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「老後の生活、本当にお金は足りるだろうか…?」
充実した日々を送りながらも、ふとした瞬間にそんな漠然とした不安が胸をよぎることはありませんか。特に人生の大きな節目を迎える50代、60代の皆さまにとって、お金に関する悩みは、決して他人事ではない切実な問題かもしれません。体力的な変化を感じ始めたり、お子さんが独立されたり、あるいは定年が目前に迫っていたりと、ライフステージが大きく変わるこの時期、将来への期待とともに、経済的な心配事が増えるのは自然なことです。
私たちが若い頃に思い描いていた「安定した老後」のイメージは、残念ながら、今の時代にはそのまま当てはまらない可能性が高まっています。「人生100年時代」が現実味を帯び、私たちはかつてないほど長い老後を視野に入れる必要が出てきました。その一方で、銀行にお金を預けていてもほとんど増えない超低金利時代が長く続き、さらに近年、様々な要因から食料品やエネルギー価格を中心に物価上昇の波が押し寄せ、生活コストは着実に増加しています。つまり、ただ貯蓄しているだけでは、お金の実質的な価値が少しずつ目減りしていくという、厳しい現実に直面しているのです。
加えて、50代・60代は、お金との向き合い方において、特に重要な転換期と言えます。多くの方が定年退職や再雇用によって、現役時代と比べて収入が大きく変化する時期を迎えます。もしこのタイミングで大きなお金の失敗をしてしまっても、若い頃のように時間や体力で挽回することは容易ではありません。残された時間は限られています。さらに、予期せぬ病気や家族の介護など、計画外のまとまった支出が必要になるリスクも、年齢とともに高まっていく傾向にあります。
また、この年代は退職金という、人生で最大級のまとまったお金を手にする機会がある方も多いでしょう。しかし、この「まとまったお金」が、かえって冷静な判断を鈍らせ、普段ならしないようなリスクの高い選択をしてしまうきっかけになるケースも少なくありません。「長年頑張ったご褒美だから」「これで老後は安泰だ」といった気持ちが、思わぬ落とし穴につながることもあるのです。
だからこそ、「まだ大丈夫」と問題を先送りにせず、「今」、ご自身の足元をしっかりと見つめ直し、お金に関する習慣や知識をアップデートすることが、かつてないほど重要になっています。
この記事では、そんな大切な時期を迎える皆さまが、将来「あの時こうしておけば…」と後悔しないために、絶対に避けるべき「危険なお金の習慣」を5つ厳選し、具体的な対策とともに詳しく解説していきます。少し耳の痛い話もあるかもしれませんが、今日ここで得られる「気づき」が、あなたの未来をより豊かで安心なものに変えるための、大切な第一歩となるはずです。ぜひ最後までお付き合いいただき、ご自身の状況と照らし合わせながら、明るい未来への羅針盤としてご活用ください。
まず最初にご紹介したい、50代・60代の方が陥りやすい危険なお金の習慣は、「現状維持」、つまりお金に関する見直しをついつい先延ばしにしてしまうことです。「忙しいから」「面倒だから」「何とかなるだろう」…そう考えて、ご自身の家計や資産の状況から目をそむけてはいませんか? この「現状維持バイアス」とも呼べる思考停止こそが、実は老後の安定を静かに蝕む大きなリスクとなり得るのです。
第一に、知らないうちにお金の価値が目減りしている可能性があります。2025年現在も続く物価上昇の局面では、現金の価値は相対的に下がり続けています。ご自身の収支を正確に把握していなければ、家計が赤字に転落していることに気づけませんし、ただ普通預金や金利の低い定期預金にまとまったお金を置いているだけでは、インフレによってせっかく貯めた資産の実質的な価値がどんどん失われていくことになります。
第二に、得られたはずの利益を逃している可能性があります。例えば、NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を後押しする有利な制度として注目されていますが、ご自身の資産状況や制度自体を知らなければ、この恩恵を活用することはできません。情報収集や見直しを怠ることで、本来得られたかもしれない利益(機会損失)を逃しているケースは少なくないのです。
