新NISA利用者はまだ2割?年代別利用率と積立額の実態とは?新NISA口座開設者数と投資額の最新動向(2024年3月末時点)

2024年1月に始まった新NISA。みなさんはもう口座開設しましたか?

お得な制度と話題ですが、 金融庁の調査によると、実はまだ利用者は全体の2割程度という結果が出ています。一体なぜでしょうか?

そこで今回は、金融庁より公表されたNISA(少額投資非課税制度)の利用状況に関する最新の調査結果データをもとに、新NISAの利用状況をまとめました。口座開設数や年代別の投資額の動向など、気になる情報を分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、自分と同じ年代の人がどれくらい投資しているのか、NISA利用者のリアルな姿が分かります。ぜひ最後まで読んで、新NISAでの投資デビューの参考にしてください。

CONTENTS

はじめに

2024年1月からスタートした「新NISA」は、個人の投資行動に大きな変化をもたらしています。この制度は、旧NISAを大幅に拡充し、貯蓄から投資へのシフトを目指しています。

新NISAの概要

NISAは、投資で得られた利益(株式や投資信託などの値上がりで得られた売却益、配当金や分配金)に対して、税金がかからない(非課税となる)制度です。通常は、投資で得られた利益には、約20%の税金がかかりますが、NISAは一定の金額の範囲内で購入した、株式や投資信託から得られた利益が非課税となります。

新NISAと旧NISAの違い:改正ポイントを解説

POINT1:併用が可能に

旧NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」、どちらか一方を選択する必要がありました。しかし、新NISAでは旧つみたてNISAにあたる「つみたて投資枠」と旧一般NISAにあたる「成長投資枠」の併用が可能になりました。

POINT2:非課税投資枠が拡大

旧NISAの非課税投資枠は、「つみたてNISA」が40万円、「一般NISA」が120万円で、前述のとおりどちらか一方を選択する必要がありました。しかし、新NISAでは「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円の併用が可能であるため、新NISAの非課税投資枠は360万円と大幅に拡大されました。

POINT3:非課税保有期間が無期限

旧NISAでは非課税保有期間(つみたてNISA:20年間、一般NISA:5年間)が設けられていましたが、新NISAでは非課税保有期間が無期限になりました。

POINT4:制度の恒久化

旧NISAは口座開設期間が設定されていました(つみたてNISA:2042年まで、一般NISA:2028年まで)。しかし、新NISAでは制度が恒久化したため、口座開設期間の制限はなくなりました。

POINT5:売却すると投資枠が復活

旧NISAではNISA口座で購入した投資商品を売却した場合、非課税保有限度額の枠の再利用はできませんでした。しかし、新NISAでは売却した翌年以降に、売却した商品の買付金額相当の非課税投資枠が生涯非課税限度額1,800万円の範囲内で再利用可能になりました。

これらの改正によってNISA口座による投資の魅力を高め、投資家は多様な投資戦略を実行することができるようになりました。

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旧NISA新NISA
つみたてNISA一般NISAつみたて投資枠成長投資枠
枠の併用不可
年間投資上限額40万円120万円120万円240万円
非課税保有限度額800万円600万円1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税保有期間最長5年最長20年無期限
投資枠の再利用不可売却後、翌年に再利用可
口座開設期間2023年まで無期限
Money Cycle編集部作成(2024年7月23日時点)

NISAについて詳しく知りたい人はこちら

新NISAの利用状況まとめ(2024年3月末時点)

※以下の内容は、金融庁より公表されたNISAの利用状況調査をもとに作成しています。

新NISA口座開設数は約200万口座!

2023年12月末時点のNISA口座数は、つみたてNISAと一般NISAを合わせて約2,125万口座でした。新NISAが始まった2024年3月末時点では、約2,323万口座に増加しており、3ヵ月間で約200万口座増えています。これは、前年同期比の約2.6倍という驚異的な伸びです。

総務省が公表している日本の人口データによると、2023年1月時点での18歳以上の人口は、約1億469万人であるため、5人に1人以上がNISA口座を開設している計算になります。これは、投資への意識の高まりが顕著にあらわれている結果ではないでしょうか。

年代別に見るNISA口座数


NISAの口座数を年代別に見ると、40代が最も多く約448万口座となっています。次いで50代が約438万口座、30代が約407万口座と続いています。

NISA口座数(2024年3月末時点)

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NISA口座数年代別比率
総数約2,323万口座
20代約257万口座11.1%
30代約407万口座17.5%
40代約448万口座19.3%
50代約438万口座18.9%
60代約343万口座14.7%
70代約273万口座11.8%
80代以上約142万口座6.1%
金融庁より公表されたNISAの利用状況調査をもとにMoney Cycle編集部が作成(2024年7月23日時点)

