取引画面の「金利調整額」を見て、何の金額なのか、なぜマイナスになる日があるのかと戸惑ったことはないでしょうか。
金利調整額は、取引を決済しないまま日をまたいで保有すると発生する調整金で、買いと売りで受取りと支払いが分かれます。FXのスワップポイントとは似て非なるもので、計算の軸が異なる点に注意が必要です。
本記事では、その仕組みと計算の考え方、配当調整額・価格調整額との違い、確認の方法までを、数値例とともに順に整理していきます。
※本記事の金利や金額は、仕組みを理解するための仮定値です。実際の調整額は、証券会社が公表している数値でご確認ください。
CFDの金利調整額とは
金利調整額の意味
金利調整額とは、決済していない取引(ポジション)を、証券会社が定める時刻をまたいで翌日以降も保有し続けたとき(持ち越し)に、受取りまたは支払いとして発生する調整金のことです。
株式や株価指数などを対象とするCFD(証券CFD取引)で、ポジションを持ち越している間は、金利に相当する金額を、証券会社が定める方法でやり取りします。
同じ日のうちに決済して持ち越さなければ、金利調整額は発生しない場合が多くあります。ただし、金利調整額の考え方や、持ち越したときの扱いは、証券会社により異なります。
受取りになる場合と支払いになる場合
金利調整額は、一般的に、買いポジションは支払い、売りポジションは受取りになります。
ただし、市場の金利水準や証券会社の設定によっては、売りポジションでも支払いになる場合があります。また、受取りになっていても、金利の変動により支払いに変わることがあります。受取りを前提に保有を続けると、想定外のコストが発生する可能性があります。
FXのスワップポイントとの違い
FXのスワップポイントは、一般に、取引する2つの通貨の金利差を軸に決まる受払い額です。たとえば、金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売ると、金利差に応じて受取りになることがあります。ただし、金利差は変動し、為替相場の変動によって損失が生じる可能性もあります。
一方、CFDの金利調整額は、取引金額に対する金利相当額として計算される場合が多く、基準金利に証券会社の上乗せ分を加減する方式もあります。2つの通貨の金利差を軸に決まるFXとは、計算の軸が異なります。似た働きをする調整金ですが、同じものではありません。
用語の整理
この記事で使う、証拠金に関する用語を整理します。
- 証拠金:取引を行うために、担保として証券会社に預け入れる資金です。
- 必要証拠金:取引を始めるために、最低限預ける必要がある証拠金です。
- レバレッジ:預けた証拠金を担保にして、その何倍もの金額の取引を行える仕組みです。
- 基準金利:金利調整額の計算のもとになる、短期の市場金利です。
- 上乗せ:証券会社が定める、基準金利に加減する率です。
金利調整額が発生する仕組み
発生するタイミング
金利調整額は、証券会社が定める時刻をまたいでポジションを保有したときに発生するのが一般的です。この時刻は、証券会社や銘柄によって異なります。調整額は、各国の金利や市場環境によって変動します。

計算の考え方
金利調整額の計算方法は、証券会社が定めており、方式や水準は証券会社ごとに異なります。この記事では、仕組みを理解するため、基準金利に上乗せ分を加減して計算する方式を仮定して解説します。
計算の考え方(一例)は、次のとおりです。
取引金額 × 調整金利(年率)÷ 365 × 保有日数
調整金利は、買いポジションなら「基準金利+上乗せ」、売りポジションなら「基準金利-上乗せ」として計算されます。
※年の日数を360日として計算する方式や、週末をまたいで保有したときに数日分をまとめて計算する方式など、扱いは証券会社により異なります。
金利調整額の計算例
※以下の金利や金額は、仕組みを理解するための仮定値であり、実際の計算方法は証券会社により異なります。また、ここでは最小取引単位の例を用いて解説します。
日経225が65,000円で、1単位が日経225の1倍の場合を例にします。
- 取引金額:65,000円
- 必要証拠金:6,500円(レバレッジ10倍)
- 基準金利:年1.0%(仮定値)
- 証券会社の上乗せ:年3.0%(仮定値)
- 年の日数:365日
買いポジションの場合
買いポジションの調整金利は、基準金利に上乗せ分を足した「1.0%+3.0%=4.0%」です。
これを取引金額に当てはめると、1年間保有した場合は2,600円(65,000円×4.0%)の支払いとなります。1日あたりでは約7円、30日間持ち越した場合は約214円の支払いになる計算です。
売りポジションの場合
売りポジションの調整金利は、基準金利から上乗せ分を引いた「1.0%-3.0%=-2.0%」です。
一般的に売りポジションは受取りになると説明しましたが、この例のように、基準金利(1.0%)よりも証券会社の上乗せ分(3.0%)の方が大きい場合は、結果がマイナスとなり、売りポジションでも支払いが発生します。
1年間保有すると1,300円の支払いとなり、1日あたり約4円、30日間で約107円の支払いになります。
証拠金に対する負担の大きさ
ここで注意したいのは、年率4.0%が、取引金額に対する割合だという点です。最低限預ける必要証拠金は6,500円なので、1年間の支払い2,600円は、必要証拠金に対して40%にあたります。レバレッジが効いている分、必要証拠金に対する負担の割合は、見かけの金利より大きくなります。長期間保有する場合は、特に注意が必要です。
※口座に余裕資金を入れている場合、口座全体の資金に対する割合は、これより小さくなります。
配当調整額・価格調整額との違い
金利調整額のほかに、CFDでは、配当調整額と価格調整額という調整金が発生することがあります。
配当調整額
配当調整額とは、株式や株価指数の配当金に相当する金額を調整するための受払いのことです。主に、株価指数や個別株を参照原資産とするCFDで発生します。
