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前回までの記事で、高配当株による「自分年金」作りの魅力をお伝えしてきました。

しかし、こんな悩みを感じている方も多いのではないでしょうか?
「どの銘柄を買えば良いか分からない」
「決算書を読むのが難しそう」
「買った会社が倒産したらどうしよう」
「定期的にメンテナンスする時間がない」
数百社の中から優良企業を選び出し、財務状況を確認し、定期的に見直す。忙しい50代・60代にとって、これは確かにハードルが高い作業です。
今回は、そんな悩みを一発で解決する「高配当ETF」について解説します。
これさえ知っておけば、難しい企業分析から解放され、プロが選んだ優良企業の詰め合わせパックを、ほったらかしで運用できるようになります。
ETF(上場投資信託)とは、投資信託が株式市場に上場したもので、株と同じようにリアルタイムで売買できるパッケージ商品です。
食事で例えるなら:
| 投資方法 | 食事に例えると | 特徴 |
|---|---|---|
| 個別株投資 | 自分で食材を選んで調理する一品料理 | 自由度高いが手間がかかる |
| ETF | プロが栄養バランスを考えて作った幕の内弁当 | バランス良く、手間いらず |
一品料理も美味しいですが、毎日作るのは大変です。一方、幕の内弁当なら、プロが栄養バランスを考えて作ってくれているので、選ぶだけで済みます。
| 項目 | 個別株 | ETF |
|---|---|---|
| 銘柄選び | 自分で選ぶ | プロが選んだセット |
| 分散 | 1社に集中 | 数十〜数百社に分散 |
| メンテナンス | 自分で業績確認・入れ替え | 自動的に入れ替え |
| 倒産リスク | 1社倒産で大ダメージ | 分散されているので影響小 |
| 手間 | かかる | ほぼかからない |
| 銘柄選びの楽しさ | ある | ない |
個別株の場合、保有している企業の業績が悪化したら、自分で判断して売却し、別の株に入れ替える必要があります。
しかし、ETFなら運用会社が自動的に:
つまり、新陳代謝を勝手にやってくれるのです。
60代、70代、80代…と年齢を重ねていくと、細かい判断力が衰えることもあるでしょう。
個別株なら、その都度「この企業は大丈夫か?」と判断する必要があります。しかし、ETFなら持ち続けるだけで、常に最適なポートフォリオを維持してくれます。
これは、老後の資産運用において最強のメリットと言えます。
株価チャートと睨めっこする時間を減らし、趣味や旅行、家族との時間を増やせます。
| 個別株投資 | ETF投資 |
|---|---|
| 定期的な決算チェック | 不要 |
| 業績悪化時の判断 | 自動で入れ替え |
| 銘柄の入れ替え作業 | 不要 |
| ストレス | やや高い |
人生の後半戦、投資に振り回されるのではなく、投資を味方につけて自由な時間を楽しみたい。そんな方にこそ、ETFが向いています。
まずは、世界経済の中心・米国の高配当ETFから、定番中の定番である3つを紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Vanguard High Dividend Yield ETF |
| 組入銘柄数 | 約400社 |
| 分配金利回り | 3%前後 |
| 経費率 | 0.06%(激安) |
| 主なセクター | 金融、ヘルスケア、生活必需品 |
特徴
VYMの最大の魅力は、株価の成長と分配金の増加(増配)の両方が期待できる点です。
約400社という幅広い分散により、特定企業のトラブルの影響を受けにくく、安定した大企業が中心です。
経費率0.06%という低コストも見逃せません。年間100万円投資しても、経費はわずか600円です。
まさに「王道」と呼ぶにふさわしいETFです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | iShares Core High Dividend ETF |
| 組入銘柄数 | 約75社 |
| 分配金利回り | 3.5%前後 |
| 経費率 | 0.08% |
| 主なセクター | エネルギー、ヘルスケア |
特徴
HDVの特徴は、とにかく財務が健全であること。
配当を支払う能力が高い約75社の優良企業を厳選しています。エネルギーやヘルスケアといったディフェンシブなセクターが多く、不景気にも強い傾向があります。
「資産を大きく減らしたくない」という守り重視の方には、心強い味方となるでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF |
| 組入銘柄数 | 約80社 |
| 分配金利回り | 4%超も |
| 経費率 | 0.07% |
| 主なセクター | 不動産、金融 |
特徴
SPYDの魅力は、何と言っても分配金利回りの高さ。4%を超えることも珍しくありません。
S&P500採用銘柄の中から、配当利回りが高い上位80社を機械的に集めたパッケージです。
ただし、不動産や金融など景気に左右されやすい銘柄が多く含まれるため、株価の変動が激しい点には注意が必要です。ハイリスク・ハイリターンなスパイス的存在と言えます。
| ETF | 銘柄数 | 利回り | 安定性 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| VYM | 約400社 | 3%前後 | 高い | バランス重視 |
| HDV | 約75社 | 3.5%前後 | 非常に高い | 守り重視 |
| SPYD | 約80社 | 4%超 | やや低い | 利回り重視 |
50代・60代に最もおすすめは?
