【分散投資の落とし穴】日本株と米国株の組み合わせはNG?米国債の魅力とリスクを徹底解説!

分散投資は、リスクを軽減し安定的なリターンを目指す投資戦略として広く知られています。しかし、その実行には落とし穴も存在します。特に、日本株と米国株の組み合わせは、一見分散投資のように見えても、実はそうではない場合があります。

あなたは分散投資をしているつもりでも、実はリスクにさらされているかもしれません。

この記事では、分散投資における落とし穴、特に日米株の組み合わせの問題点、そして利回り約4%(※)という魅力的な米国債のリスクとメリットについて詳しく解説します。

※米国債10年の2024年8月15日時点の年利回り

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日米株の組み合わせは分散投資にならない?

日本株と米国株は、異なる市場で取引されているため、一見地域分散ができ分散投資に最適な組み合わせのように思えます。しかし、実は両市場には強い相関関係があるのです。

近年、この2つの市場の相関性は高まっており、どちらか一方が下落すると、もう一方もつられて下落する可能性が高まっています。これは、グローバル経済の相互依存性が高まっていることや、投資家のリスク回避行動などが影響していると考えられます。

また、日本株と米国株は、どちらも先進国の株式市場であり、世界経済の影響を受けやすいという共通点があります。そのため、世界的な景気後退などが起こると、両市場とも下落する可能性があります。

リーマンショックやロシアのウクライナ侵攻などが良い例です。2008年のリーマンショック時には、日本株も米国株も大幅に下落しました。また、2022年のロシアのウクライナ侵攻や、それに伴う世界的なインフレ懸念の高まりも、両市場に大きな影響を与えました。これらの事例からも、日本株と米国株の組み合わせだけでは、十分な分散効果が得られない可能性があることがわかります。

つまり、日本株と米国株を組み合わせても、期待したほどの分散効果が得られず、ポートフォリオ全体が大きな損失を被る可能性があるのです。

分散投資の基本

全ての資金を一つの投資先に集中するのではなく、リスクを分散するために複数の異なる種類の資産に投資することが分散投資です。

分散投資には、資産分散と時間分散の2つの方法があります。

資産分散

資産分散は、投資する資産、地域や業種、タイミングなど、異なる種類の商品に資金を分けて投資することです。これにより、例えば一つの業種や地域が不調の時でも、他の業種や地域の好調がその損失を相殺し、リスクを軽減することが期待できます。

EX.

仮に、ある投資家が100万円を投資する場合、資産分散をせずに全額を国内株式に投資したとします。この場合、国内株式市場が下落すれば、ポートフォリオ全体の価値も大きく下落します。

一方で、資産分散を行い、以下のように資金を分けて投資したとします。

国内株式:40万円
海外株式:30万円
債券:20万円
不動産投資信託(REIT):10万円

この場合、もし国内株式市場が下落しても、海外株式や債券、REITのパフォーマンスによってリスクが分散され、ポートフォリオ全体の損失を抑えることができます。

時間分散

時間分散は、異なる時期に投資を行い、市場の変動によるリスクを分散することです。長期間にわたって定期的に投資を行うことで、高値での購入リスクと低値での購入機会を均等にすることができます(ドルコスト平均法)。

EX.

ある投資家が、一括投資ではなく、積立投資を選択したとします。100万円を一度に投資する代わりに、毎月1万円ずつ10年間にわたって株式市場に投資します。市場価格が上昇している時は少ない株数を、価格が下落している時は多くの株数を購入できるため、長期的に見た時の平均購入単価を下げることができます。

このように、時間分散により市場の短期的な変動に左右されず、長期的な資産増加を目指すことができます。

守ることが最優先

投資の基本は、増やすことよりもまず守ることです。インフレに負けないように、全資産を守ることが大切です。しかし、日本人は現金や預金を保有しがちで、これではインフレに負けてしまいます。

インフレに強い資産:不動産、株式、債券

インフレに強い資産としては、不動産、株式、債券などが挙げられます。しかし、不動産は高額で手が出しにくく、株式は価格変動リスクがあります。そこで、注目したいのが米国債です。

米国債の魅力と注意点

Image: Canva

米国債とは?

