) 運用益が非課税:運用で得た利益に税金がかからない

通常、投資信託の売買によって得た利益や、定期預金の利息などには約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは運用中の利益に税金がかかりません。

3) 受取時の税制優遇:積み立てたお金を受け取るときに大きな控除枠がある

iDeCoで積み立てたお金を受け取るときに、一度にまとめて受け取る場合は「退職所得控除」、分割で受け取る場合は「公的年金控除」が適用されます。

MEMO

一度にまとめて受け取る場合:「退職所得控除」が適用されます。例えば、30年間iDeCoに加入して2,000万円を受け取る場合、800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円までは非課税です。

iDeCo加入年数退職所得控除額
20年以下40万円×加入年数
※80万円に満たない場合は80万円
20年超800万円+70万円×(加入年数-20年)
※Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

分割で受け取る場合:「公的年金等控除」が適用され、受け取る金額に応じて控除が受けられます。

年齢年金額控除額
65歳未満130万円未満60万円
65歳以上330万円未満110万円
※Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)
② 将来受け取るお金が増える可能性がある

iDeCoは、低金利の環境下でも掛金を効率的に運用し、一般的な銀行預金よりも多くの老後資金を貯められる可能性があります。

③ 月5,000円から始められる

掛金は月5,000円から1,000円単位で設定が可能で、生活に負担をかけない程度の金額で老後資金の積立を始めたい人にとっては、月5,000円という少額から始められるというメリットがあります。掛金の上限は職業などによって異なり、年間14.4~81.6万円となります。

④ 運用商品が選びやすい

運用商品は各金融機関が厳選し、本数が限られているため選びやすくなっています。

⑤ 運用コストが低く設定されている

iDeCoの運用商品では、購入手数料がかからない場合が多く、投資信託の信託報酬などの運用コストも、一般に販売されている投資信託に比べて低コストの商品が揃っています。

iDeCoの運用中および受取時の税制メリットや、少額から始められる手軽さは、老後の資金計画に大きなプラスをもたらします。

iDeCoのデメリット

① 60歳までお金を引き出すことができない

原則として60歳まで引き出すことができません。そのため、緊急時などにiDeCoで積み立てたお金に頼ることができません。途中解約は基本的には認められておらず、特定の条件を満たす場合に限り脱退一時金が受け取れます。

※加入年数が10年未満の場合、60歳になっても受け取れないケースがあります

② 運用結果によって損をする可能性がある

運用でのリスクは加入者が負うため、運用の結果によっては老後の資金が増える可能性もありますし、元本割れする可能性もあります。しかし、長期・分散投資を行うiDeCoでは、短期売買を行うような投資に比べてリスクを抑えやすくなります。

※元本保証の商品もありますが、利益は少なくなります

③ 各種手数料がかかる

iDeCoへ加入するときや商品の運用、積み立てた資産を他の金融機関へ移すときなどに手数料がかかります。これらの手数料は、国民年金基金連合会と金融機関(運営管理機関)に支払うものがあります。

※元本保証の商品のみで運用をしていると、運用で得た利益よりも手数料の方が多くなる可能性があるので注意が必要です

④ 加入条件がある

iDeCoには加入できる条件があり、全ての人が加入できるわけではありません。例えば、自営業者(第1号被保険者)の場合、国民年金の保険料を滞納している人、65歳以上の人などは対象外です。

また、会社員(第2号被保険者)などで企業型確定拠出年金加入者の場合も、一定の条件を満たさないと加入することができません。

加入資格掛金上限
自営業・フリーランスとその家族など(第1号被保険者)※1月額6.8万円
(年額81.6万円)
会社員・公務員など※2
(第2号被保険者)
会社に企業年金がない会社員月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入している会社員月額2.0万円※3
(年額24.0万円)
確定給付企業年金(DB)と企業型DCに加入している会社員月額1.2万円※4
(年額14.4万円)
DBのみに加入している会社員月額1.2万円
(年額14.4万円)
公務員
専業主婦[夫](第3号被保険者)月額2.3万円
(年額27.6万円)
国民年金の任意加入者(任意加入被保険者)月額6.8万円
(年額81.6万円)
Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

※1 農業者年金の被保険者、国民年金保険料を免除されている方は対象外
※2 勤務先で加入している企業型DCの事業者掛金が、拠出限度額の範囲内ではない方、マッチング拠出を実施している方は対象外
※3 企業型DCのみに加入する場合、月額5.5万円-企業型DCの事業主掛金(月額2万円を上限)
※4 企業型DCとDBに加入する場合、月額2.75万円-企業型DCの事業主掛金(月額1.2万円を上限)

iDeCoを利用する際は、これらのデメリットを十分に理解し、賢く対処することで、将来の資産形成に役立てることが可能です。

4-2. iDeCoの始め方

iDeCoで資産形成を始めるために必要なステップについて説明します。

STEP
加入できるか確認する

iDeCoはすべての人が加入できるわけではありません。会社員や公務員、専業主婦(夫)など多くの人が加入できますが、会社員は勤務先の企業型確定拠出年金でマッチング拠出を利用している場合は加入できないなど一定の条件があります。