私が最も推奨するのはVYMです。
理由は
ただし、これは一つの考え方です。ご自身のリスク許容度に合わせて選んでください。
私たちの生活費は日本円です。
米国ETFだけでは、為替リスクがあります:
そこで組み合わせて持ちたいのが、日本の高配当ETFです。
日本ETFのメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 1489 |
| 組入銘柄数 | 50社 |
| 分配金利回り | 3.5〜4%程度 |
| 最低投資金額 | 1,000円台〜(株式分割後) |
特徴
日経平均株価の構成銘柄などから、予想配当利回りの高い50社を選んでパッケージにしたものです。
誰もが知る大企業にまとめて投資でき、利回りも3.5〜4%程度と高水準が期待できます。
株式分割が行われ、最低1,000円台から気軽に買えるようになったのも嬉しいポイントです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 2529 |
| 組入銘柄数 | 70社 |
| 分配金利回り | やや控えめ |
| 特徴 | 株主還元に積極的な企業を厳選 |
特徴
このETFの面白い点は、単に配当が高いだけでなく、自社株買いなども含めて積極的に株主に利益を還元している企業70社を集めていることです。
分配金利回りは1489に少し劣ることもありますが、財務が健全で株価の安定性が高い企業が多いのが特徴です。
1489が攻めなら、2529は守り。非常にバランスの良いETFです。
| ETF | 銘柄数 | 利回り | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 1489 | 50社 | 高め | 高配当重視 | 利回り優先 |
| 2529 | 70社 | やや控えめ | 株主還元重視 | 安定性優先 |
米国ETFと日本ETFを半分ずつ(ハーフ&ハーフ)で持つことを提案します。
この組み合わせのメリット
パターンA:60歳・運用可能資金の株式部分600万円の場合
米国ETF:300万円(50%)
- VYM:300万円
日本ETF:300万円(50%)
- 1489:150万円
- 2529:150万円
パターンB:55歳・運用可能資金の株式部分900万円の場合
米国ETF:450万円(50%)
- VYM:300万円
- HDV:150万円
日本ETF:450万円(50%)
- 1489:300万円
- 2529:150万円
重要な注意点
これらの金額は、あくまで運用可能資金の中の株式に振り向ける部分です。
生活防衛資金や近い将来使う予定のあるお金は、絶対に投資に回さないでください。
また、前回の記事で紹介した「100−年齢の法則」に基づき、年齢に応じて現金比率を高めに残すことも忘れずに。
これらのETFは、新NISAの成長投資枠で購入可能です。
NISAのメリット
| 口座 | 分配金10万円 | 税引後の手取り |
|---|---|---|
| 通常の証券口座 | 10万円 | 約8万円(約20%課税) |
| NISA口座 | 10万円 | 10万円(非課税) |
年間10万円の分配金なら、2万円の差。10年で20万円の差が生まれます。
新NISAの成長投資枠は年間240万円ですが、焦って一度に埋める必要はありません。
推奨する買い方
Aさん(58歳)の場合:
【年間計画】
年間購入予算:120万円
【月次計画】
毎月10万円を購入
- VYM:5万円
- 1489:5万円
【臨時買い増し】
株価が10%以上下落したら:
- 別途30万円を追加投資
投資をしていれば、必ず暴落はやってきます。画面上の資産がマイナスになることもあるでしょう。
でも、思い出してください。
私たちの目的は、日々の生活を豊かにするための分配金を得ることです。
| 状況 | 株価 | 分配金 |
|---|---|---|
| 通常時 | 100 | 4円 |
| 暴落時 | 70(30%下落) | 4円(変わらず) |
株価が下がっても、企業が利益を出し続けている限り、分配金は振り込まれます。
例:VYMを100万円分保有している場合
通常時
暴落で株価が30%下落
さらに、暴落時に追加で30万円購入すると
株価が下がれば、同じ金額でより多くの株数、つまりより多くの「分配金のなる木」を買うことができるのです。
暴落はピンチではなく、分配金を増やすチャンスだと捉えましょう。
最近では、高配当ETFと同じような投資信託も登場しています。
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 少額から始めたい | 投資信託 |
| 自動積立で楽したい | 投資信託 |
| 分配金を自動再投資したい | 投資信託 |
| リアルタイムで売買したい | ETF |
| 経費を最小限にしたい | ETF |
| 分配金を受け取りたい | ETF |
50代・60代で、配当金を生活費の足しにしたい方はETFが向いています。
まだ配当金を使わず、再投資して資産を増やしたい方は投資信託も選択肢です。
ダメではありませんが、為替リスクを考えると分散した方が安心です。円高・円安のどちらに動いても、影響が半分になります。
ETFの場合、分配金は証券口座に現金で入ります。自動再投資はされません。再投資したい場合は、手動で買い付ける必要があります。
米国ETFの分配金には、米国で約10%の税金が引かれます。この税金を取り戻すのが外国税額控除で、確定申告が必要です。日本ETFならこの手続きは不要です。
迷ったら、まずVYM(米国)と1489(日本)を半分ずつから始めてみてください。シンプルで分かりやすく、十分に効果的です。
「今が高いから待つ」という判断は、タイミング投資です。プロでも難しい。むしろ、毎月定額で淡々と買い続けることで、高値も安値も平均化されます。
最初から大金を投じる必要はありません。まずは1万円、数千円からでも構いません。
分配金が入金されるという体験をしてみてください。
その小さな一歩が、将来の大きな安心につながるはずです。
※本記事の内容は、執筆時2026年3月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
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