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自営業者・フリーランス必見!NISA・iDeCo・小規模企業共済【2025年版】資産形成術

不安定な収入、将来への漠然とした不安…。

個人事業主・フリーランス、または中小企業経営者であるみなさんは、不安定な収入、退職金、事業資金など、お金という常に大きな課題に直面していることでしょう。こうした課題は、未来への不安を増大させ、しばしば資金計画の立てにくさに繋がります。

しかし、適切な資産形成戦略を学び、理解することで、これらの挑戦を乗り越え、安定した未来を築くことが可能です。

本記事では、これらの課題と資産形成の重要性に焦点を当て、NISA(ニーサ)、iDeCo(イデコ)、小規模企業共済といった具体的な資産形成方法を説明し、実際にこれらの課題をどのように解決していくかを解説します。

CONTENTS

1. はじめに:個人事業主・フリーランス・中小企業経営者のお金の課題と資産形成の重要性

1-1 収入不安定、退職金なし…個人事業主・フリーランスのリアルな悩み

アンケート調査「フリーランス400人に聞いた!働き方や年収、悩みに関する実態調査(https://tng-marketing.com/freelance/questionnaire/post-121/)」によると、個人事業主・フリーランスの最も多い悩みや不安は「収入が安定しない」こと。また、退職金制度がない、社会保険料負担が大きい、福利厚生がないといった点は、個人事業主・フリーランス特有のものであり、会社員とは異なる悩みと言えます。そのため、自己資金による老後の準備が不可欠となります。

これらの課題を解決するためには、「正しいお金の知識を身につける」、「自分に合った資産形成方法を実践する」、「必要に応じて専門家のサポートを受ける」ことが重要です。

会社員と違い、毎月決まった給料が保証されていない個人事業主・フリーランスにとって、「収入の不安定さ」は常に付きまとう悩みです。仕事が途切れてしまえば収入はゼロになる可能性もあり、精神的な負担も大きくなります。さらに、国民年金のみの加入となるため、将来受け取れる年金額も会社員と比べて少なくなる傾向にあります。

年度国民年金の受給者
年金の平均月額
厚生年金の受給者
年金の平均月額
令和3年56,479円145,665円
令和4年度56,428円144,982円
令和5年度57,700円147,360円

※出典:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
※いずれも、受給権が確定し受給を受けている人の年金額

1-2 資産形成で将来の不安を解消!具体的なメリットとは?

計画的な資産形成は、単にお金を増やすだけでなく、以下のような多くのメリットをもたらします。

  • 【メリット1】収入の波を乗り越える: 収入が少ない月や、病気やケガで働けない期間の生活費を確保できます。
  • 【メリット2】老後の生活を豊かにする: 公的年金に加えて、自分自身で老後資金を準備することで、ゆとりある老後生活を送ることができます。
  • 【メリット3】事業のリスクに備える: 事業がうまくいかなくなった場合や、新たな事業に挑戦する際の資金的な余裕が生まれます。
  • 【メリット4】精神的な安定を得る: お金に関する不安が軽減されることで、仕事やプライベートにも良い影響を与え、精神的なゆとりが生まれます。
  • 【メリット5】選択肢を広げる: 十分な資産があれば、仕事の量や種類を自分でコントロールできるようになり、より自由な働き方を実現できます。

2. 資産形成の基本をわかりやすく解説

2-1 資産形成とは?貯蓄・投資・節税の違いと関係性

資産形成とは、将来の目標や夢を実現するために、計画的に貯蓄・資産運用などを行い資金などを準備することです。具体的には、定期的な貯蓄、効果的な資産運用、そして節税を通じて手元に残る資金を最大化し、これを再投資することにより資産を成長させることなどがあげられます。

特に個人事業主・フリーランスにとっての資産形成は、ただ貯蓄をする以上の意味を持ちます。それは、将来の金銭的な自由を実現し、不安定な収入に対する保険となるからです。

資産形成は、個人事業主・フリーランスにとって、将来の経済的自立と安定を実現するために非常に重要です。不安定な収入や制限された福利厚生の中で、自ら努力して資産を築き上げることは、事業の持続性と個人の生活の質に直接影響します。

資産形成には、「貯蓄」「投資」「節税」の3つの柱があり、それぞれ異なる役割を持っています。

  • 貯蓄: 収入の一部を貯蓄に回し、安全に資金を確保することです。銀行預金などが代表的で、元本割れのリスクは低いですが、大きく増やすことは難しいです。
  • 投資: 株式、投資信託、不動産などに資金を投じ、より大きなリターンを目指すことです。リスクはありますが、資産を大きく増やす可能性があります。
  • 節税: 税金を適切にコントロールし、手元に残るお金を増やすことです。個人事業主・フリーランスにとっては特に重要で、各種控除や制度を活用します。