さらに、無駄な支出を続けている可能性も無視できません。若い頃に加入した生命保険、内容をよく理解しないまま勧められて契約した保険など、今の自分のライフステージには合っていない保障に、高い保険料を支払い続けているかもしれません。定期的な見直しをしなければ、こうした「隠れた無駄」に気づくことすらできません。
具体的に、あなたはご自身の状況について、自信を持って「把握している」と言えるでしょうか。例えば、ここ何年も家計簿をつけておらず、毎月のおおよその支出しかわからなかったり、預貯金や株式、投資信託など、ご自身の資産が今、合計でいくらあるのか正確な数字を把握していなかったりしませんか。あるいは、押し入れの奥にしまったままの保険証券の内容を、もう何年も確認していない、ということはないでしょうか。もし一つでもドキッとしたなら、それは見直しのサインかもしれません。
この危険な習慣から抜け出すための第一歩は、難しく考える必要はありません。まずは、年に一度、誕生日や年度末など、決まった時期にご自身の「お金の健康診断」を実施することを習慣にしてみてはいかがでしょうか。人間が定期的に健康診断を受けるように、お金についても現状を正確に把握することが、あらゆる対策のスタートラインとなります。
具体的には、まず家計の収支を確認しましょう。最近では便利な家計簿アプリも多く登場しており、銀行口座やクレジットカードと連携させれば、自動で収支を記録・分析してくれるものもあります。次に、ご自身の資産(預貯金、株式、投資信託、不動産、保険の解約返戻金など)と負債(住宅ローン、カードローンなど)をすべてリストアップし、「純資産」がいくらあるのかを把握します。そして、加入している保険の保障内容と保険料が、現在の自分にとって本当に必要か、過不足がないかを確認します。
家計と資産の状況を簡単に把握できる『お金の棚卸しシート』例
現状を知ることは、時に厳しい現実に直面することになるかもしれません。しかし、それこそが問題を解決し、より良い未来を築くための最も重要なステップなのです。まずはご自身の「お金の現在地」をしっかりと確認することから始めてみましょう。
長年の勤労への対価として受け取る退職金。まとまった金額を目にすると、「これでやっと自由になれる」「長年頑張った自分へのご褒美だ」と、気持ちが大きくなる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この退職金をまるで「棚からぼたもち」のような臨時収入、いわゆる「アブク銭」のように捉え、計画性なく使ってしまうことは、老後の生活設計を根底から揺るがしかねない、非常に危険な習慣なのです。
まず、認識すべき最も重要な点は、退職金は決してアブク銭ではないということです。それは、あなたが長年にわたって会社に貢献してきたことへの正当な対価であり、そして何よりも、これからの長い老後生活を安定して送るための、かけがえのない「命綱」となるべき資金です。この本質を忘れ、一時的な感情で「パーッ」と使ってしまうと、あっという間になくなってしまう可能性があります。
例えば、「長年の夢だったから」と熟慮せずに高級車を購入したり、「お祝いだから」と相場を超えた金額をお子さんやお孫さんに渡したりするのは、典型的な危険信号です。また、「このお金を増やせば老後は安泰だ」という甘い考えから、仕組みをよく理解しないままリスクの高い投資話に乗ってしまい、大切な退職金を大きく減らしてしまうケースも後を絶ちません。特に、昨今のように経済の先行きが不透明で、低金利や物価上昇が続く状況下では、一度失った資産を取り戻すことは非常に困難です。退職金の運用を考える際も、金融機関の「おすすめ」を鵜呑みにせず、冷静な判断が求められます。
一度、退職金を大きく減らしてしまうと、その後の生活設計は根本から崩れ去り、老後の選択肢は極端に狭まってしまいます。「あの時、もっと慎重に考えていれば…」と後悔しても、失った時間とお金を取り戻すことはできません。
この落とし穴を避けるための鍵は、退職金を受け取る前から、その使い道を冷静に、そして具体的に計画しておくことです。理想を言えば、退職が視野に入ってきた段階から準備を始めるのが良いでしょう。
まず、ご自身の老後生活に必要な資金額(生活費、住居費、医療・介護費、予備費など)をできるだけ正確に見積もりましょう。その上で、退職金をどのように活用するか、優先順位をつけて計画を立てます。例えば、「生活費の不足分補填」「住宅ローンの繰り上げ返済」「住まいのリフォーム費用」「将来の医療・介護への備え」などをリストアップし、それぞれにいくら割り当てるかを明確にします。趣味や旅行など、人生を楽しむための費用も計画に含めることは大切ですが、あくまで生活基盤を確保した上での余裕資金の範囲内にとどめるべきです。
