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【毎月更新】MONEY CYCLE 宇宙定点観測録:主要な宇宙関連ETFのパフォーマンス比較

MONTHLY REPORT

【2026年8月号】MONEY CYCLE 宇宙定点観測録:主要な宇宙関連ETFのパフォーマンス比較

DATA AS OF: 2026年8月末時点(2026年9月9日更新)

2026年8月の宇宙関連ETFは、幅広型のARKXが月間+5.82%と上昇する一方、航空宇宙・防衛型のITAは-4.72%と下落、宇宙特化型のUFOは-0.39%とほぼ横ばいで、タイプによって明暗が分かれる一ヵ月となりました。米FRBのタカ派姿勢を背景に世界的な金利上昇圧力が強まる環境下でしたが、その値動きは「金利上昇=グロース株に逆風」という単純な図式には収まらない結果となっています。

本連載「宇宙定点観測録」では、MONEY CYCLE SPACE編集部が主要な宇宙関連ETF(上場投資信託)のパフォーマンスを毎月定点観測し、単なる数値の羅列ではなく「なぜそのように動いたのか」という背景を、公開データに基づき中立的かつ冷静に読み解きます。

1. 今月の主要宇宙関連ETFパフォーマンス一覧

以下は、当メディアが観測対象としている主要な宇宙関連ETFの8月末時点のパフォーマンス(騰落率)です。各ETFの特性(純度やボラティリティの違い)は、別記事「ETF・投資信託入門」で解説している3つのタイプ分類に基づいています。

ETF名(ティッカー) タイプ分類 当月騰落率
(前月比)
年初来騰落率
(YTD)
Procure Space ETF (UFO) ① 宇宙特化(ピュアプレイ)型 -0.39% +12.86%
ARK Space & Defense Innovation ETF (ARKX) ② 宇宙+周辺テクノロジー(幅広)型 +5.82% +11.73%
iShares U.S. Aerospace & Defense ETF (ITA) ③ 航空宇宙・防衛型 -4.72% +6.36%
※数値はInvesting.comの公開データに基づく。配当・分配金を考慮しない価格ベースの騰落率。
※分類は当メディアによる独自の整理です。
※上記はドル建て・価格ベースの騰落率であり、円換算の実質リターンは当月の円安の影響を別途受けます。
【徹底比較】UFO・ARKX・ITAの違いとは?主要な宇宙関連ETFの特徴と構成銘柄を解剖

2. 今月の値動きの「背景」を読み解く

今月(8月)のパフォーマンスを見ると、防衛型のITAが下落する一方、幅広型のARKXが上昇し、宇宙特化型のUFOはほぼ横ばいと、ETFのタイプによって明暗が分かれました。

この値動きの背景には、主に以下の3つの観点が影響していると考えられます。

  • マクロ要因(金利や全体相場など)
    米国では、パウエル前議長の後任であるケビン・ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議で講演し、2%のインフレ目標達成に向けたタカ派的な姿勢(利上げや高金利の長期化)を示しました。
    これを受け、根強いインフレ圧力もあって米10年物国債利回りは上昇し、株式相場は金利動向に神経質に反応する展開となりました。

    同様の金融引き締め圧力は日本にも及び、日銀の追加利上げ観測や財政懸念から新発10年物国債利回りは一時2.94%台と約30年ぶりの高水準まで上昇、為替は1ドル=159円台の円安・ドル高で推移しています。

    一般に、こうした金利上昇局面は、将来の成長期待を織り込む長期(デュレーションの長い)グロース株には逆風とされます。ただし今月のETFの値動きは、後述の通りこのセオリー通りには進みませんでした。

  • セクター固有の要因(タイプ差)
    今月の特徴は、マクロ要因以上に、ETFの「タイプ(性格)」による差が鮮明に出た点にあります。
    上昇したARKXが宇宙に加え周辺テクノロジーまで幅広く組み入れる性格を持つのに対し、下落したITAは航空宇宙・防衛セクターに集中する構成です。
    金利上昇局面で本来ディフェンシブとされる防衛関連が売られ、よりグロース色の強い幅広型が買われるという、教科書的な整理とはやや逆の物色が起きた月だったと言えます。

    もっとも、この防衛関連の調整について、当編集部が今月確認できた事実情報の範囲では、明確な単一の材料(決算や政策変更など)は特定できていません。
    ITAは月間では下落したものの年初来では依然+6.36%とプラスを維持しており、上昇基調のなかでの一服という側面もあります。

    事実として確認できない要因の推測は避け、継続的な観測のなかで背景を見極めていきます。

  • 個別トピックの影響
    今月は宇宙業界でも注目される個別の出来事がありました。

    8月19日には中国のLandSpaceが再使用ロケット「朱雀3号」の第1段ブースターの陸上での垂直着陸に成功し(ただし着陸後に機体が横転)、8月11日にはFirefly Aerospaceが決算説明会で新型ロケット「Alpha Block 2」の初飛行を2026年第4四半期へ延期すると発表しました。
    ただしこれらは業界トピックとしては重要である一方、今回観測している3つのETF(いずれも米国上場・米国企業中心)の月間パフォーマンスと直接結びつけられる材料とまでは言えません。