2-2 なぜ個人事業主・フリーランスに資産形成が必須なのか?【会社員との違い】

資産形成の主な目的は、不安定な収入を補う、老後資金を準備する、病気やケガによ収入減など予期せぬ事態に備えることです。資産形成により、個人事業主・フリーランスは、収入が安定していない、福利厚生が少ない、退職金がないというリスクを軽減し、将来に対する自信と安心感を得ることができます。

また、十分な資産があれば、仕事の選択肢が広がり、自分や家族の夢や目標を追求するための時間と資源を確保できます。

資産形成を成功させるための第一歩は、明確な目標設定と具体的な計画の立案です。まずは、将来に何を望むのかを具体的に定義し、それを達成するために必要な資金を計算します。例えば、快適な退職生活、子どもの高等教育、あるいは家の購入など、具体的な目標を設定しましょう。

EX.
  • 老後資金(退職資金)の準備:労働収入が止まった後も安定した生活を送るための資金を蓄える。
  • 子どもの教育資金の確保:子どもや孫の教育費用を支払うための資金を計画的に用意する。
  • 緊急事態への対応:急な医療費、事業資金、その他の予期せぬ出費に迅速に対応できるように流動性の高い資金を確保する。
  • 生活の質の向上:趣味、旅行、ライフスタイルの向上に必要な資金を形成し、人生をより豊かにする。

次に、目標達成のために必要な貯蓄額を毎月どれだけ確保するか、どのような投資方法を採用するかを決定します。このプランは、定期的に見直しを行い、市場の変動や個人の状況の変化に柔軟に対応できるようにする必要があります。

会社員は、毎月安定した給料が保証され、厚生年金や退職金制度、各種福利厚生が充実しています。しかし、個人事業主・フリーランスは、これらのセーフティネットがありません。だからこそ、自分自身で計画的に資産形成を行い、将来に備える必要があるのです。

2-3 資産形成の第一歩:目標設定と計画の立て方【具体例付き】

目標設定は、「いつまでに」「いくら」を明確にすることが重要です。例えば、「10年後に事業を拡大するための資金として500万円貯める」「65歳までに老後資金として3,000万円貯める」といったように、具体的な目標を立てましょう。

(目標設定シートの記入例)

目標時期必要金額月々の積立額
(目安)
備考
事業拡大資金10年後500万円約42,000円
老後資金65歳まで3,000万円(年齢による)現在の年齢から逆算して計算
子どもの大学進学費用15年後800万円約45,000円
緊急予備資金
(生活費6ヵ月分)
いつでも180万円(貯蓄から回す)病気やケガで働けなくなった場合に備える

3. NISA・iDeCo・小規模企業共済を徹底比較!【2025年最新情報】

3-1. 新NISA完全ガイド:制度概要、メリット・デメリット、注意点

NISAは、年間の上限額内の投資よって得た利益にかかる税金が非課税になる制度です。NISAの最大のメリットは、株式や投資信託で得られる配当金や分配金、売却益が非課税になることです。これにより、特に長期的な資産形成を考えている人にとって、手取りのリターンを最大化することが可能となります。

NISAを利用する主な戦略としては、長期的な成長を見込める株式や投資信託に投資することがあげられます。特に、分散投資を行いつつ、定期的な再投資計画を立てることで、リスクを管理しつつ資産を増やすことができます。NISAの枠を最大限に活用し、非課税での運用益を最大化させることが重要です。

NISAの主な特徴
  • 年間360万円までの非課税投資枠(積立投資枠120万円+成長投資枠240万円)
  • 投資で得た利益が非課税
  • 積立投資に最適

つみたて投資枠と成長投資枠の違いは?