また、パート、派遣社員、専業主婦(夫)などで、所得税や住民税の負担がない場合、所得控除の恩恵を受けられない点に注意が必要です。

自分が加入可能かどうか分からないという人は、iDeCo公式サイトのカンタン加入診断を利用して確認しましょう。

※マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金で勤務先が支払う掛金に対し、従業員自身が上乗せして掛金を支払う制度のことです

STEP
金融機関を選ぶ

iDeCoを始めるには、運営管理機関である金融機関でiDeCoの口座を開設する必要があります。運営管理機関となっているのは、主に証券会社、銀行、保険会社などです。口座管理手数料の安さ、運用商品の数や種類、利便性やサービスの充実度などを比較して選びましょう。

POINT
  • 口座管理手数料の安さ(運営管理機関により異なる)
  • iDeCo口座で購入できる商品ラインナップ(ニーズや投資スタイルに合った商品があるか)
  • 利便性やサービスの充実度、サポート体制
STEP
毎月の掛金を決める

iDeCoの掛金は、月5,000円から1,000円単位で設定ができます。ただし、加入資格によって上限額が異なるため、まずは上限額を確認しましょう。

上限額を確認したら、次のポイントを踏まえて無理なく続けられる金額を決めましょう。

POINT

家計の現状と将来計画:現在の収支バランスと将来必要となる費用を見積もり、それに見合った掛金を設定します。

ライフスタイル:自身のライフスタイルや将来のライフイベント(住宅購入、子供の教育など)を考慮し、それに合わせた掛金額を選びます。

長期的な資産運用:iDeCoは長期的な資産運用を前提としているため、長期間コツコツと続けられる金額を選ぶことが大切です。

iDeCoの掛金を決めることは、将来への資産形成のための重要なステップです。しかし、60歳まで基本的に引き出すことができないため、日々の生活を圧迫せず、無理なく続けられる金額を選ぶことが重要です。

※掛金額は、年に一度だけ変更することができるので、自身の状況の変化に合わせて、掛金額を減らすことが可能です。また、いつでも掛金の拠出を止めることもできます。

STEP
運用商品を選ぶ

iDeCoにはさまざまな運用商品があり、それぞれリスクとリターンの特性が異なります。自分に合った商品を選ぶためには、次のポイントをおさえましょう。

商品選びのポイント

商品の種類:iDeCoでは、元本確保商品と投資信託の大きく2種類の商品から選べます。元本確保商品(例:定期預金・保険商品)はリスクが低い一方でリターンも限定的です。投資信託はより高いリターンを目指せますが、リスクも伴います。

リスクとリターンの理解:投資信託は、リスクとリターンが商品によって異なります。リスク・リターンが低い順に国内債券型、外国債券型、国内株式型、外国株式型と分類されることが一般的です。運用成績によっては元本を上回ることもあれば、損失を出す可能性もあります。

自身の投資スタンスの確認:自分がどれだけのリスクを取れるか、また将来的にどの程度のリターンを目指しているかに応じて、商品を選ぶ必要があります。

商品選択のプロセス

商品の選択:自身で運営管理機関が取り扱う3〜35種類の商品から選びます。選択時には、投資目標やリスク許容度を考慮しましょう。

商品の見直し:一度選んだ商品でも、市場の変動や自身の状況の変化に応じて見直しを行うことが重要です。多くの運営管理機関では、一定の条件の下で商品の変更が可能です。

iDeCoの運用商品を選ぶ際には、自身の投資スタンスとライフプランに合わせて、適切なリスクとリターンのバランスを持つ商品を選択することが重要です。これにより、効果的な資産形成を目指すことができます。

STEP
口座を開設する

口座開設に必要な書類を準備し、選んだ金融機関で口座開設の申し込みを行います。申し込みはオンラインまたは金融機関の店頭で行うことができます。

必要書類には、本人確認書類や勤務先からの証明書(会社員・公務員の場合)、基礎年金番号がわかるものなどがあります。

手続き完了後、口座開設のお知らせと加入資格確認結果通知が届いたら、毎月26日に指定口座から掛金が引き落とされ、iDeCoによる資産形成がスタートします。

一般的なiDeCo口座の開設手順
  1. 金融機関のウェブサイトまたは店頭で申し込みをする
  2. 必要書類を提出する
  3. 口座開設手続き完了
一般的にiDeCo口座開設で必要なもの
  • 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
  • 事業主証明書(会社員・公務員の場合)
  • 掛金引き落とし口座情報・銀行印
  • 基礎年金番号

※iDeCo口座の開設方法は金融機関によって異なりますので、各金融機関のホームページをご確認ください

5. NISAとiDeCoの活用法

5-1. NISAとiDeCoの比較

老後資金を準備するための二つの柱、NISAとiDeCo。これらの制度は、それぞれ異なる特徴を持ち、賢く活用することで老後の資金準備を効果的に進めることができます。