そして、実際に退職金を手にした際には、すぐに大きな決断をするのではなく、必ず一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。計画通りに進める場合でも、本当にそれが最善の選択なのか、他にリスクはないかなどを再確認します。衝動的な判断は禁物です。
もし、ご自身だけで計画を立てるのが不安な場合は、信頼できる家族や、中立的な立場のお金の専門家(特定の金融機関に属さないIFA:独立系ファイナンシャルアドバイザーなど)に相談するのも非常に有効な手段です。客観的な視点からのアドバイスは、冷静な判断を助けてくれるでしょう。
退職金の使い道優先順位シート(例)
参考)
リスク許容度診断テスト(全国銀行協会):https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-c/diagnosis/risktest
退職金は、あなたのこれからの人生を豊かにするための大切な原資です。一時的な感情に流されず、しっかりと計画を立てて賢く活用することで、経済的な安心感を得て、充実したセカンドライフを送るための力強い支えとなるはずです。
「銀行の窓口で勧められたから」「保険の担当者が親切だから」「知り合いが良いと言っていたから」…こうした身近な人からの推奨をきっかけに、よく理解しないまま金融商品を購入してしまうのも、50代・60代が特に注意すべき危険な習慣の一つです。「みんなやっていますよ」「今だけお得です」といった言葉に、つい心が動かされてしまうこともあるかもしれません。しかし、その判断が、将来大きな後悔につながる可能性があるのです。
残念ながら、金融機関や販売員が勧める商品が、必ずしもあなたの利益を最優先に考えたものであるとは限りません。彼らには販売目標や手数料収入といった、いわゆる「販売側の都合」が存在する場合があり、それが顧客にとって必ずしも最適ではない、手数料の高い商品やリスクの高い商品を推奨する動機となり得ます。
特に注意が必要なのは、仕組みが複雑でリスクが分かりにくい商品です。例えば、毎月分配金が支払われることで一見お得に見えるものの、実は元本を取り崩しているだけの「毎月分配型投資信託」や、為替リスクや高い手数料が隠れていることが多い「外貨建て保険(特に貯蓄性と保障性が中途半端なタイプ)」などが挙げられます。金融庁も、こうした複雑な仕組みの金融商品(特定の仕組み債などを含む)については、リスクや手数料を十分に理解せずに契約することへの注意喚起を継続的に行っています。
さらに深刻なのは、悪質な投資詐欺に巻き込まれるケースです。「元本保証」「高利回り確実」といったうたい文句は、ほぼ間違いなく詐欺を疑うべきサインです。最近では、SNSなどを通じて巧妙に近づき、劇場型の勧誘で信用させ、実態のない投資話にお金を振り込ませる手口も増えています。退職金などまとまったお金を手にしたタイミングは、特に詐欺師に狙われやすい時期でもあります。
こうしたリスクから身を守るための最も重要な鉄則は、「内容を十分に理解できない金融商品には、決して手を出さない」ということです。そして、そのためには以下の行動を徹底することが求められます。
まず、どんなに魅力的な話に聞こえても、その場で即決しないこと。「今日だけの特別プランです」などと契約を急かされたとしても、「必ず持ち帰って検討します」と、きっぱり伝える勇気を持ちましょう。
次に、持ち帰った資料をじっくりと読み込み、メリットだけでなく、デメリットやリスク、そして手数料について徹底的に確認・理解することが重要です。特に手数料は、パンフレットの隅に小さく書かれていることもあります。購入時だけでなく、保有期間中にかかる費用(信託報酬、保険関係費用など)や、解約時にかかる費用(解約控除など)まで、納得できるまで確認しましょう。
そして、自分で調べる努力も欠かせません。インターネットで商品名や仕組みを検索したり、金融庁や国民生活センターといった公的機関のウェブサイトで注意喚起情報を確認したりするだけでも、多くの情報が得られます。可能であれば、勧めてきた販売員とは別の、中立的な専門家(IFAなど)にセカンドオピニオンを求めることも有効な手段です。
金融商品を選ぶ際のチェックリスト(例)