新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、それぞれ投資できる商品や上限額が異なります。

  • つみたて投資枠: 年間120万円まで積立投資ができます。対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
  • 成長投資枠: 年間240万円まで、個別株や投資信託など、幅広い商品に投資できます。
NISA(ニーサ)
つみたて投資枠成長投資枠
加入対象日本在住の18歳以上
税制上のメリット運用益が非課税
枠の併用併用可
年間投資上限額120万円240万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税保有期間無期限
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託一定の国内外の上場株式・ETF・投資信託など
購入方法積立のみスポット・積立
Money Cycle編集部作成(2025年3月18日時点)

※制度の詳細は金融庁のホームページなどで確認してください

個人事業主におすすめのNISA活用戦略【具体例】

個人事業主・フリーランスは、収入が不安定な場合も多いため、リスク分散を意識したNISA活用がおすすめです。

【戦略例1】つみたて投資枠でコツコツ積立
  • 毎月、無理のない範囲で一定額を積立投資する。(例:毎月3万円)
  • 投資先は、全世界株式インデックスファンドやバランスファンドなど、分散投資ができる商品を選ぶ。
  • 長期的な視点で、コツコツと資産を増やしていく。
【戦略例2】成長投資枠で高配当株投資
  • ある程度まとまった資金がある場合は、成長投資枠で高配当株に投資する。
  • 配当金(非課税)を定期的な収入源とすることができる。
  • ただし、個別株投資はリスクが高いため、分散投資を心がける。
    • 業種や国・地域を分散
    • 複数の銘柄に投資
【戦略例3】両方の枠を組み合わせて活用
  • つみたて投資枠でインデックスファンドに積立投資しつつ、成長投資枠で高配当株やREIT(不動産投資信託)にも投資する。
  • 安定的な資産形成と、積極的な運用益の獲得を両立させる。

3-2. iDeCoで賢く老後資金準備:制度概要、節税効果、運用方法

iDeCoは、自分で運用方法を選べる私的年金制度で、掛金が全額所得控除の対象となります。iDeCoのメリットは、税制面の優遇に加え、老後の資金として計画的に資産形成ができる点にあります。掛金は所得控除、NISA同様に運用益が非課税となるため、長期的に資産増加が期待できます。

iDeCoを活用した老後資金の準備には、まず適切な投資商品を選定することがカギとなります。リスク許容度に応じたポートフォリオを構築し、定期的な見直しを行うことで、効果的に資産を増やしていくことが推奨されます。また、iDeCoは長期運用に適しているため、早期から計画的に投資を開始することが望ましいです。

iDeCoの主な特徴
  • 掛金が全額所得控除の対象(職種によって掛金の上限が異なります)
  • 投資で得た利益が非課税
  • 老後資金の準備に最適

iDeCoの掛金上限額は?自営業者と会社員の違い

加入資格掛金上限
自営業・フリーランスとその家族など(第1号被保険者)※1月額6.8万円
(年額81.6万円)
会社員・公務員など※2
(第2号被保険者)
会社に企業年金がない会社員月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入している会社員月額2.0万円※3
(年額24.0万円)
確定給付企業年金(DB)と企業型DCに加入している会社員
DBのみに加入している会社員
公務員
専業主婦[夫](第3号被保険者)月額2.3万円
(年額27.6万円)
国民年金の任意加入者(任意加入被保険者)月額6.8万円
(年額81.6万円)
Money Cycle編集部作成(2025年3月18日時点)

iDeCoの運用商品選びのポイント【プロが解説】

「iDeCoの運用商品は、長期的な視点で選ぶことが大切です。若い方は、ある程度リスクを取って株式中心の運用も良いでしょう。年齢が上がるにつれて、徐々に債券などの安定資産の割合を増やしていくのがおすすめです。」(ファイナンシャルプランナー 田中 大二氏)

商品選びのポイント
  • リスク許容度: 自分の年齢や資産状況、性格などを考慮して、どれくらいのリスクを取れるかを判断する。
  • 運用コスト: 信託報酬などのコストが低い商品を選ぶ。
  • 分散投資: 複数の商品に分散投資することで、リスクを抑える。
  • ポートフォリオ: 自分の目標とする資産配分(ポートフォリオ)を決め、それに合った商品を選ぶ。

3-3. 小規模企業共済で節税&退職金準備:加入条件、メリット、注意点

小規模企業共済は、個人事業主・フリーランス、中小企業者経営者が自ら退職金を準備するための共済制度です。掛金はiDeCo同様に所得控除の対象となり、節税効果が大きいのが特徴です。共済金は将来的に一時金として受け取ることができ、退職金として、または事業の再投資資金として活用可能です。

小規模企業共済を利用した節税対策としては、最大限の掛金を拠出することで、現在の税負担を軽減すると同時に、将来の退職金を確保することが挙げられます。また、共済金は事業の承継や事業資金としても利用できるため、事業計画にも織り込んで考えると良いでしょう。

小規模企業共済の主な特徴
  • 月々の掛金は1,000~70,000円まで自由に設定可能(加入後の増減も可能)
  • 掛金が全額所得控除の対象(月額最大7万円まで)
  • 低金利の貸付制度がある(掛金総額の7~9割)

加入条件は業種によって異なり、加入できない場合もあるので確認をしましょう。

加入できる方の例

  • 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  • 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員

(注意点)

  • 12か月未満の掛金納付では掛け捨てになります。
  • 任意解約の場合は、240か月(20年)以上納付しないと、掛金合計額を下回ることがあります。

【図解】3制度の比較表:あなたに最適なのはどれ?

