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日本における個人の資産形成を支援する制度として、2014年にNISA(少額投資非課税制度)が導入されました。その後、2024年1月からは、制度の恒久化や非課税投資枠の拡大といった大幅な改正が加えられた新しいNISA(新NISA)がスタートしました。この新NISAは、国民の投資に対する意識を変え、より多くの人々が積極的に資産形成に取り組めるようにすることを目的としています。
従来のNISAと比較して、新NISAは多くの点で進化しています。
では、実際にどれくらいの人が新NISAを利用しているのでしょうか?金融庁の調査によると、2024年9月末時点でNISA口座数は約2,509万口座に達し、2023年末から約384万口座増加しています。しかし、この数字は口座数であり、実際に投資をしている人はその一部に過ぎないという指摘もあります。 また、新NISAで投資を始めたものの、短期間で売却してしまう人も少なくないというデータも出ています。
果たして、新NISAは本当にあなたの資産形成の助けとなるのでしょうか? この記事では、最新のデータをもとに新NISAの利用状況を徹底的に分析し、その実態と課題、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
新NISAについて詳しく知りたい人はこちら
2024年9月末時点で、NISA口座数は約2,509万口座に達しています。これは、2023年末時点から約384万口座の増加を示しており、新NISA導入による口座開設数の大幅な増加が確認できます。
2024年1月から3月の3ヶ月間で195万口座と最も多くの口座が開設され、その後も口座開設数は増加を続けましたが、6月から9月にかけて83万口座と伸びは鈍化しました。
ただし、前年比では1.6倍のペースで口座が開設されており、依然として高い伸びを示しています。
新NISA口座の利用率は、日本人口全体で約20.2%となっています。
年代別に見ると、30代の利用率が最も高く33.0%、次いで40代が29.2%、50代が26.5%となっています。20代の利用率も22.5%と比較的高い水準です。60代以上も20%以上の利用率を維持しており、幅広い世代で新NISAが利用されていることがわかります。
ただし、これらの利用率は口座開設数に基づくものであり、実際に投資を行っている割合はこれよりも低い可能性があります。
口座開設者のうち、実際に投資をしているのは6割から7割程度という報道もあります。また、NISA口座を開設したものの、全く利用していない口座も約40%程度存在するとの指摘もあります。
2024年1月から9月までのNISA買付額の合計は13兆7,932億円となっています。
年代別の買付額では、50代が最も多く、次いで40代、60代の順となっています。一方、積立投資枠の買付割合は20代、30代、40代の順に高くなっており、若年層が積立投資を積極的に行っている傾向が見られます。
月平均の積立額は、全体で約1.7万円ですが、30代が最も多く約2.3万円となっています。また、30代から70代にかけては、月を追うごとに買付額が増加する傾向が見られますが、20代では横ばいとなっています。
買付額全体のうち、成長投資枠が約74%、つみたて投資枠が約26%を占めています。成長投資枠では、個別株への投資が目立ち、特に国内上場企業への投資が多い傾向があります。
投資信託では、全世界株式型、米国株式型の投資信託が人気です。つみたて投資枠では、全世界株式型の投資信託が最も多く利用されています。
新NISAの口座開設先として、証券会社が最も人気があります。特に、ネット証券の利用が多く、大手ネット証券5社と大手証券5社で、全体の約63%のシェアを占めています。
ネット証券の中でも、楽天証券とSBI証券が特に人気があり、この2社でNISA口座全体の40%強を占めています。
このように、新NISAは制度開始から一定の普及を見せていますが、口座開設数と実際の投資行動には乖離があり、今後の利用促進に向けた課題も残されています。
前項と重複しますが、新NISAの利用者は、20代から40代の層で利用率が高い傾向にあります。特に、20代の利用者の増加が顕著です。30代の利用率が最も高く、33%に達しています。40代の利用率も高く、29.2%となっています。50代の利用率も比較的高く、26.5%です。また、60代以上も20%以上の利用率を維持しており、幅広い世代で新NISAが利用されていることがわかります。
ただし、50代は「すでに利用している」割合が他の年代に比べて低い一方で、「検討しているがまだ決めていない」割合が最も高いという特徴があります。これは、50代がまだ新NISAの活用に踏み切れていない可能性があることを示唆しています。20代は「2025年から利用を開始したい」という意向が他の年代よりも高い傾向が見られます。
男性の利用率が女性の利用率を大きく上回っているというデータがあります。具体的な数値はソースに記載されていません。
投資未経験者の中にも、口座開設後に投資に踏み切れていない層が存在することがわかっています。投資初心者は「つみたて投資枠」を重視する傾向があり、中級者は「成長投資枠」を重視する傾向があります。投資上級者は、どちらの投資枠も同程度に活用し、さらに4人に1人が成長投資枠でETFに投資しています。
新NISAに関心を持ったきっかけとして、全体では「SNSやインターネット情報」が最も多く、45.3%を占めています。年代別に見ると、20代では「家族や友人の勧め」が最も高く、44.4%となっています。これは、若い世代が身近な人からの影響を受けやすいことを示唆しています。30代から50代では、「SNSやインターネット情報」が最も多いきっかけとなっています。60代では、「政府や金融機関のPR」によって関心を持つ割合が高いです。