スクロールできます
NISAiDeCo
つみたて投資枠成長投資枠
概要投資から得られる利益(配当や売却益など)が非課税になる制度です。一般NISAでは年間120万円まで、つみたてNISAでは年間40万円までの投資が可能です。非課税の恩恵を受けられる期間に制限があります。自身で掛金を選択し、老後の資金を自分で運用する個人型の確定拠出年金制度です。掛金は所得控除の対象となり、運用益についても非課税です。60歳まで引き出しはできませんが、長期的な資産形成に最適です。
加入対象日本在住の18歳以上65歳未満の国民年金加入者
税制メリット積立・拠出時なし積立時の掛金が全額所得控除の対象
運用中運用益が非課税
受取時なし受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
最低積立金額100~10,000円(金融機関により異なる)5,000円
年間投資上限額120万円240万円14.4~81.6万円(職業などにより異なる)
併用した場合360万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税保有期間無期限最長75歳まで
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託一定の国内外の上場株式・ETF・投資信託など投資信託・定期預金・保険商品
購入方法積立のみスポット・積立積立のみ
引き出しいつでも可原則60歳以降
Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

5-2. NISAとiDeCoどっちがおすすめ?

NISAとiDeCoについて、どちらがおすすめかは個人の状況によって異なります。それぞれの制度は独自のメリットとデメリットがあり、年齢やライフステージ、資産規模などに合わせた運用方法を見つけることが重要です。iDeCoは税制上の優遇措置が手厚く、長期的な老後資金準備に適していますが、60歳まで資金を引き出すことができません。一方、NISAは年齢に関わらずさまざまな目的に使える柔軟性があります。

自分自身に合った運用方法を見つけるためには、それぞれの特徴を理解し、自身のライフプランに照らし合わせて考えることが大切です。

60歳以前に資金が必要な場合はNISA、60歳以降の資金準備にはiDeCoを活用することを検討し、必要に応じて両制度をバランスよく組み合わせて利用することが推奨されます。資金に余裕がある場合は、両制度を併用すれば資産をより効率的に増やすことが可能です。最終的には、ご自身の投資目的を明確にし、それに基づいて最適な選択をすることが、賢い資産運用の鍵となります。

6. 実践!老後資金を増やすためのステップ

6-1. スタートアップガイド:投資を始める最初の一歩

投資を始めるには、まず自分の現在の財務状況を把握しましょう。どれだけの資金を投資に回せるか、月々いくらなら無理なく投資できるかを考えます。次に、NISAやiDeCoといった税制優遇を受けられる制度をフル活用しましょう。投資先の選定では、リスクとリターンを理解し、自分に合った商品を選びます。資産運用は長期戦。焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。

6-2. リスク管理と資産配分の考え方

リスクを避けてばかりでは資産は増えませんが、過度なリスクは避けるべきです。リスクを管理しながら賢く資産を増やすには、分散投資が鍵となります。株式だけでなく、債券や不動産など、異なる資産クラスに投資することで、リスクを抑えつつ、資産成長のチャンスを広げましょう。また、定期的なポートフォリオの見直しも忘れずに。

7. よくある質問(FAQ)

7-1. NISAとiDeCoに関するよくある疑問

NISAとiDeCoの違いは何ですか?

NISAは一定期間、投資利益が非課税になる制度で、若干柔軟性があります。iDeCoは、老後資金のための個人型確定拠出年金制度で、所得控除が適用され、運用益が非課税になりますが、60歳まで引き出せません。

NISAとiDeCo、どっちを選べばいいですか?

自身のライフプランや資金の必要性に応じて選択してください。将来への投資としてiDeCo、柔軟性を持ちたい場合はNISAから始めることを推奨します。短期~中期の目標にはNISA、長期の老後資金にはiDeCoが向いています。両方の利点を活かして、ライフプランに合わせた選択を。

投資初心者でも大丈夫ですか?

はい。投資信託の積立など、初心者でも始めやすい方法が多くあります。まずは少額からスタートしましょう。

7-2. 投資初心者が踏むべきでない落とし穴

高リターンを追求し過ぎると、リスクも高まります。自分のリスク許容度を超えた投資は避け、長期的な視野で資産を育てる心構えが大切です。

短期間での大きなリターンを期待しすぎないこと、投資は長期戦です。自分で理解できない商品に投資しないこと、手数料や税金を考慮に入れずに投資計画を立てないことが重要です。

8. まとめと次の一歩

8-1. 賢い資産運用への道

老後資金のために賢く資産運用をするには、まず自分自身に合った投資方法を理解し、リスク管理を徹底しながら、長期的な視野でコツコツと投資を続けることが重要です。NISAとiDeCoを上手に組み合わせることで、より効果的な資産形成が可能になります。

8-2. 継続は力なり:投資を続けるモチベーション

投資を続けるためには、定期的に自身の投資成績を確認し、投資計画に基づいて必要に応じて調整を行うことが大切です。また、投資の知識を深め、自分自身で賢い選択ができるようになることも、投資を続ける上での大きなモチベーションになります。

※本記事の内容は、執筆時2024年3月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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