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退職金があってもiDeCoはやるべき?メリットを徹底解説!

「会社に退職金制度があるけど、iDeCoもやった方がいいの?」

そう思っているあなたへ。結論から言うと、退職金の額が少ない方はiDeCoをやるメリットは大いにあります! ケースバイケースですが、多くの方がメリットを受けられる可能性が高いでしょう。

反対に、退職金が多い方はiDeCoの旨みが薄れてしまうのも事実。そのような方は、NISAを優先的に活用するのがおすすめです。

この記事では、退職金制度がある会社員の方に向けて、iDeCoのメリット・デメリットを分かりやすく解説していきます。

CONTENTS

iDeCoは新NISAに負けた?

最近、「新NISAが登場したからiDeCoはもういらない」という意見を耳にすることがあります。しかし、それは人によるというのが私の考えです。

iDeCoには税制面の優遇という大きなメリットがあり、それを活用できるかどうかで判断が変わってきます。

iDeCo3つの税制メリット
  1. 所得控除:積立期間中の税金が安くなる
    iDeCoの毎月の掛金は全額所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担が減ります。
  2. 運用益が非課税:運用で得た利益に税金がかからない
    通常、投資信託の売買によって得た利益や、定期預金の利息などには約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは運用中の利益に税金がかかりません。
  3. 受取時の税制優遇:積み立てたお金を受け取るときに大きな控除枠がある
    iDeCoで積み立てたお金を受け取るときに、一度にまとめて受け取る場合は「退職所得控除」、分割で受け取る場合は「公的年金控除」が適用されます。

基本的には、上記の3つの税制メリットのうち、1.所得控除と3.受取時の税制優遇(退職所得控除)をより多く享受できる場合にメリットが多い傾向にあります。控除額を参考に、積立額の目安を逆算してみるといいでしょう。

出口で税金がかかっても大丈夫?

iDeCoで運用したお金を受け取る際、退職所得控除を超えてしまうと税金がかかります。しかし、課税されても所得控除のメリットが残るなら、iDeCoをやる価値は十分にあります。

この後では、具体的な数字を用いて、iDeCoのメリットを最大限に活かす方法を解説していきます。

iDeCoは難しくてよく分からない…

「iDeCoの仕組みがよく分からない」「難しそうで自分には無理だ」と感じた方もいるかもしれません。

無理にiDeCoを利用する必要はありませんが、「iDeCoの仕組みがよく分からない」「難しそうで自分には無理だ」と感じた方は、一度以下の記事を読んでみてください。以下の記事を読んで、NISAで運用益非課税のメリットだけを活用するのでもOKです。

ご自身の状況に合わせて判断しましょう。

NISAとiDeCoを詳しく知りたい人はこちら

退職金とiDeCoの関係性

Image: Canva

以前、「多くの方にとって、iDeCoとNISAを併用するのが良い」というお話をしたことがあったのですが、多くの方から「退職金がある場合はどうなの?」という質問を頂きました。

基本的な考え方は同じです。退職所得控除の範囲内に収まり、入り口の所得控除のメリットをしっかり受けられるなら、NISAよりもiDeCoの方がメリットが大きいと言えるでしょう。

iDeCoの難しさは、自分ごとに考えないといけない点にあります。NISAは誰がやってもメリットは同じですが、iDeCoは人によってメリットの有無が変わってきます。

だからこそ、iDeCoは敬遠されがちなのですが、上手に活用すれば大きなメリットを得られる可能性を秘めているのです。

しかし、iDeCoには原則として60歳まで引き出すことができないなどのデメリットもあります。ご自身の資産状況やライフプランを確認することが重要です。

iDeCoのデメリットを知りたい人はこちら

退職所得控除とは?

