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iDeCo(イデコ)とは?3つの節税メリットと始め方を初心者向けに徹底解説

iDeCoとは

「老後2,000万円問題」という言葉を聞いて、漠然と将来のお金に不安を感じていませんか?そんな不安を解消する強力な選択肢の一つが、国が個人の資産形成を後押しするために用意した私的年金制度「iDeCo(イデコ)」です。

iDeCoは、自分で掛金を拠出して運用し、将来のための自分年金を作る制度ですが、単なる積立貯蓄ではありません。現役世代にとって、この制度には一般的な預貯金や積立投資にはない、「節税効果」という大きなメリットが用意されています。

このコンテンツでは、「iDeCoってよく聞くけど、何がそんなにお得なの?」「NISAとはどう使い分ければいいの?」といった疑問を抱えるあなたのために、iDeCoの基本的な仕組みから具体的なメリット・デメリット、そして今日から始められる具体的なステップまで、専門知識がなくてもスラスラと理解できるよう、わかりやすく解説します。

最後まで読めば、あなたが今、iDeCoという船に乗るべきかどうかが、きっと明確になるはずです。

iDeCo(イデコ)の基本のキ|3つのポイントでわかる仕組み

iDeCo(イデコ)とは、一言でいうと「税金がとてもおトクになる、自分で作るじぶん年金制度」のことです。正式名称は「個人型確定拠出年金」と少し堅苦しいですが、仕組みはシンプルです。まずは基本のポイントを押さえて、iDeCoの全体像を掴みましょう。

iDeCo(イデコ)
加入対象65歳未満の国民年金加入者
税制上のメリット積立時の掛金が全額所得控除の対象
運用益が非課税
受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
年間掛金上限額14.4~81.6万円(職業などにより異なる)
運用期間最長75歳まで
投資対象商品投資信託・定期預金・保険商品
購入方法積立のみ
Money Cycle編集部作成(2025年4月24日時点)

※制度の詳細は金融庁のホームページなどで確認してください

そもそも誰が加入できるの?

iDeCoは、原則として日本国内に住む20歳以上65歳未満で、公的年金(国民年金・厚生年金)に加入している方であれば、職業を問わずほとんどの方が加入できます。

具体的には、自営業者やフリーランスの方、会社員、公務員、そして専業主婦(主夫)の方まで、幅広い方が対象です。

ただし、それぞれの立場によって毎月積み立てられる掛金の上限額が異なるほか、国民年金の保険料を納めていない方や、お勤めの会社で企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方などは、加入に条件があります。特に、企業型DCに加入している会社員の方は、会社の規約でiDeCoとの併用が認められているか、マッチング拠出を利用していないか、といった点を確認する必要があります。

加入資格掛金上限
自営業・フリーランスとその家族など(第1号被保険者)※1月額6.8万円
(年額81.6万円)
会社員・公務員など※2
(第2号被保険者)
会社に企業年金がない会社員月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入している会社員月額2.0万円※3
(年額24.0万円)
確定給付企業年金(DB)と企業型DCに加入している会社員
DBのみに加入している会社員
公務員
専業主婦[夫](第3号被保険者)月額2.3万円
(年額27.6万円)
国民年金の任意加入者(任意加入被保険者)月額6.8万円
(年額81.6万円)
Money Cycle編集部作成(2024年12月1日時点)

※1 農業者年金の被保険者、国民年金保険料を免除されている方は対象外
※2 勤務先で加入している企業型DCの事業者掛金が、拠出限度額の範囲内ではない方、マッチング拠出を実施している方は対象外
※3 月額5.5万円-企業型DCの事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額(月額2万円を上限)

ポイント

公的年金に「上乗せ」する”じぶん年金”

私たちは、日本に住む20歳以上のすべての人が加入する国民年金や、会社員・公務員が加入する厚生年金といった「公的年金」を土台として生活しています。iDeCoは、その公的年金にさらにプラスして、任意で加入する「私的年金」に位置づけられます。つまり、国が用意してくれた「じぶん年金」制度であり、公的年金だけでは少し心もとない老後の生活費を、自分自身の力でより豊かにするための制度とイメージしてください。

日本の年金制度は3階建て

ポイント

掛金も運用方法も「自分」で決める

iDeCoの大きな特徴は、その自由度の高さにあります。毎月いくら積み立てるかという「掛金」、そしてその大切なお金をどの金融商品で運用していくかという「運用方法」を、すべて自分で主体的に決定します。