口座開設数で見ると、特に20代が増加しています。前年同期比の口座数増加率は、全体が5.3ポイントに対し、20代は8.9ポイント上昇しており、若年層の投資意識が高まっていることがわかります。

一方で、60代以上の高齢世代の増加率は減少傾向にあり、若年層の台頭が目立ちます。これは、現役世代がNISAを積極的に活用していることを示唆しており、投資への関心の高まりが伺えます。

NISA口座数増加率

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2022年12月末から
2023年3月末の増加率
2023年12月末から
2024年3月末の増加率
前年同期比
総数4.0%9.3%+5.3ポイント
20代5.3%14.2%+8.9ポイント
30代4.7%9.9%+5.2ポイント
40代4.2%10.9%+6.6ポイント
50代4.3%11.0%+6.7ポイント
60代2.4%7.4%+5.0ポイント
70代1.3%4.0%+2.7ポイント
80代以上3.3%3.2%▲0.1ポイント
金融庁より公表されたNISAの利用状況調査をもとにMoney Cycle編集部が作成(2024年7月23日時点)

みんなはどれくらい投資してる?年代別の平均買付額

新NISA制度がスタートして3ヵ月間で、合計約6.2兆円の買付がありました。年代別に買付金額をみると、30代が約1兆円、40代、50代でそれぞれ1.2兆円以上買付されており、現役世代で投資枠が広く利用されていることがわかります。

口座数から平均買付額を計算すると、1口座あたり約26.6万円となります。ただし、これはあくまで平均値であり、口座を開設しただけでまだ投資をしていない人も含まれているため、実際にはもう少し多い可能性があります。

次に年代別の平均買付額を見てみましょう。以下の表にあるように、年代が上がるにつれて買付額も増加する傾向があります。

年代別買付額と平均買付額(2024年3月末時点)

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NISA買付額1口座あたりの
平均買付額
総数約6兆1,791億円約26.6万円
20代約3,573億円約13.9万円
30代約9,893億円約24.3万円
40代約1兆2,353億円約27.5万円
50代約1兆2,688億円約29.0万円
60代約1兆1,675億円約34.1万円
70代約8,561億円約31.3万円
80代以上約2,908億円約20.5万円
金融庁より公表されたNISAの利用状況調査をもとにMoney Cycle編集部が作成(2024年7月23日時点)

新NISAで投資額は増加した?

新NISAがスタートしてから、投資額は増加傾向にあります。2023年のNISA買付額は約5.2兆円でしたが、 新NISA開始からわずか3ヵ月で6.2兆円になりました。NISA全体の保有金額は30%も増加しており、新NISAの効果が表れていると言えるでしょう。

つみたて投資枠と成長投資枠、どっちが人気?

つみたて投資枠と成長投資枠の買付額を比較すると、成長投資枠で約5兆円、つみたて投資枠で約1兆円と、成長投資枠の方が多くなっています。

その理由は、成長投資枠は株式やETFなど、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資でき、かつ成長投資枠では年間240万円の非課税枠があること、一括投資が可能であることなどから、多様な投資戦略に対応できる点があげられます。一方、つみたて投資枠は、主にインデックスファンドへの積立投資に限定されます。

参考までに商品別に買付額の内訳を見ると、上場株式が40.2%、投資信託が56.7%、ETFが2.4%、REITが0.6%を占めています。

まとめ|新NISAで投資デビューしよう!

今回の調査から、新NISAの利用者はまだ2割程度ですが、NISAを利用している人は積極的に投資を行っていることが分かりました。

新NISAが始まってから3ヵ月間で、NISA口座は約200万口座増えており、また1人あたり約26.6万円投資していることから、新NISAをきっかけに幅広い年代で投資への関心が高まっていると言えるでしょう。

周りの人がどれくらい投資しているのか気になる方も、今回のデータを参考に、ぜひ新NISAでの投資デビューを検討してみてはいかがでしょうか?もちろんこの一人あたりの投資金額が正解という訳ではないので、あくまで参考にしながら、無理のない範囲で、ご自身のペースで投資を続けていくことが大切です。

この記事が、みなさんの投資ライフの一助となれば幸いです。

NISA口座開設におすすめの金融機関

NISAを始めるなら、取扱商品数が多く、積立サービスも充実しているSBI証券、楽天証券がおすすめです。

※本記事の内容は、執筆時2024年7月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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