    センチメント面での影響はあり得ますが、事実として切り分けることは難しく、あくまで業界動向の背景情報として捉えるのが妥当と考えられます。

3. 今月の宇宙業界 主要トピック

投資環境に影響を与え得る、今月の宇宙ビジネス関連の主なニュース(事実)は以下の通りです。

  • 8月11日:Firefly Aerospaceが投資家向け決算説明会を実施し、新型ロケット「Alpha Block 2」の初飛行を2026年第4四半期に延期すると発表。
  • 8月19日(現地時間):中国の民間ロケット企業LandSpaceが、再使用ロケット「朱雀3号(ZhuQue-3)」の第1段ブースターの陸上での垂直着陸に成功。民間中国企業として初めてオービタル級ブースターの陸上回収を達成(ただし着陸後、脚の損傷により機体が横転)。
  • 8月中旬〜下旬:宇宙関連スタートアップの大型資金調達が相次ぐ。極超音速防衛のCastelionが約10.5億ドル、衛星製造のMuon Spaceが2.5億ドル(シリーズC)、軌道上コンピューティングのStarcloudが2.5億ドル(シリーズA拡張)を調達。

これらの技術的進展やビジネスモデルの根本的な構造については、当メディアの各ピラー記事で深掘りしています。

宇宙ビジネスはどう儲ける?ロケットから衛星データまでビジネスモデル完全図解

【初回特別解説】なぜ定点観測を行うのか・データの見方

MONEY CYCLE SPACEがこの定点観測録を毎月お届けするのには、明確な理由があります。

宇宙ビジネスは、長期的に巨大な成長ポテンシャルを秘めている一方で、「テーマ株」としての側面も強く持ち合わせています。ニュースの見出しやSNSの熱狂によって「期待」が先行しやすく、また一つの打ち上げ失敗で株価が急落するような、非常にボラティリティ(価格変動)の激しい領域です。

当メディアのコラムでも解説している通り、テーマ株投資の最大の落とし穴は「ブームの熱狂に飲まれ、高値で買ってしまうこと」です。

この定点観測録は、「今月上がったから買うべき」「下がったから手放すべき」といった短期的な売買を推奨するものではありません。むしろ、熱狂から一歩引き、異なる性質を持つETF(特化型、幅広型、防衛型)が、マクロ経済や業界のニュースを受けて「現実の市場でどう評価されているか」という“生きたデータ”を冷静に蓄積していくためのツールです。

単月の上下に一喜一憂するのではなく、数ヶ月、数年単位の「長期トレンド」として宇宙産業の成長を冷静に見守るための指針として、本連載をご活用ください。

テーマ株投資の落とし穴|「宇宙」「AI」ブームに乗る前に知っておきたいこと

まとめと次号予告

2026年8月は、世界的な金利上昇という共通のマクロ環境のなかで、防衛型のITAが下落し幅広型のARKXが上昇するという、ETFのタイプによって明暗が分かれた一ヵ月でした。もっとも3本とも年初来ではプラス圏を維持しており、単月の上下よりも、性格の異なるETFがそれぞれどのような長期トレンドを描くかを冷静に見守る局面が続きます。

次回、2026年9月号は、9月末のデータをもとに10月初旬に更新予定です。
引き続き、データに基づく中立的な市場観測をお届けします。

個別株が怖い人のための「宇宙関連ETF・投資信託」入門

この記事の監修者

ファイナンシャルプランナー 田中 大二

<プロフィール>
2007年より大手生命保険会社に勤務。主に住宅購入を検討されている方に向けたライフプランおよびファイナンシャルプランコンサルティングに従事。

その後、大手ネット証券会社を経て、金融機関向けマーケティング会社を設立し、クライアントである金融機関を通じてお金に関する商品やサービス、情報を生活者へ提供している。

マネーリテラシーの向上を目標とし、過去の経験を活かして生活者へ直接お金に関する知識や情報を提供したいという想いから、FPオフィスを立ち上げる。

<保有資格>
AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
一種証券外務員資格
住宅ローンアドバイザー

本連載のご利用にあたって(免責事項)

本連載「宇宙定点観測録」は、各種金融機関・データプロバイダー等から取得した公開情報に基づき、宇宙関連ETFの過去のパフォーマンスや市況の背景を中立的に記録・解説するものです。特定の銘柄(ETF・個別株等)の購入や売却を推奨・勧誘するものではありません。過去のパフォーマンスは将来の運用成果を保証・示唆するものではありません。テーマ株投資には特有のボラティリティ(価格変動リスク)が伴います。投資にあたっては、必ずご自身の判断と自己責任において行ってください。また、掲載データの正確性については万全を期していますが、その完全性を保証するものではありません。

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