NISA、iDeCo、小規模企業共済の比較。それぞれの特徴を理解し、自分に合った制度を選びましょう。

各制度の比較表

制度新NISAiDeCo小規模企業共済
非課税枠/掛金上限年間360万円
つみたて投資枠:120万円
成長投資枠:240万円
年間14.4~81.6万円
(職業などにより異なる)
年間1.2~84万円
受取可能な時期いつでも60歳から老齢給付は65歳から
中途解約可(加入期間によって元本割れの可能性あり)
投資対象・つみたて投資枠:投資信託
・成長投資枠:株式、投資信託など
投資信託、定期預金、保険商品
自分で投資先を選定することなく、共済が運用する
税制上のメリット運用益が非課税
(受取時 非課税)
積立時の掛金が全額所得控除の対象
運用益が非課税
受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
掛金が全額所得控除の対象
受取時の一定額が非課税(退職所得控除・公的年金控除の対象)
その他のメリット少額から始められる
積立投資に最適
いつでも引き出せる
月5,000円から始められる
老後資金準備に最適
少額から始められる
掛金を自由に設定できる
低金利の貸付制度がある(掛金総額の7~9割)
デメリット元本保証型の商品がない
非課税枠に上限がある
原則60歳まで引き出し不可
各種手数料がかかる
受取時は課税対象(税制優遇あり)
加入できる事業規模に制限がある
運用益は期待できない
受取時は課税対象(税制優遇あり)
どの制度を選ぶべき?(例)少額から始めたい、老後資金以外の用途でも資産形成したい方老後資金準備、節税効果を最大限に活用したい方退職金準備、節税効果を最大限に活用したい個人事業主・フリーランス、経営者の方
Money Cycle編集部作成(2024年4月24日時点)

※ 上記はあくまで一般的な概要であり、個々の制度の詳細については各制度の公式情報をご確認ください。
※どの制度を選ぶべきかは、ご自身の状況や目標によって異なります。複数の制度を組み合わせて利用することも可能です。
※どの制度を選ぶべきか迷ったら、FPやIFA、税理士などの専門家に相談することも選択肢の一つです。

NISAとiDeCoについて詳しく知りたい人はこちら

4. 個人事業主・フリーランス向け!具体的な資産形成術

Image:Canva

資産形成は、個人事業主・フリーランス、中小企業経営者にとって特に重要です。なぜなら、不安定な収入や福利厚生の不足、退職金システムの欠如など、特有の課題に直面するためです。

ここでは、個人事業主・フリーランス向けの資産形成方法を解説します。

4-1. 自分に合った資産形成方法を選ぶ

個人事業主・フリーランスにとって最適な資産形成方法を選ぶには、まず自分の事業や収入の性質を理解することが重要です。自分のライフスタイル、収入の安定性、将来の目標、そしてリスク許容度を考慮して、最適な方法を選ぶことが資産形成の第一歩です。

個人事業主・フリーランスの場合、流動性が高くリスクが低い選択肢を好むかもしれませんが、適度なリスクを取ってより高いリターンを目指すことも重要です。具体的には、短期的な流動性が必要な資金と長期投資用の資金を明確に区分し、それぞれに合った運用方法を選ぶことが効果的です。変動が大きい収入には、より柔軟性のある資産形成戦略が必要です。

また、リスク許容度を評価し、それに基づいて投資の種類(株式、債券、不動産など)を選定する必要があります。リスクとリターンのバランスを取りながら、短期的な流動性と長期的な成長の両方を目指すポートフォリオを構築することが理想的です。

4-2. 資産運用の基本:リスクとリターンの考え方

資産運用の基本は、リスクとリターンのバランスを理解し、その上で分散投資と継続的な投資を行うことです。株式、債券、不動産、そして金など、異なる資産クラスに投資することで、市場の変動リスクを分散させることができます。

定期的なポートフォリオの見直しを行い、経済状況や個人の生活状況の変化に応じて調整することが重要です。分散投資によりリスクを管理し、市場の変動に対して自身のポートフォリオのリスクを最小限に抑えることができます。

また、定期的に投資を行うことで、平均取得コストを下げ、市場の変化に左右されずに資産を増やすことが可能になります。定期的なレビューと調整によって、投資戦略を現在の市場状況や個人的な状況に適応させることも重要です。

一般的に、リスクとリターンは比例関係にあります。高いリターンを期待するほど、リスクも高くなります。

4-3. 具体的な資産形成方法

具体的な資産形成方法としては、次のようなものがあります。

EX.