掛金は月々5,000円という少額から始めることができ、1,000円単位で自由に設定可能です。ただし、加入者の働き方(会社員、自営業、公務員など)によって拠出できる上限額が定められています。運用商品には、リスクを極力抑えた元本確保型である定期預金や保険商品から、より積極的なリターンを目指す投資信託まで、多様な選択肢が用意されています。

ポイント

原則60歳まで「引き出せない」

iDeCoは、あくまで老後の生活を支える資金を準備するための年金制度です。そのため、積み立てたお金(掛金とその運用益)は、原則として60歳になるまで引き出すことができません

これは一見、デメリットのように感じるかもしれません。しかし、この「引き出せない」という制約があるからこそ、目先の誘惑に負けてお金を使ってしまうことなく、長期的な視点で着実に老後資金を準備できるという、非常に重要な仕組みでもあるのです。

iDeCo最大の魅力!「人生の3つのタイミング」で受けられる税制優遇

iDeCoが他の積立投資と一線を画し、「最強の節税ツール」とまで呼ばれる理由は、お金の流れにおける「入口」「中間」「出口」という人生の3つのタイミングで、手厚い税制上の優遇措置を受けられる点にあります。

優遇① 掛金が全額所得控除になる(入口)

iDeCoで支払った掛金は、その全額が「所得控除」の対象となります。これは、あなたのその年の所得から掛金の全額を差し引いて税金を計算できる、ということです。結果として、毎年の所得税と翌年の住民税が安くなるという直接的なメリットがあります。

例えば、年収500万円の会社員(所得税率10%、住民税率10%と仮定)が、毎月上限である23,000円(年間276,000円)をiDeCoに拠出した場合、所得税と住民税を合わせて年間約55,200円もの税金が軽減される計算になります。これは、年末調整や確定申告をすることで手元にお金が戻ってくるため、節税効果を最も実感しやすい大きなメリットと言えるでしょう。

あなたの節税額は?年間節税額シミュレーション

年収毎月の掛金年間節税額の目安
400万円12,000円約28,800円
500万円23,000円約55,200円
700万円23,000円約82,800円

※上記はあくまで簡易的なシミュレーションです。実際の税額は個人の状況により異なります。

優遇② 運用して得た利益がすべて非課税(中間)

通常、株式や投資信託の売却で得た利益(譲渡益)や配当金・分配金には、20.315%の税金が課せられます。しかし、iDeCoの口座内で得た運用益には、この税金が一切かかりません

運用で得た利益がそのまま、税金を引かれることなく次の投資に回される(再投資される)ため、お金がお金を生む「複利の効果」を最大限に活かすことができます。この非課税メリットは、運用期間が長くなればなるほど、雪だるま式にその効果を発揮し、将来の資産を効率的に大きく育ててくれるのです。

優遇③ 受け取るときも大きな控除がある(出口)

60歳以降にiDeCoで築いた資産を受け取る際にも、税金の負担が軽くなる仕組みがしっかりと用意されています。

受け取り方には、一時金として一括で受け取る方法と、年金として分割で受け取る方法の2種類があります。一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」という、それぞれ非常に大きな控除枠が適用されるため、税金の負担を大幅に抑えることが可能です。

MEMO

一度にまとめて受け取る場合
「退職所得控除」が適用されます。例えば、30年間iDeCoに加入して2,000万円を受け取る場合、800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円までは非課税です。

iDeCo加入年数退職所得控除額
20年以下40万円×加入年数
※80万円に満たない場合は80万円
20年超800万円+70万円×(加入年数-20年)
※Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

分割で受け取る場合
「公的年金等控除」が適用され、受け取る金額に応じて控除が受けられます。

年齢年金額控除額
65歳未満130万円未満60万円
65歳以上330万円未満110万円
※Money Cycle編集部作成(2024年3月27日時点)

始める前に知っておきたいiDeCoの注意点(デメリット)

これほどメリットの大きいiDeCoですが、もちろん注意すべき点も存在します。加入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、以下の4つのポイントを事前にしっかりと確認しておきましょう。