iDeCoを一時金で受け取る場合や退職金を受け取る場合、退職所得という所得に分類されます。課税退職所得の計算式は以下の通りです。

退職所得(退職 + iDeCo一時金) – 退職所得控除 – 1/2 = 課税退職所得

さらに、この退職所得に税率をかけた金額が、実際に納める所得税額となります。

退職所得控除は、勤続年数に応じて大きくなる控除です。iDeCoの場合は、実際に積み立てている期間がカウントされます。

例えば、22歳から60歳まで働き、35歳からiDeCoを始めた場合、35歳以降は「働いている期間」と「iDeCoの拠出期間」が重複します。

この場合、重複期間はダブルカウントされません。38年間働いていて、その期間中にiDeCoも続けていた場合は、勤続年数は38年となります。

20年以上働いている方は、以下の計算式に当てはめて計算できます。

800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年) = 退職所得控除

勤続年数38年を当てはめると、以下のようになります。

800万円 + 70万円 × (38年 – 20年) = 2,060万円

退職所得控除は、長く働くほど退職所得控除額が大きくなり有利になる仕組みです。20年を超えると、控除額が大幅にアップします。

ただし、この仕組みに対して「長く働くことを優遇しすぎている」という意見があり、改正案が検討されています。

勤続年数またはiDeCo加入年数※退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数またはiDeCo加入年数※
(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数またはiDeCo加入年数※-20年)
Money Cycle編集部作成(2024年10月23日時点)

※退職金とiDeCoを一時金として同じ年に受け取る場合、勤続年数とiDeCo加入年数のどちらか長い方で計算
※iDeCo加入年数は掛金を拠出した期間

退職金が少ない場合は?

例えば、退職金が800万円、iDeCoが700万円の場合、合計額は1,500万円です。

38年勤続であれば退職所得控除は2,060万円なので、iDeCoと退職金の合計額よりも控除額の方が大きいため、課税所得は0円となり、税金はかかりません。

つまり、出口部分で税金がかからないということは、積み立てている期間中は所得控除のメリットを享受できるということです。

iDeCo公式サイトのシミュレーションツールを使うと、具体的なメリット額を計算できます。

例えば、35歳から月1万円ずつ30年間積み立て、年収500万円の方がiDeCoを利用した場合、累計で約72万円の税額軽減が見込めます。

退職金が多い場合は?

退職金が多い場合は、iDeCoの受取時の税制優遇メリットは弱くなってしまいます。受取時の所得税額と積立期間中の所得控除のシミュレーションをし、デメリットを考慮した上で、無理にiDeCoを利用するのではなくNISAを優先的に活用するのも良いでしょう。

例えば、勤続30年の会社員が、退職金が1,800万円、iDeCoが700万円の場合、受け取る際に57万2,500円の所得税と50万円の住民税、復興特別所得税1万2,022円がかかります。

合計すると、約108万円の税金を支払うことになります。

退職金1,800万円のみの場合、約22万5,000円の税金がかかり、iDeCoを利用することで約85万円の税金が発生している計算になります。

しかし、iDeCoの所得控除のメリットが、この出口での税負担を上回れば問題ありません。

iDeCo公式サイトのシミュレーションツールで計算すると、平均年収600万円、35歳から月20,000円を30年間積み立てた場合、約144万円の税額軽減となります。

今回のケースでは、出口部分で約85万円の税負担が発生しても、差し引き約60万円のメリットが残ります。

つまり、退職金が多くても、iDeCoのメリットは残るということです。

出口戦略について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

iDeCoの出口戦略詳しく知りたい人はこちら

まとめ

この記事では、退職金制度がある会社員にとってのiDeCoのメリット・デメリット、そして退職所得控除との関係性について解説しました。

iDeCoは、退職金の額が少ない方や、積立期間中の所得控除のメリットを大きく享受できる方にとって有効な資産形成手段と言えます。しかし、退職金が多い方にとっては、iDeCoのメリットが薄れてしまう可能性もあります。

ご自身の状況に合わせて、iDeCoとNISA、それぞれのメリット・デメリットを理解し、最適な資産形成プランを検討しましょう。

ポイント

  • iDeCoは、所得控除、運用益非課税、受取時の税制優遇という3つの税制メリットがあります。
  • 退職金が少ない方は、iDeCoを活用することで、税制メリットを最大限に享受できる可能性があります。
  • 退職金が多い方は、iDeCoのメリットが薄れる可能性があります。NISAを優先的に活用することも検討しましょう。
  • iDeCo公式サイトのシミュレーションツールを活用し、具体的なメリット額を計算してみましょう。
  • ご自身の資産状況やライフプランに合わせて、iDeCoの利用を検討しましょう。

※本記事の内容は、執筆時2024年10月のものです。最新情報は各機関や企業の公式サイトをご確認ください。

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