定期的な積立投資:NISAやiDeCoなどの制度を利用して、定期的に一定額を投資する方法です。これにより、長期的に資産を増やすことができます。

節税対策:iDeCoや小規模企業共済など、税制優遇がある制度を活用することで、効率的な資金運用が可能です。

自己投資:自分自身のスキルアップや事業拡大に投資する方法。これにより、収入増加の機会を作り出すことができます。

不動産投資:不動産を購入し、賃貸収入を得る方法。これは収入源の多様化にも繋がり、特に地価の安定している地域ではリスクが比較的低い選択肢です。

これらの方法を組み合わせることで、個人事業主・フリーランスは、自身の資産を効果的に増やし、将来の不確実性に備えることができます。資産形成は一朝一夕に達成できるものではありませんが、戦略的かつ着実なアプローチを取ることで、長期的に大きな利益をもたらす可能性があります。

個人事業主・フリーランス、中小企業経営者は、これらの方法を検討し、自身に最も合った戦略を選び、資産形成に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

4-4 分散投資の重要性:リスクを抑えるポートフォリオの作り方

例えば、100万円を投資する場合、以下のように分散投資することで、リスクを抑えることができます。

EX.

国内株式:20万円

  • TOPIX連動型インデックスファンド:10万円
  • 高配当株ETF:10万円

先進国株式:30万円

  • MSCIコクサイ・インデックス連動型インデックスファンド:20万円
  • 米国S&P500連動型ETF:10万円

新興国株式:10万円

  • MSCIエマージング・マーケット・インデックス連動型インデックスファンド:10万円

国内債券:10万円

  • 個人向け国債:10万円

先進国債券:10万円

  • NOMURA-BPI総合指数連動型インデックスファンド:10万円

REIT(不動産投資信託):10万円

  • J-REIT ETF:5万円
  • 海外REIT ETF:5万円

現金:10万円

リスク許容度別ポートフォリオ例。自分の状況に合わせて、資産配分を考えましょう。

4-5 今すぐできる!資産形成の具体的方法【5選】

  1. 定期的な積立投資:
  • NISAのつみたて投資枠を活用し、毎月一定額を投資信託に積み立てる。(例:毎月3万円を全世界株式インデックスファンド、または米国S&P500インデックスファンドに投資)
  • 投資信託は、複数の銘柄に分散投資されているため、個別株投資よりもリスクが低い。
  • インデックスファンドは、特定の指数(例:日経平均株価、TOPIX、S&P500など)に連動するように運用されるため、比較的低コストで運用できる。
  • 長期・積立・分散投資は、リスクを抑えながら資産を増やすための基本的な戦略。
  • ドルコスト平均法の効果で、価格が高いときには少なく、安いときには多く購入できるため、平均購入単価を下げることができる。
  • 自動積立設定を利用すれば、手間なく継続できる。

2. 節税対策:

  • iDeCoや小規模企業共済など、税制優遇がある制度を活用する。
    • iDeCo: 掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税を節税できる。(特に所得が高い人ほど節税効果が大きい)
    • 小規模企業共済: 掛金が全額所得控除になる上、将来受け取る共済金も退職所得控除の対象となるため、二重の節税効果がある。
  • 青色申告を行う。(65万円の特別控除など)
  • 必要経費を漏れなく計上する。

3. 自己投資:

  • スキルアップのための書籍購入、セミナー受講、資格取得などに投資する。
  • 事業を拡大するための設備投資や広告宣伝費に投資する。
  • 自己投資は、将来の収入アップにつながる可能性が高い、最もリターンの大きい投資の一つ。

4. 不動産投資:

  • 不動産を購入し、賃貸収入を得る。(長期的な資産形成、インフレ対策)
  • ただし、不動産投資には、空室リスク、家賃滞納リスク、修繕リスク、金利上昇リスクなどがあるため、慎重に検討する必要がある。
  • まずは、不動産投資に関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりして、情報収集を行うことが重要。
  • 信頼できる不動産会社に相談するのも良い。

5. 副業:

  • 本業以外の収入源を作ることで、資産形成を加速させる。
  • 自分のスキルや経験を活かせる副業を選ぶ。(例:Webライター、プログラマー、デザイナー、コンサルタントなど)
  • クラウドソーシングサイトなどを利用して、自分に合った副業を探してみる。
  • ただし、本業に支障が出ない範囲で行うこと。

5. 個人事業主・フリーランスのよくある質問(FAQ)

資産運用は怖い…リスクを減らす方法は?