「よくわからないから、プロにお任せしよう」という考え方は、最も危険な思考パターンです。金融の世界においては、最終的な判断と責任は、すべて自分自身にあります。大切な資産を守り、賢く増やすためには、主体的に情報を収集し、理解し、判断する「金融リテラシー」を高めていくことが不可欠なのです。
「子供には苦労させたくない」「可愛い孫のためなら、できることは何でもしてあげたい」…お子さんやお孫さんを想うその深い愛情は、何物にも代えがたい尊いものです。しかし、その優しい気持ちが、時としてご自身の老後生活を脅かす「危険な習慣」につながってしまうことがあるのです。それは、ご自身の老後の備えを顧みずに、過剰な資金援助をしてしまうことです。
まず最も直接的なリスクは、ご自身の老後資金が枯渇してしまうことです。50代・60代は、老後資金を準備するラストスパートの時期、あるいは、蓄えた資産を計画的に取り崩していく大切な時期にあたります。この重要な時期に、例えばお子さんの住宅購入の頭金を全額負担したり、お孫さんの教育費(場合によっては留学費用なども含め)をすべて肩代わりしたり、あるいは起業資金として安易に大金を渡してしまったりすると、ご自身の生活設計が大きく狂ってしまう可能性があります。物価上昇が続く昨今、老後に必要となる資金額は以前よりも増加傾向にあることも忘れてはなりません。
次に考えられるのは、過剰な援助がかえってお子さんやお孫さんの経済的な自立を妨げてしまう可能性です。「困ったら親が助けてくれる」という状況が当たり前になると、自分自身で計画的にお金を管理したり、困難を乗り越えたりする力が育ちにくくなるかもしれません。
そして最悪の場合、「親子共倒れ」という事態を招きかねません。ご自身の老後資金が底をつき、生活に困窮した結果、援助してきたはずのお子さんに頼らざるを得なくなる…そんな悲しい結末は、誰しも避けたいはずです。良かれと思ってした援助が、結果的に親子双方を不幸にしてしまうリスクがあるのです。
このデリケートな問題に対する賢明なアプローチは、まずご自身の老後生活の見通しをしっかりと立て、その上で「無理のない範囲」での援助にとどめるというルールを明確にすることです。
まず、ご自身が安心して老後を送るために、いつまでに、いくら必要なのかを具体的に試算しましょう。生活費、住居費、医療・介護費、そして予期せぬ事態に備える予備費などを考慮に入れます。
その上で、もし援助する余裕があると判断した場合でも、「いくらまでなら援助できるのか」「どのような目的(例えば、教育資金の一部、結婚祝いなど)に限るのか」といった具体的な上限額やルールをご家族(可能であればお子さんとも)で話し合い、決めておくことが重要です。
ルールを決めた以上、それを超える要求に対しては、心を鬼にして「断る勇気」も必要になります。それは決して愛情がないということではありません。親子双方の将来を守るための、賢明な判断なのです。
忘れてはならないのが、援助はお金を出すことだけではない、ということです。お子さんやお孫さんの相談に乗る、経験に基づいたアドバイスをする、あるいは精神的な支えになることも、お金以上に価値のある立派な「支援」と言えるでしょう。
【税金の知識も忘れずに】
まとまったお金を援助する場合、贈与税の問題も考慮に入れる必要があります。2024年の税制改正により、暦年贈与(年間110万円までの非課税枠)の相続税への加算期間が延長された一方、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が創設されるなど、制度が変更されています(2025年3月現在)。計画的な贈与を行う場合でも、こうした最新の税制を理解し、必要であれば税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
お子さんやお孫さんへの愛情と、ご自身の老後の安心。その両方を守るためには、感情に流されず、冷静かつ計画的に関わっていく姿勢が求められます。それが結果的に、ご家族全体の長期的な幸せにつながるはずです。
ここまでお金に関する様々な習慣について見てきましたが、最後にもう一つ、意外と見落とされがちでありながら、老後の生活設計に決定的な影響を与えかねない「危険な習慣」があります。それは、ご自身の「健康」をおろそかにしてしまうことです。節約意識が高まるあまり、あるいは日々の忙しさにかまけて、健康管理を後回しにしていませんか?