注意点

60歳まで引き出せない資金拘束

最大のメリットであり、同時に最大のデメリットにもなり得るのが、先ほども触れた「原則60歳まで引き出せない」という点です。例えば、マイホームの頭金や子供の大学進学費用など、人生の大きなライフイベントで急にお金が必要になったとしても、iDeCoの資産に手を付けることはできません。

したがって、iDeCoに拠出するお金は、日々の生活費や近い将来使う予定のあるお金ではなく、あくまで当面使う予定のない「余裕資金」で行うことが大原則です。

注意点

手数料がかかる

iDeCoの利用は、残念ながら無料ではありません。加入時に初期費用がかかるほか、毎月、国民年金基金連合会や運営管理機関(金融機関)に支払う口座管理手数料が発生します。

この手数料は金融機関によって異なり、年間で比較すると数千円の差になることもあります。運用利回りが低い局面では、この手数料が利益を上回ってしまう「手数料負け」の状態になる可能性もゼロではありません。だからこそ、後述する金融機関選びが非常に重要なポイントになります。

手数料例

初回のみ運用期間中毎月給付の都度
加入時・移管時加入者
(掛金を拠出している人)
運用指図者
(新たな掛金を拠出していない人)
給付
某ネット証券2,829円171円66円440円
某銀行2,829円431円326円440円
注意点

元本割れのリスクがある

iDeCoは自分で運用商品を選ぶため、価格が日々変動する投資信託などを選択した場合、運用成績によっては拠出した掛金の合計額を下回ってしまう、いわゆる「元本割れ」のリスクが伴います。

もちろん、リスクを避けたい方向けに、元本が保証されている定期預金などの「元本確保型」商品も用意されています。しかし、その分期待できるリターンも小さくなるため、インフレ(物価上昇)に負けて実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性も考慮する必要があります。

注意点

受け取り方によっては税金がかかる(出口戦略の重要性)

iDeCoの大きな節税メリットは、あくまで税金の「繰り延べ」であるという側面を理解しておくことが重要です。掛金と運用益は非課税ですが、60歳以降に資産を受け取る際には、所得として課税対象になります。

もちろん、「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった大きな控除があるため、多くの場合は税負担が軽くなります。しかし、会社の退職金と受け取るタイミングが重なったり、一度に大きな金額を受け取ったりすると、控除額を超えてしまい想定外の税金が発生する可能性があります。

このため、将来どのように受け取るかという「出口戦略」をあらかじめ考えておくことが、iDeCoのメリットを最大化する上で非常に大切です。

出口戦略についてはこちらの記事で詳しく解説しています

【比較】iDeCoとNISA、どっちを優先すべき?

個人の資産形成を考える上で、必ずと言っていいほど比較対象となるのが「iDeCo」と「NISA(新NISA)」です。どちらも国が推奨する税制優遇制度ですが、その目的や性格は大きく異なります。

どちらを優先すべきか、結論から言うと、老後資金の準備に目的を特化するならiDeCo老後資金だけでなく住宅購入や教育資金などにも備えたい、といった自由度を重視するならNISAが向いています。

iDeCoは「60歳まで引き出せない」という強い資金拘束がある代わりに、「掛金の全額所得控除」というNISAにはない強力な節税メリットがあります。そのため、確実に老後のために資金を貯めたい人、そして所得税・住民税を納めている現役世代にとって非常に魅力的な制度です。

一方、NISAはいつでも自由に資金を引き出すことができ、非課税で投資できる枠もiDeCoより大きいため、より柔軟な資産形成が可能です。

もし資金的に余裕があるのであれば、それぞれの制度のメリットを最大限に活かすために、iDeCoとNISAの両方を併用するのが最も効果的な戦略と言えるでしょう。

iDeCoと新NISA(つみたて投資枠)の比較

項目iDeCo(個人型確定拠出年金)NISA(つみたて投資枠)
目的老後資金の形成自由(制限なし)
引き出し制限原則60歳まで不可いつでも可能
税制優遇①掛金が全額所得控除
②運用益が非課税
③受取時に各種控除あり
運用益が非課税
年間投資上限額144,000円~816,000円(職業による)1,200,000円(+成長投資枠2,400,000円=合計3,600,000円)
手数料手数料がかかる原則無料(信託報酬等は別途)