資産運用にはリスクがつきものですが、以下の方法でリスクを減らすことができます。

  • 分散投資: 複数の資産に分散して投資することで、特定の資産の価格が下落しても、他の資産でカバーできる可能性がある。
  • 長期投資: 長期的な視点で投資することで、短期的な価格変動の影響を受けにくくなる。
  • 積立投資: 毎月一定額をコツコツ積み立てることで、高値掴みのリスクを減らすことができる。(ドルコスト平均法)
  • 情報収集: 投資する商品や市場について、しっかりと情報収集を行う。
  • 専門家への相談: 分からないことや不安なことは、FPやIFAなどの専門家に相談する。

少額からでも資産形成は始められる?

はい、少額からでも資産形成は始められます。

  • NISA(つみたて投資枠): 100円から積立投資ができる金融機関もある。
  • iDeCo: 月5,000円から掛金を拠出できる。
  • 小規模企業共済: 月1,000円から掛金を拠出できる。
  • ネット証券: 1株から株式投資ができるサービスもある。

少額からでも、コツコツと続けることが大切です。

資産形成の相談は誰にすればいい?

資産形成の相談は、以下のような専門家にすることができます。

  • ファイナンシャルプランナー(FP): 家計の見直し、ライフプランの作成、資産運用のアドバイスなど、お金に関する総合的な相談ができる。
  • IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー): 特定の金融機関に属さず、中立的な立場から資産運用のアドバイスをしてくれる。
  • 税理士: 税金に関する専門家。節税対策について相談できる。
  • 金融機関の窓口: 銀行や証券会社の窓口でも、資産運用に関する相談ができる。(ただし、自社の商品を勧められる可能性もある)

まずは、無料相談などを利用して、自分に合った専門家を探してみるのがおすすめです。

6. まとめ:個人事業主・フリーランスの資産形成は計画的に!

本記事では、個人事業主・フリーランス、中小企業経営者にとっての資産形成の重要性と、そのための具体的な方法(NISA、iDeCo、小規模企業共済など)を解説しました。これらの制度は、それぞれ異なる利点があり、ご自身の状況や目標に合わせて活用することで、将来の不安を解消し、より豊かな生活を送ることができます。

資産形成は、早ければ早いほど効果的です。「まだ早い」「自分には関係ない」と思わず、今日からできることから始めてみましょう。

POINT
  1. NISA:非課税で利益を得ることができ、株式や投資信託への投資に最適です。
  2. iDeCo:所得控除が適用され、老後の資金準備に有効な節税対策を提供します。
  3. 小規模企業共済:退職金の準備として、また節税効果も高く事業資金として利用可能です。

まずは情報収集から:

NISA、iDeCo、小規模企業共済の公式サイトを見る。

資産形成に関する書籍を読む。

FPやIFAなどの専門家のセミナーに参加する。

具体的な目標を立てる:

「いつまでに」「いくら」貯めたいのか、具体的な目標を立てる。(目標設定シートを活用)

家計を見直す:

毎月の収入と支出を把握し、無駄な支出を減らす。

家計簿アプリなどを活用するのもおすすめ。

自分に合った資産形成方法を選ぶ:

NISA、iDeCo、小規模企業共済など、自分に合った制度を選ぶ。(フローチャートを活用)

複数の制度を組み合わせて利用することも可能。

少額からでも始めてみる:

まずは、無理のない範囲で少額から始めて、徐々に投資額を増やしていく。

定期的に見直す:

年に1回など、定期的に資産状況や運用状況を見直し、必要に応じて計画を修正する。

資産形成は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、計画的に、そして着実に実行していくことで、必ず将来の安心につながります。

※本記事の内容は、執筆時2024年4月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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当サイトに掲載する情報は、各金融機関等の提供している情報に基づいていますが、実際のサービス内容や取引手数料、銘柄などに関する最新情報は公式サイトにてご確認ください。

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