理由は明白です。まず、健康を損なえば、予期せぬ高額な医療費や介護費用が発生するリスクが格段に高まります。生活習慣病が悪化して長期的な治療が必要になったり、大きな病気で入院・手術が必要になったりすれば、せっかく計画的に貯めてきた老後資金も、あっという間に底をついてしまう可能性があります。厚生労働省のデータを見ても、平均寿命と、日常生活を支障なく送れる「健康寿命」との間には依然として数年以上のギャップがあり、その期間は医療や介護に頼る可能性が高まることを示唆しています。将来的に高齢者の医療費自己負担割合が増加する可能性も議論されており、自分の健康は自分で守る意識がますます重要になっています。
さらに、健康状態が悪化すれば、働きたくても働けなくなり、収入が途絶えてしまうリスクもあります。特に、定年後も再雇用などで働くことを想定していた場合、その計画は大きく狂ってしまいます。
そして何よりも、お金を使う楽しみそのものが、健康あってこそ成り立つという事実を忘れてはなりません。どんなに十分な資産があったとしても、健康でなければ旅行に出かけたり、趣味を楽しんだり、友人と食事をしたりといった、人生を豊かにする活動を心から満喫することは難しくなります。心身の健康は、充実したセカンドライフを送るための、まさに土台となるものなのです。
では、具体的にどのような行動が危険信号なのでしょうか。例えば、「節約のため」と健康診断やがん検診の受診を先延ばしにしたり、肩こりや腰痛、ちょっとした体調不良を「もう年だから仕方ない」と放置したりしていませんか。あるいは、食費を切り詰めるあまり栄養バランスが偏った食事ばかりになったり、日頃から運動する習慣がなかったりするのも、将来の健康リスクを高める行動と言えます。ストレスを溜め込み、睡眠不足が続いている状態も、心身の健康を蝕む要因です。
この危険な習慣を断ち切るために必要なのは、「健康維持にかけるお金や時間は、単なるコストではなく、将来の自分への最重要投資である」という発想の転換です。目先の費用を惜しむことが、将来的に何倍もの医療費や介護費、そして失われた時間や楽しみとなって返ってくる可能性があることを理解しましょう。
具体的な「健康投資」としては、まず定期的な健康診断や人間ドックを必ず受けることが挙げられます。これにより、病気の早期発見・早期治療につながり、結果的に重症化を防ぎ、医療費負担を抑えることができます。
次に、日々の生活習慣を見直すことも重要です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に50代・60代に不足しがちな栄養素を意識的に摂取する。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど、無理のない範囲で適度な運動を習慣にする。十分な睡眠時間を確保し、ストレスを上手に解消する方法を見つけることも、心身の健康維持には欠かせません。
自治体が提供する健康増進プログラムや、地域のスポーツジム、オンラインフィットネスなどを活用するのも良いでしょう。これらは単なる「費用」ではなく、将来の医療費や介護費を抑制し、何よりも活動的で楽しい老後を送るための「賢い投資」なのです。
健康への投資は、目に見えるリターンがすぐに出るものではないかもしれません。しかし、それは着実にあなたの未来の資産となり、経済的な安定はもちろん、人生そのものの豊かさを支える、最も確実で価値のある投資と言えるでしょう。
さて、ここまで5つの「危険なお金の習慣」について、そのリスクと回避策を見てきました。「耳の痛い話だな」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、もしこれらの習慣を「自分には関係ない」「まだ先のことだ」と見過ごし続けてしまったら、一体どのような未来が待ち受けているのでしょうか? 少し想像してみてください。