初心者でも簡単!iDeCoの始め方4ステップ

iDeCoを実際に始めるのは、あなたが思っているよりもずっと簡単です。基本的には、以下の4つのステップで進めていけば、誰でもスムーズにスタートできます。

STEP

加入資格と掛金の上限額を確認する

金融機関を選ぶ前に、まずはご自身がiDeCoに加入できるか、そして毎月いくらまで掛金を出せるのかを確認しましょう。本コンテンツの「そもそも誰が加入できるの?」の項で解説したように、加入には条件があり、立場によって上限額も異なります。多くの金融機関のウェブサイトでは、簡単な質問に答えるだけで加入資格と上限額をチェックできる便利な診断ツールが用意されているので、利用してみるのがおすすめです。

ウェルスアドバイザー「iDeCo加入者診断」

STEP

金融機関を選ぶ

iDeCoを始めるには、まず口座を開設する金融機関(証券会社や銀行など)を一つ選ぶ必要があります。選ぶ際の最も重要なポイントは「口座管理手数料の安さ」と「運用商品のラインナップの豊富さ」の2点です。特に毎月発生する口座管理手数料は、長期的に見ると大きなコスト差になります。特別な理由がなければ、手数料が安く、低コストで良質な商品が揃っているネット証券が初心者の方にはおすすめです。

STEP

申込み手続きを行う

利用したい金融機関を決めたら、その金融機関のWebサイトなどから口座開設を申し込みます。申込みには、一般的に以下の書類が必要になるので、あらかじめ準備しておくとスムーズです。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳、基礎年金番号通知書など)
  • 掛金の引落口座情報

会社員や公務員の方は、上記に加えて、勤務先に「事業主の証明書」という書類を記入・捺印してもらう必要があります。必要書類を揃えて金融機関に提出し、国民年金基金連合会の審査が完了すれば、無事に口座が開設されます。

STEP

掛金額と運用商品を決める

口座が開設されたら、いよいよ運用開始です。まずは、毎月の掛金額と、どの商品で運用していくかを決めます。掛金額は、決して無理のない、家計に負担のかからない範囲で設定しましょう。運用商品は、もし迷ったら、全世界の株式に低コストで分散投資できるインデックスファンドなどが、初心者の方には分かりやすく人気があります。

iDeCoに関するよくある質問(FAQ)

転職・退職した場合、今まで積み立てたiDeCoはどうなりますか?

iDeCoは「ポータビリティ(持ち運び)」が可能な制度なので安心してください。転職先に企業型DC(企業型確定拠出年金)がある場合はそちらに移換できますし、ない場合でも個人型iDeCoとして運用を続けることができます。積み立てた資産がなくなることはありません。

途中で掛金の支払いが苦しくなったらどうすればいいですか?

支払いが困難になった場合は、年に1回、掛金の額を変更(最低月額5,000円まで減額)することが可能です。また、一時的に掛金の拠出を停止し、「運用指図者」としてそれまでの資産の運用だけを続けることもできます。

60歳になる前に死亡してしまった場合、積み立てたお金はどうなりますか?

ご遺族が「死亡一時金」として受け取ることができます。積み立てた資産は相続財産とみなされ、ご遺族に引き継がれますので、掛け捨てになることはありません。

どの金融機関を選べばいいか分かりません。

最も重要な判断基準は「口座管理手数料の安さ」と「運用商品のラインナップ」です。特にこだわりがなければ、手数料が業界最安水準で、低コストの優れた投資信託を多く取り揃えているネット証券(SBI証券、楽天証券など)から選ぶのがおすすめです。

まとめ:iDeCoは将来の自分への最高のプレゼント

今回は、知っているといないとでは将来に大きな差がつく私的年金制度、iDeCoについて詳しく解説しました。

iDeCoは、他の金融商品にはない強力な節税メリットを毎年受けながら、将来の自分自身のために、着実に資産を育てていける非常によく設計された制度です。

もちろん、「60歳まで引き出せない」という注意点もありますが、その特徴を正しく理解し、生活に支障のない余裕資金で活用すれば、これほど心強い老後資金対策は他にありません。

特に、所得控除の恩恵を最大限に受けられる現役の会社員や公務員、そして自営業の方には、利用しない手はないと言えるほど、メリットの大きい制度です。

将来の自分から心から感謝される、最高のプレゼントを今日から始めてみませんか?まずは手数料の安いネット証券の資料請求から、豊かで安心な未来への第一歩を踏み出してみましょう。

iDeCoのココが知りたい

※本記事の内容は、執筆時2025年8月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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