新NISAを利用する際の情報源として、全体では「金融機関の公式サイトや資料」が約5割でトップとなっています。しかし、20代のみ「投資系のSNSアカウントやインフルエンサー」が最も多く、約4割を占めています。これは、若い世代がSNSやインフルエンサーから情報を得ている傾向が強いことを示しています。また、「家族や友人の意見」を情報源とする割合は50代で高い傾向にあります。
これらの情報から、新NISAの利用者は年齢層や情報源によって異なる傾向があることがわかります。特に、若年層はSNSや友人からの影響を受けやすく、中高年層は金融機関や政府からの情報に信頼を置く傾向があると考えられます。
新NISAは、個人の資産形成を促進するための重要な制度ですが、いくつかの課題や注意点が存在します。制度を理解し、適切に利用するために、これらの点を把握しておくことが重要です。
まず、制度の複雑さが挙げられます。新NISAは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があり、それぞれに非課税投資枠や対象商品が異なるため、制度全体が複雑で分かりにくいという意見があります。特に、投資初心者にとっては、制度を理解するだけでもハードルが高く感じられるかもしれません。
また、未成年者が新NISAを利用できないことに対する意見もあります。若いうちから投資を始めることは、長期的な資産形成において非常に重要です。そのため、未成年者にも新NISAの利用を認めるべきだという意見が出ています。
さらに、金融機関を変更する際の手続きが煩雑であるという意見も多くあります。NISA口座は1年に1回変更できますが、その手続きが複雑で時間がかかるため、利用者は不便を感じているようです。
NISA口座の未稼働問題も深刻です。多くの人がNISA口座を開設したものの、実際に投資をしていない、いわゆる「休眠口座」が多いという問題があります。これは、制度の理解不足や投資への不安が原因と考えられます。口座を開設しただけで満足せず、積極的に投資を始めることが重要です。
また、短期的な利益を求めて投資信託を売却してしまう、いわゆる「損切り」に関する注意が必要です。特に、相場が下落した際に、怖くなってすぐに売ってしまう人が多いですが、投資信託は長期保有を前提とするべきです。短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点で資産形成に取り組むことが大切です。
新NISAは、非課税保有に制限がないため、富裕層ほど有利になるという懸念も指摘されています。非課税枠を最大限に活用できる富裕層と、そうでない層との間で格差が拡大する可能性があります。
新NISAを有効に活用するためには、長期・積立・分散投資の重要性を理解する必要があります。短期的な利益を求めるのではなく、長期的な視点でコツコツと積立投資を行うことで、複利効果を最大限に活用し、効率的に資産を増やすことができます。
最後に、インフレリスクについても考慮する必要があります。インフレが進むと、現金の価値が目減りします。そのため、貯蓄だけでは資産を増やすことが難しく、投資によって資産を守る必要性が増しています。
これらの課題や注意点を踏まえ、新NISAを正しく理解し、長期的な視点で資産形成に取り組むことが重要です。
新NISAは、個人の資産形成を強力に後押しする制度として、今後ますますその重要性を増していくと考えられます。政府は、5年間で口座数や買付額を倍増させるという意欲的な目標を掲げており、この目標達成に向けて様々な取り組みが進められるでしょう。
金融機関も、新NISAの普及促進に向けて積極的に動いています。セミナーや相談会を開催したり、ウェブサイトやパンフレットで分かりやすい情報を提供したりすることで、投資初心者でも安心して新NISAを始められるようなサポート体制の強化に努めています。今後も、金融機関による手厚いサポート体制が期待されるでしょう。
しかし、制度の利用を促進するためには、国民全体の金融リテラシーの向上が不可欠です。投資に対する不安やリスクを正しく理解し、適切な判断ができるようになるためには、金融教育の充実が重要になります。学校教育だけでなく、社会全体で金融リテラシーを高めるための取り組みが求められるでしょう。
新NISAを最大限に活用するためには、短期的な利益にとらわれず、長期的な視点での投資を心がけることが大切です。市場の変動に一喜一憂することなく、長期・積立・分散投資を基本とし、複利効果を最大限に活用することで、着実に資産を増やしていくことができるでしょう。
新NISAの導入は、海外投資を増加させる可能性も指摘されています。これにより、円安圧力が強まる可能性も示唆されており、今後の為替動向にも注意が必要です。
新NISAは、長期的な資産形成に適した制度です。金融リテラシーを高め、賢く制度を活用することで、将来にわたって安定した資産形成を目指すことができるでしょう。
具体的には、以下のような点に留意すると良いでしょう。
これらの点を踏まえ、新NISAを有効に活用し、豊かな将来を築いていきましょう。
新NISAは、個人の資産形成を促進するための強力なツールですが、制度の複雑さや投資に対する不安など、いくつかの課題も抱えています。しかし、これらの課題を克服し、制度を正しく理解し、長期的な視点で投資に取り組むことで、将来の安定した資産形成を実現できる可能性を秘めています。重要なのは、金融リテラシーを高め、長期的な視点でコツコツと投資を継続することです。
※本記事の内容は、執筆時2025年2月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。
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