あなたが70代、80代になった時…
毎日の食事を切り詰め、買いたいものも我慢するギリギリの生活。かつて楽しんだ趣味や旅行は、遠い昔の思い出となり、ただ日々の生活費を心配する毎日を送っているかもしれません。
あるいは、体に不調を感じても、「お金がかかるから」と病院に行くのをためらい、十分な治療を受けられない状況に陥る可能性もあります。病状が悪化し、寝たきりや要介護状態になっても、望むようなケアを受けられず、心身ともに辛い日々を過ごすことになるかもしれません。
そして、最も避けたいシナリオの一つが、経済的に困窮し、「迷惑はかけたくない」と心から願っていたはずのお子さんやお孫さんに、頼らざるを得なくなる状況です。金銭的な援助をお願いしたり、同居を余儀なくされたりすることで、大切な家族関係に思わぬ負担をかけてしまうかもしれません。
少し厳しい描写に聞こえるでしょうか? しかし、これらは決して大げさな話や、遠い誰かの物語ではありません。これまで見てきたような「危険な習慣」を放置し続けた結果、実際に多くの方が直面している、あるいはこれから直面する可能性のある、現実的なリスクなのです。人生100年時代と言われる現代(2025年現在)において、老後の期間はますます長くなっています。十分な備えがなければ、長い老後が経済的な苦しみの期間となってしまう可能性も否定できません。
「あの時、もっと真剣にお金のことを考えておけばよかった…」 「なぜ、もっと早く行動しなかったのだろう…」
そう後悔しても、時間は巻き戻せません。だからこそ、「今」気づき、行動を始めることが何よりも大切なのです。まだ体力も気力もある50代、60代の今だからこそ、未来を変えるチャンスがあります。手遅れになってしまう前に、ご自身の状況を見つめ直し、必要な一歩を踏み出す勇気を持ってください。
今回は、50代・60代の皆さまが特に注意すべき「危険なお金の習慣」を5つご紹介しました。現状把握の怠慢、計画なき退職金の浪費、言われるがままの金融商品購入、過剰な資金援助、そして健康への無関心…。正直なところ、中には「自分のことかもしれない」「耳が痛いな」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、どうか落ち込まないでください。最も大切なことは、「今、気づけた」ということです。問題に気づき、それを認識することこそが、変化への最も重要なスタートラインです。そして、何歳であっても、今日から行動を改めれば、あなたの未来は必ずより良い方向に変えていくことができます。 手遅れになる前に、ぜひ勇気を持って一歩を踏み出しましょう。
では、具体的に何から始めればよいのでしょうか?
その答えは、この記事で最初にご紹介したNG習慣、「思考停止での現状維持」を脱却することにあります。つまり、まずはご自身の「お金の現在地」を正確に把握することから始めてみてください。
毎月の家計の収支はどうなっているか? 預貯金や投資、保険などを含めた総資産はいくらか? 加入している保険の内容は? まずは、ご自身の家計や資産の状況を「見える化」すること。これが、漠然とした不安を解消し、具体的な対策を立てるための、そして明るい未来へとつながる、最も確実で大切な第一歩となります。家計簿アプリを活用したり、資産をリストアップしたり、保険証券を確認したり、できることからで構いません。
この記事が、皆さまの輝かしいセカンドライフ、そしてその先の人生が、経済的な安心と共に、より豊かで実りあるものになるための一助となれば幸いです。
※本記事の内容は、執筆時2025年4月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
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