配当調整額は、配当などを受け取る権利が確定する日(権利確定日)の取引終了時点でポジションを持っていた場合に発生するのが一般的です。一般的に、買いポジションなら受取り、売りポジションなら支払いとなります。
※配当込みの指数を参照する場合などは、受取りと支払いが逆になることがあります。
価格調整額
価格調整額とは、先物の価格を参照して値が決まるCFDで、参照する先物が次の限月に切り替わるときに発生する調整金です。先物とは、将来の決められた日に、あらかじめ約束した価格で対象商品を売買する取引で、その満期月を限月(げんげつ)といいます。満期が近づくと、参照先が次の限月の先物に移り、切り替えの前後で価格差が生じます。一般的に、その価格差によって生じる評価損益を調整するのが、価格調整額です。
切り替えでは、満期が近い先物(期近:きぢか)から、満期が遠い先物(期先:きさき)へ参照先が移ります。一般的に、期近が期先より安い場合は、買いポジションが支払い、売りポジションが受取りになります。逆に、期近が期先より高い場合は、買いが受取り、売りが支払いになります。
原油の価格調整額については、「商品CFD(原油)の始め方」で解説しています。株価指数CFDの参照原資産と調整額については、「日経225 CFDの始め方」で解説しています。
3つの調整額の比較
| 項目 | 金利調整額 | 配当調整額 | 価格調整額 |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | ポジションを持ち越す取引 (発生の有無は銘柄により異なる) | 株価指数・個別株など | 先物を参照するCFD |
| 発生するタイミング | 証券会社が定める時刻をまたいでポジションを持ち越したとき | 配当などの権利確定日の取引終了時点でポジションを持っていたとき | 参照する先物の限月が切り替わる日 |
| 買いポジション | 一般的に支払い | 一般的に受取り | 期近と期先の価格差により受取りまたは支払い |
| 売りポジション | 一般的に受取り | 一般的に支払い | 期近と期先の価格差により受取りまたは支払い |
※これらは一般的な傾向であり、例外や証券会社ごとの違いがあります。
保有コストの確認と注意点
事前に確認する場所
調整額の有無、方式、水準は、証券会社によって異なります。取引前に、証券会社が交付する契約締結前交付書面や取引ルールで確認してください。契約締結前交付書面は、金融商品取引法第37条の3に基づき、契約を結ぶ前に交付することが義務づけられている書面です。
出典:e-Gov法令検索「金融商品取引法(第37条の3)」
取引ツールでも、日々の発生状況を確認できる場合があります。発生した調整額が最終的な損益にどう含まれるかは、証券会社が発行する、1年間の取引と損益をまとめた年間取引報告書などで確認します。発行時期や記載方法は、証券会社により異なります。税務上の取り扱いや確定申告については、「CFDの確定申告のやり方」で解説しています。
持ち越し期間が長い場合の注意点
調整額は、証券会社が定める頻度で更新され、金利水準や市場環境の変化によって変動します。ポジションを持ち越す日数が長くなるほど、支払いになっている場合は、支払いの合計が積み上がり、損益を圧迫します。
長期間保有する場合は、調整額の累計がどれくらいになっているかを、定期的に確認することが大切です。
【金利調整額に関する補足事項】
金利調整額、配当調整額、価格調整額の有無・計算方法・付与の時刻は、証券会社や銘柄によって異なります。調整額は金利水準や市場環境の変化により変動し、受取りが見込まれる場合でも、後に支払いに転じることがあります。本記事の計算例は、仕組みを理解するための仮定値を用いた簡略化したものであり、実際の金額を示すものではありません。なお、本記事は一般的な仕組みを解説したものであり、特定の投資行動を推奨・勧誘するものではありません。当メディアおよびSIDE FPオフィスは、本記事の情報に基づいて行われた取引により生じた損失について、一切の責任を負いません。
まとめ
金利調整額は、CFDのポジションを持ち越すときに発生する調整金で、FXのスワップポイントとは計算の軸が異なります。支払いになる場合は、保有が長くなるほどコストが積み上がります。この記事の要点は、次のとおりです。
- 金利調整額は、ポジションを証券会社が定める時刻をまたいで持ち越したときに発生する調整金です。
- 一般的に買いは支払い、売りは受取りですが、売りでも支払いになる場合があり、受取りも固定ではありません。
- 計算方法は証券会社により異なります。この記事の例では、取引金額に、基準金利と上乗せから決まる調整金利を掛け、日数に応じて算出しました。
- 年率は取引金額に対する割合ですが、必要証拠金に対して見ると負担は大きくなります。この記事の例では、年率4.0%が必要証拠金の40%に相当しました。
- 配当調整額と価格調整額は、金利調整額とは発生する理由やタイミングが異なります。
- 取引前に、証券会社が交付する契約締結前交付書面や取引ルールで、調整額を確認します。
金利調整額は、銘柄や保有する方向によって受払いの向きが変わり、支払いの場合は保有が長くなるほど積み上がります。取引前に、どの銘柄で、どの方向のポジションに、どのくらいの調整額が発生するのかを、確認しておく必要があります。
出典・参考資料
- 発行元:e-Gov法令検索
資料名:金融商品取引法(第37条の3)
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_1-At_37_2
確認日:2026年10月13日
CFD取引に関する重要事項(リスク表示)
CFD取引は元本や利益が保証された取引ではありません。対象となる株価指数、商品、株式などの価格変動や、金利動向、為替変動により、差し入れた証拠金以上の損失が生じるおそれがあります。レバレッジ効果により、原資産の価格変動に比べて大きな利益を得られる可能性がある反面、多額の損失を被る危険性も有しています。お取引にあたっては、各証券会社が交付する契約締結前交付書面等を十分に読み、仕組みとリスクを深くご理解のうえ、ご自身の判断と責任においてお取引ください。