米国債とは、アメリカ合衆国政府が発行する債券です。安全性の高さから「安全資産」と呼ばれ、世界中の投資家から信頼されています。

投資家は、米国債を購入することで、アメリカ合衆国政府にお金を貸したことになります。そして、満期が来ると、元本と利息を受け取ることができます。

米国債の魅力

現在、米国債の金利は4%近くと高水準です(※)。これは、インフレに負けないための資産として非常に魅力的です。また、米国債は国が発行しているため、安全性も高いです。

  • 安定性: 米国政府が発行する債券であるため、デフォルト(債務不履行)リスクは極めて低いと考えられます。
  • 高い利回り: 現在の低金利環境では、約4%という利回りは非常に魅力的です(※)。
  • 分散効果: 株式とは異なる値動きをするため、ポートフォリオに組み込むことで分散効果が期待できます。
  • 高い流動性: 米国債は、世界で最も活発に取引されている債券の一つであり、いつでも売買することができます。

※米国債10年の2024年8月15日時点の年利回り

米国債投資の注意点

しかし、高い利回りの裏にはリスクも潜んでいるので注意が必要です。

金利上昇リスクと価格下落の関係

高い利回りである米国債は、一見魅力的な投資対象に見えます。しかし、金利が上昇すると、債券価格は下落するという関係があります。

これは、新たに発行される債券の金利が上昇すると、既存の債券の金利が相対的に低くなり、魅力が薄れるためです。そのため、金利上昇局面では、米国債の価格が下落し、投資家は損失を被る可能性があります。

為替リスクの影響

米国債への投資には、為替リスクも伴います。円安が進めば、米国債の利払いも円換算で増加しますが、逆に円高が進めば、利払いも円換算で減少します。

特に、満期まで保有する場合は、為替変動が最終的なリターンに大きく影響します。

クレジットリスクと流動性リスク

米国債は、一般的に安全な投資対象とされていますが、それでもクレジットリスク(債務不履行リスク)はゼロではありません。また、流動性リスク(換金性のリスク)も存在します。

特に、経済状況が悪化したり、市場が混乱したりすると、米国債の流動性が低下し、売却が困難になる可能性があります。

インフレリスク

インフレ率が金利を上回った場合、米国債の実質的な価値は目減りします。

米国債は長期保有が基本

米国債を購入する場合は、長期保有が基本です。短期で売買すると、為替変動リスクにさらされる可能性があります。長期保有することで、為替変動リスクを軽減し、安定したリターンを得ることができます。

分散投資を成功させるためのポイント

では、日本株と米国株の組み合わせ以外に、どのような分散投資の方法があるのでしょうか?

  • 異なる資産クラスへの投資: 株式だけでなく、債券、不動産、コモディティなど、異なる資産クラスに投資することで、リスク分散効果を高めることができます。
  • 世界各国への投資: 日本、米国だけでなく、欧州、アジア、その他新興国など、世界各国に投資することで、特定の国や地域の経済状況に左右されないポートフォリオを構築することができます。
  • 投資信託の活用: 投資信託は、複数の投資対象を組み合わせて運用される金融商品であり、少額から分散投資を行うことができます。

分散投資は、短期的なリターンではなく、長期的な安定収益を目指すものです。そのため、短期的な市場変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが重要です。

また、市場環境や経済状況は常に変化するため、定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じて調整することも大切です。

まとめ

分散投資はリスク軽減に有効な戦略です。資産分散と時間分散を組み合わせ、債券のように株式と異なる値動きをする資産も活用することで、より効果的な分散投資が実現できます。

投資の基本は「守ること」であり、インフレに強い資産への投資が重要です。米国債は魅力的な投資先ですが、金利上昇や為替変動リスクなどを理解し、長期保有を前提に検討する必要があります。

分散投資を成功させるには、様々な資産クラスや国への投資、投資信託の活用などが有効です。焦らず長期的な視点で、定期的なポートフォリオの見直しを行いましょう。

この記事が、あなたの投資戦略を考える上で少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事の内容は、執筆時2024年8月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
※投資は自己責任です。この記事は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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